宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
(闇金って)
裕子の脳裏に、眼鏡を掛けた坊主頭の凶暴な男が金属バットを素振りしている映像が過った。
なんてこの子は馬鹿なのか。
破裂したリボ払いの返済で、闇金を利用するなんて。
闇金に手を出したらどうなるかを想像できないなんて。
ゾッとした。
だから思わず
「どうして闇金なんて使ったのよ!?」
叱責口調で言ってしまった。
暮香はそんな裕子の言葉に
『だって、だって……そこしか貸してくれなかったんだもの!』
涙声でそう返して来る。
漫画知識であるが。
闇金は普通のところで借金をできなくなった債務者に金を貸すのが仕事であるので。
だからこそ取り立てには一切の容赦をせず、違法行為も辞さない。
普通の貸金業では法的な救済措置があるが、闇金には無いからだ。
だから舐められたら終わりであり、結果として鎌倉武士のように容赦がなくなる。
「……で、何で電話して来たの?」
決して借りてはいけない人間から金を借りてしまった、そんな愚かな元友人を叱責したい気持ちを抑え、裕子は暮香に訊ねる。
彼女の話で闇金で借金をしてしまったのは理解できても、電話を掛けて来たことが理解できなかったから。
すると
『アタシのスマホの電話帳に載ってる人間に上から順番に電話を掛けて、助けに来てくれたら助けてやるって……!』
マジカ、と思った。
闇金あるあるではないか。
(あれって実話だったんだ)
戦慄する。
裕子はその「闇金あるある」に付随する、恐ろしい末路を想像した。
このままだと、暮香は樹海に連れていかれて身体に蜂蜜を塗られて放置されてしまうのかもしれない。
もしくは海外に売り飛ばされ、酷いことになるのかも。
それはさすがに酷過ぎると思う。
自業自得だ、ざまあみろとは言えなかった。
でも……
(警察に連絡しても何の解決にもならない気がする)
闇金も馬鹿じゃないはずだ。
警察に通報されたと気づいたら、暮香をもっと酷い末路に誘うだけだろう。
それこそ、内臓を抜いて売り捌くような……。
だとしたら
(本当に救いたいと思うのであれば、実際に助けに行った方がいいよね)
そういう結論になる。
正気の思考ではない。
普通に考えれば。
闇金相手にただの女子大生が挑むなんて。
彼女がそういう思考に至ったのは、タケハヤから貸与されたバルキリオンがあるからだ。
宇宙の超技術で造られた
救出できる気がした。
科学力に差があり過ぎるだろう。
原始人の集団を蹴散らすように、闇金たちを蹴散らせるかもしれない。
だから
「……どこにいるの?」
彼女はそう、普通に考えてあり得ない言葉を口にしていた。
電話の向こうの暮香が喜んだ気配が伝わって来る。
そして
『3号公園の電話BOXだよ!』
やや弾んだ声で、そう伝えて来たのだった。