宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
暮香を着拒にし、絶縁した後。
彼女は最悪の気分になった。
別にざまあみろとは思わない。
単に溺れる暮香が掴む藁が無くなっただけだ。
それに関して彼女は
まるで暮香の命綱を自分の意志で切断したような気分になった。
罪悪感と言われると、違う。
自分は何も悪いことはしていない。
そこに疑いはない。
だが、身を守るために手を汚してしまったという不快感。
それがどうしようもなかったのだ。
そのせいで、なんだかバルキリオンの機能を調べることを考える気が失せてしまった。
なんとなく疲れた気になったのだ。
時間を見るとまだ午後5時で。
夕飯にも早い時刻。
でもなんだかドっと疲れた。
(寝よう……)
そう思い。
彼女はそのまま、ベッドに潜り込んだ。
次に目が覚めたのは夜の11時であった。
あのまま6時間も寝ていたようだ。
ベッドから起き上がって
(お風呂にも入らないで寝てしまった……しかもお腹も空いてるし)
やってしまった、と思う。
こんなことをしたら睡眠サイクルが狂うではないか。
6時間も寝たら、これ以上寝るのは無理だ。
もう朝まで起きているしかない。
そして
(こんな時間に食事するのはなぁ……)
お腹が空いているのをどうすればいいのか。
買い置きのカップ麺があった気がするが。
なんとなく、身体に悪いというか……
太る気がする。
(何か都合のいい食べ物は……)
そう思いつつ冷蔵庫を開け。
彼女は何かを腹に入れ、その後風呂に入って、朝までゲームでもして時間を潰すことを考えていた。
そのときだった。
スマホが震え、着信を告げて来た。
見るとナンバーは「公衆電話」となっていた。
いつもならそのまま応答を拒否して終わりであるが。
今は事情が異なる。
ひょっとしたらタケハヤから連絡かもしれないではないか。
タケハヤは電子マネーを偽装する技術を持ち、自分の存在感まで操作できる宇宙人である。
そんな科学力を使えば、公衆電話設定で自分のスマホとの通話を強引に繋ぐこともできる可能性もあるだろう。
だったら出るべきでは無いのか?
それに、公衆電話から詐欺電話を掛けるなんて想像しにくいのもある。
なので彼女は意を決し。
「……もしもし?」
通話を繋いだ。
続いて、そのスピーカーから聞こえてきた声は
『お願い! 助けて!』
……暮香の声であった。
「……どういうつもり?」
さすがに嫌な気分になり、裕子は驚くほど冷たい声でそう返していた。
着拒にしたのに、公衆電話で掛けてくるなんて。
まるでストーカーではないか。
だが電話の向こうの声は
『ごめんなさい! ごめんなさい!』
ただ謝るばかりであった。
こんなものは
(付き合ってられないよ)
裕子はそう思い
「悪いけど切るね。もう絶対に掛けて来ないで」
そう言って通話を切断しようとしたとき。
電話の向こうの声はこう言ったのだ。
『今、闇金に捕まっているの!』
その言葉は。
裕子の通話を切断する手を止めさせた。