翌朝
「……………………朝だ、朝になった筈だ、なのに」
ベルは自身の右手を見る、そこでは例の手だけの生物が本を読み漁っていた。
「夢が覚めてくれない……………………ねぇ」
ベルが声を掛けるとその生物は器用に右目だけを向ける。
「何?」
「君は何?モンスター?」
「ここにある本を調べたがどの本にも私の様な生物については書かれていなかった、従って私はこの世界に存在するどんな生物とも違うのだろう」
「ベル君おはよう、右手の調子はどうだい?ってうわぁ〜また随分散らかしたね」
そこにヘスティアも起きてくると惨状にドン引きする。
「おはようヘスティア、貴女の本は大変参考になった」
「お、共有語も随分上手になったね」
「当然だ、共有語の習得など1日あれば十分だ、私は疲れたので寝る」
「ちょっ!!右手は元に戻してよ!?」
「……………………分かった」
ベルが慌てて自身の右手に言うと右手が元に戻り自身の意思で動かせる様になる。
「ふぅ〜」
「取り敢えずステイタスを更新しようベル君、何か分かるかもしれない」
「は、はい!!」
ベルはヘスティアに背中を向け服を脱ぐとヘスティアがスルスルとベルの背中に指を走らせる。
「ん?ん〜これは…………」
「な、何か分かりましたか?」
「取り敢えず書き写すから待ってて」
ヘスティアはそう言うとペンと紙を取りベルのステイタスを書き写しベルに渡すが特に変わった所は無くステイタスが多少上がっている位だった。
「神様、これ」
「うん、見ての通り変わったスキルとか魔法が発現したって事は無かったよ、ちょっと全能力値が上がった位だしその上昇値も今までの蓄積って事で説明が付く、つまりベル君の右手…………何か名前付けた方が良いかな?」
「私の名前か?ならミギーと呼べ」
突如ベルの右手に口が現れそう言ってくる
「あれ?寝てたんじゃないの?」
「先程のステイタスの更新時に君の血流に変化が生じて目が覚めた、そう言うのには敏感なんだ」
「へぇ~じゃあベル君に危険が迫ったら君はほぼ強制的に起きるのか…………」
「まぁ、そうだな、私はベルの血から栄養を貰っている。従ってベルが死ぬか右手から切り離されると枯れて死んでしまう。ベルも右手を失ってしまう、お互いに損だ」
「それは確かに…………」
「話を戻すけど、ミギー君はベル君の内から出た物じゃなく完全に外的要因って事。となると一昨日のベル君の話が現実味を帯びてくるね」
ベルは自身の腕を登ってきたミミズを思い出す。
その間にミギーは再び眠りに付きベルはダンジョンへ向かった。