「………………………………はぁ」
ベルは自身の後ろを歩く少女を肩越しに見ながらため息を吐く、彼女はリリルカ・アーデと言うらしく様々な冒険者のサポーターをしているらしい。今回も仕事が出来そうな冒険者を探していたらしくベルに声をかけてきたそうだ。
(本当はミギーとの連携を練習するつもりだったけど、まぁ良いか)
ベルは右手にナイフを持ちモンスター達を斬り倒していく。【新人殺し】の異名を持つキラーアントも体の節の間にナイフを滑り込ませ頭を潰していきリリルカが邪魔にならないように魔石を集めていく。
(何だろう?何時も以上に戦いやすい?リリルカさんが邪魔にならない様にモンスターを集めてくれてるからだろうけどもしかして)
ベルは自身の右手に目を向けるとミギーが手の甲に目を作り動作を補助してくれていた。
ミギーがどう判断したのかベルには分からなかったが頭の良いミギーの事だから何か考えがあるのだろうとベルは深くは聞かなかった。
しかしベルがキラーアントの一匹を壁に叩きつけてしまいリリルカに魔石を取るのを手伝う様にせっつかれた時、ミギーが不意に動きを見せリリルカに刃を向けた。
「え?」
「へ?」
2人は互いに何が起きたか理解出来ず固まっているとミギーが口を開く。
「やはりな、ベル、コイツは盗っ人だ。君のナイフを奪おうと画策していたらしい」
「み、右手がしゃべっ……」
「ちょっ!!ミギー!!今回は派手に動かないんじゃ…………」
「私が?まぁあまり騒ぎになって私の存在が知られるのは好ましく無いが危険なダンジョンで君の得物を奪われるのは現状最も好ましく無い、私の姿も見られてしまった事だし殺そう」
ミギーはそう言うと躊躇いなく刃を振り下ろそうとする。
「待って!!」
しかしそこでベルが待ったをかけミギーの体をずらす事で刃はリリルカの頬を掠める程度に留まる。
「何故だ?まさかこの期に及んで見逃そう等と言うつもりじゃないだろうな?」
「えっと、取り敢えずリリルカさんがなんでそんな事をしているのか知りたいかな」
「どうせ金の為だろう。人間とは得てして強欲なものだ、君以外はな」
「あなたに…………あなたにリリの何が分かるって言うんですか!!」
ミギーの言葉にリリルカが反論の言葉を叫ぶ、それは正確には反論と呼べるものですら無かったがベルとミギーは最後まで話を聞いた。その上で
「知らないな」
ミギーはリリルカの言葉に理解を示さなかった。
「君の言い分は何一つ分からない、そんな危険な場所にいるならそこを離れるか危険を排除すれば良い」
「だから、だからその為にお金を!!」
「君は利口そうな振りをして案外愚かだな、何故この街から出ていこうとしない?」
「そ、それはだって、この街以外に居場所は無いしソーマ様だってきっと許してくれない…………」
「君の居場所などこの街にも存在しないだろう?なら傷付かないで済む分外に逃げた方がマシだと私は思うが、恩恵だって外で行きていく分には十分のステイタスを貯めたのだろう?そもそも何故自分の人生を生きる上で他人の許可が必要なんだ?」
「………………………………」
その瞬間、リリルカは何も言わなくなりフラフラと歩き始めベルは心配そうにその後を追った。