宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第16話 バルキリオン貸与

 そしてそこから数日経った。

 

 タケハヤとの共同生活にも慣れが出て来た気がする。

 タケハヤの態度は紳士そのもので、彼女は特段身の危険を感じたことは無かった。

 

 そして共同生活が始まって、最初の日曜日がやってきたとき。

 

「ちょっといいかな?」

 

 自宅のマンションの部屋で、ローテーブルに教科書とノートを広げて彼女が勉強をしていると

 

 傍で新聞を読んでいたタケハヤが、突然話し掛けて来たのだ。

 裕子は

 

「えっ、何ですか?」

 

 ノートの内容を纏める手を止め、顔を向けた。

 

 タケハヤは少し難しい顔をしていた。

 

(何か大事なことを言われる)

 

 彼女はそれを予感し、正座した。

 彼女のそんな様子に

 

「そんなに畏まらなくていい。ええと、キミの携帯端末……スマートフォンだっけ? それを出して」

 

 スマホを出せ……?

 

 よく分からないな、と思いつつ彼女は言われた通りにローテーブルに置いているスマホを差し出した。

 

 タケハヤはそれを手に取って

 

 それを自分の宇宙警察証に接触させる。

 

 そのとき

 

 バチッ

 

 何だかややこしい音がした。

 

「えっ」

 

「大丈夫大丈夫。壊したわけじゃない」

 

 音に戸惑う彼女に、タケハヤはそう言いつつスマホを返して来て。

 

「ちょっとスマホを起動させてみて欲しい」

 

 そう言って来た。

 言われるままに、スマホのスイッチを入れて起動させると

 

 液晶パネル状に、見慣れないアイコンがある。

 

 銀色の機械仕掛けの馬の顔のアイコンだ。

 

(あれ? これって……?)

 

 彼女は心当たりがあった。

 これはあのときの……

 

 アブダーゾーンに突入するときに使用した、機械馬(マシンホース)の顔では無いのか?

 

 確か名前は……

 

「キミにバルキリオンを貸与した」

 

 そう。

 次元超越騎獣バルキリオン。

 

 そういう名前だった。

 

「えっ貸与?」

 

 そしてワンテンポ遅れて、彼女はその言葉の意味を理解する。

 自分にあの機械馬(マシンホース)を貸してくれるというのか?

 

 一体何故……?

 

 戸惑う彼女に

 

「キミは理性的で倫理がしっかりしており、善性が高い人間だとここ数日で判断した」

 

 そう言った。

 裕子はいきなり褒められて少し赤面し、気恥ずかしさを感じてしまう。

 

 そんな彼女にタケハヤは

 

「正直、キミから俺が片時も離れないのは辛いものがある。宇宙空間に待機させている宇宙船に戻ることもできないし、アブダーの捜査にも支障が出る」

 

 自分が彼女の護衛としてずっと傍にいることに関する問題点を口にした。

 

 確かにそうである。

 彼女の護衛のために、彼女からタケハヤが離れることが出来ないのであれば、どうアブダーを捜査するのだ?

 アブダーのボスが自分からノコノコ出て来てくれて、やられてくれるとでも?

 

 あり得ないだろう。

 

「そこで、バルキリオンをキミに貸与するのさ。……護衛のために」

 

 護衛……

 

 彼女はその言葉を緊張を持って受け止めた。

 超科学で造られた機械馬(マシンホース)を自分に護衛として貸してくれる。

 

 それぐらい、自分は信用して貰ったのか。

 

 彼女は興奮し、喜びを感じた。

 

「ありがとうございます。そこまで信用してくれて」

 

 こんなものを貸してくれるなんて。

 生半可な信用じゃない。

 

 裏切らないようにしないと。

 

 彼女はスマホのアイコンを見て、本気でそう思った。

 

「バルキリオンを呼び出すには、そのアイコンをタップするか、音声で自分の意志を表明してくれ。それでバルキリオンがやってくるはずだ」

 

 タケハヤの説明を真剣に聞き、彼女は頷いた。

 身の危険を感じたら即座にそうすればいいのか。

 

「分かりました」

 

 心にそれを刻み付ける。

 

 するとタケハヤは立ち上がり

 

「それじゃ、ちょっと行ってくる」

 

 そう言った。

 

「えっ、どこに?」

 

 いきなりか。

 行き先を訊ねると

 

「ちょっと宇宙船に戻る。そろそろ定期連絡をしないとマズいんだ」

 

 彼はそう言って、面倒そうに顔を顰めつつ自分の頭を掻きながら

 

 部屋を出て行った。

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