本拠である廃教会を飛び出した後、ヘスティアはヘファイストスの元に転がり込み床に臥せっていた。
そんなヘスティアにヘファイストスは首を傾げながらも最初はその内帰るだろうと思っていたが日が暮れても帰らず微動だにしないヘスティアに痺れを切らし仕事が終わると同時に酒場に連れ出した。
「それで?今度は何が不満なのよ。アンタ最近はあの子と良い感じって自慢して来てなかった?」
「うん、そうだったんだけどさ…………最近ベル君が分からなくなって来ちゃって」
「そういう年頃でしょ?子供達には良くある事よ」
「そう言うのじゃなくて…………前はもっと…………そう、命の尊さを知ってた子だったんだ。だから僕はあの子を迎え入れた」
「ヘスティア…………前から言ってるけど子供達は私達と違って不変じゃない。特にダンジョンに潜る様な子達は価値観も変わりやすいわ」
「違うんだヘファイストス」
「何?貴女さっきから何が言いたいの?」
回りくどい言い方に次第にイライラし始めたヘファイストスにヘスティアは意を決した様に言う。
「使えないって言ったんだ」
「は?」
「仲が良かったサポーター君が死んで、その敵討ちに出たんだ。それで帰ってきて嘘みたいに何時も通りに生活するから、僕は聞いたんだ。無理して戦ってないかって」
「…………………………………………」
「そしたら、そのサポーター君が死んで不便だって言ったんだ」
「ッ!!あの子がそんな事を?」
「それだけじゃない。僕が悲しいとか辛いとか思わないかって聞いたらなんて返したと思う?」
「………………………………」
「死んだら何も感じないし使えない、だって」
「…………………………………………」
「それで僕は気付いたらあの子を殴ってたよ」
正直ヘファイストスもヘスティアの気持ちが理解出来ないでは無かった。
まるで命を物の様に言うその言い分に、しかしヘファイストスが疑問視したのはそこではなくダンジョン探索に出て1月も経っていない少年がそこまで変わるだろうか?
「ヘスティア、ここだけの話をして良い?」
「なんだい?」
「最近の変死事件知ってる?」
「???変死事件?」
「そ、代表例は【ミンチ殺人】かしら?文字通りミンチみたいに殺されてるの」
「うえっ、そんな話しないでくれよ」
「まぁ、聞きなさい。次に頭が斬り離された枯れた植物みたいになって死んでる変死事件よ」
「ヘファイストス、僕を嫌な気分にしたいだけならもう帰るよ?」
「ここからが重要よ、枯れた死体を大手のファミリアで集まって検死したのそしたら枯れた死体の胃の中から人肉が見つかったそうよ」
「………………………………それで?」
「ここからは【勇者】の勝手な予想だけど枯れた死体は全て元の持ち主に成りすました未知の生物じゃないかって」
「つまり?」
「アンタのとこの子も成り代わりてるんじゃない?」
「ヘファイストス、僕はそう言う冗談は嫌いだ」
「私もよ、そして私がこんな冗談を言う性格じゃないって知ってるでしょ?」
2人の間に険悪な雰囲気が流れたが最後にはヘファイストスが失言だったと認め事無きを得た。
明日と明後日はお休みします