「そうだ、簡単な事だった…………」
ぶつぶつと何かを呟きながらリリルカは歩み続ける。その背後にベルが居ることに気付いているのかは分からないがひたすらに歩みを進めていた。
「声掛けても反応が無いし大丈夫かな?」
「自分の中で感情を整理しているのだろう。恐らく問題無い筈だ。」
「そんな無責任な」
「それよりダンジョンを出るぞ」
ミギーにそう言われ再び前を見ると既にリリルカはダンジョンを脱出しておりベルも慌ててその後を追い掛けた。
オラリオに戻ってからもリリルカは足を止める事はなくベルもその後を着いていく。
「ダンジョンから脱出した事だしこれ以上着いていく必要は無いんじゃないか?」
小指を変形させ服の内側からミギーが言う。
「でも、やっぱり心配だよ。本拠に帰るんなら何されるか分からないだろうし」
「………………………………君が何故そこまで他人に肩入れするのか全く理解出来ないが危険な事はしないでくれよ。私は疲れたので寝る」
「お休み」
ミギーが完全に元の右手に戻りベルはリリルカの尾行を続ける。
その道中、眠っていたミギーが起きリリルカの行く先へ指を伸ばす。
「ベル、仲間だ」
その言葉にベルの表情が険しくなる。
「何処?」
「直線距離で150m先、あそこの角を曲がった所だ」
ミギーが言う通路を見ると丁度リリルカが曲がったところだった。
「まさか…………」
ベルは嫌な予感がし慌てて角を曲がる。
「彼女の目的地も同じ場所の様だな」
「そんな冷静に言ってる場合じゃないでしょ!?」
ベルは慌ててリリルカが建物に入る前にその手を引く。
「……………………いきなり何するんですかベル様」
【ソーマ・ファミリア】の本拠を通り過ぎ先の角に2人で身を隠す。
「ベル様…………痛いです」
「あ、ごめん」
「それで?何なんですか?」
リリルカに事の経緯を誤魔化しながら説明する。
「つまり何ですか?【ソーマ・ファミリア】の団員の中に人喰いの化け物がいて私もその化け物に喰い殺される。そう言いたいんですか?」
「うん」
「……………………それならそれで別に良いです」
「え?」
「もう考えるのも疲れました。生きていこうが死んでしまおうが化け物になろうがどうでも良いです」
「ふざけるな」
そこでベルは初めて怒りを顕にしリリルカはその怒気に恐怖する。
「僕達は会ったばかりでお互いの事知ってるなんて口が裂けても言えない。でも君の考えが間違ってる事くらいは分かる。不幸な一生のまま人生を終えるなんてあっちゃいけないんだ」
「………………………………」
「だから僕は君がこの街から出たいって言うなら喜んで手伝うし【ソーマ・ファミリア】を出たいって言うなら力を貸す。君が幸せな人生を歩める様に。行くよミギー」
「何度も言うが私は君に危険に飛び込んで欲しくは無いのだがな」
ミギーは愚痴りながらも抵抗は見せず2人で【ソーマ・ファミリア】の本拠内に潜入した。