宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
LINEを見て。
彼女はなんとなく予想はした。
物語の悪役がよくやることだ。
でもまさか、現実にやる人間がいるなんて。
なんと返そうかと悩んだが
『揉めたよ。あの子、私に4万円も借りておいて、カフェに行こうなんて言ったから』
『その前に借金を返したら? って言った』
細部は違うが、おおむねこういう内容だ。
すると即座に返事が返って来た。
『暮香は軽い気持ちで借りたジュース代100円が利子でいつの間にか4万円になって、アンタが返せって煩いのって言ってるけど?』
その文を読んだとき。
さすがに怒りが湧いた。
100円が利子で4万円。
400倍の利子。
自分がそんな闇金もしないような暴利を吹っかけたというのか。
『そんなの嘘よ』
そう打ち込んで。
続けて
『常識で考えて分からないの!?』
そう打ち込みそうになったが。
そこで彼女は手が止まった。
冷静になったのだ。
この言い方は喧嘩腰だ。
この送信相手は気を悪くしてしまうかもしれない。
(出方を見よう)
そう思った。
すると
『そんなの分かってるってw』
そう返って来て。
彼女は
(我慢して良かった)
そう、心底そう思った。
続けて
『ゴメンね。訊き方悪かったね。一応念のために確かめただけなのよ』
『あの子、そんなことを触れ回って、アンタをLINEグループから締め出してやろうって言ってるのよ』
『でも香村っちも、コバちゃんも、絶対嘘、裕子がそんなことをするわけがないって言ってて、アンタに真相を確かめて、嘘が確定したらあの子こそ締め出そうってさ』
そんなメッセージが届けられる。
彼女は正直ホッとした。
自分という人間は、嘘で容易く陥れられてしまうほど、信頼の無い者では無かったのだ。
そして彼女は
『あの子を締め出すの?』
そう、メッセージの相手に送る。
なんとなく、仲間外れにするようで気が引けたのである。
しかし
『甘いよ裕子。糖尿病になりそうなくらい甘いよ』
そんなメッセージが返って来る。
そして続けて
『これは制裁だとか、断罪とかじゃなくて、自衛なんだよ』
『人間、吐いてはいけない嘘ってあるよね? それが出来ちゃう人と付き合う意味ってあるの?』
『そういう人って間違いなく信頼できない人でしょ。信頼できないってことは、油断できない人ってことだよ』
『そんな人、付き合う価値無いでしょ。害にしかならないんだし』
……どれも、全くのド正論である。
大事なことが何も話せない、預けられない。
土壇場で裏切るかもしれない。
論理的に考えて、人間関係を維持する価値が無いのだ。
ならば切る。当然の結論。
『裕子はいつも他人を気に掛けて優しいからカモられたんだよ。私たちは裕子のそういうところ素敵だと思ってるから、どっちを信じるかなんて言うまでもないよね』
そう言って。
メッセージ相手の友達は新しいLINEグループの立ち上げと、そっちへの移動を呼びかけ。
そこで会話が終了した。
……暮香。
思えば最初から派手な格好をしていて。
金遣いが荒そうな印象のある子であったが。
まさか最終的にこんなことになるなんて。
なんだか空しいものを感じつつ彼女は
先ほど友人に言われた通りに、LINEグループの引っ越しを行った。
「どうした?」
そして作業を全部終えた後。
タケハヤが、彼女が暗い雰囲気を出していることを察知してそう声を掛けて来た。
彼女は
「やむなく他人を追放することになりまして」
そう愚痴るように言う。
するとタケハヤは
「追放? ……穏やかじゃないな」
そう顔を顰め。
裕子の説明を聞くと
「……なるほど」
そう言って頷き。
そして渋い顔で
「そりゃあ、悲しいかもしれないが仕方ないな」
彼女の選択を肯定し。
「言ってしまえば自業自得だ。原因を作ったのは本人なのだし」
そしてそう言ったその後、裕子に
「忘れてしまえば良い。覚えている価値の無い出来事なのだし」
そう言って
「ところで夕飯の材料の買い出しはいつ行く? 俺はいつでもいいぞ?」
そう、少し強引だったが話題を切り替えてくれたのだった。