宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「ななななな……!」
光の檻を木っ端微塵に破壊され。
暮香はパニックに陥っていた。
暮香の中では裕子はもう売り飛ばされる商品で。
300万円の引換券だったはずなのに。
裕子は突然わけのわからないものを召喚して、脱出してしまった。
「なんなのよそれはあああああああ!!」
暮香はバルキリオンを指差し、金切り声をあげた。
裕子はそれに一切返すことなく
「合一化!」
その言葉で裕子はバルキリオンに噛まれ。
その全存在を、バルキリオンの内部に移動させた。
バルキリオンの中に入り
バルキリオンの目を通して彼女は外界を確認する。
外では
「うホホホ……失敗したナごみやまクレかヨ……商品を確保できないのデあれば、オマエを買い取ってヤル」
「そ、そんなっ! 待って下さいゴリアブダー様!」
暮香の前に、怪人が出現していた。
それは顔面がゴリラに似ているけど、体つきは恐竜に似ている黒い怪人。
スピノサウルスに似た体つきで、背中には背びれがついている。
名前はゴリアブダー……アブダノイドだ。
ゴリアブダーは裕子の捕獲に失敗した暮香を責め、埋め合わせに暮香自身を買い取ると言っていた。
このままでは、暮香はアブダノイドの材料にされてしまう。
自分の最適解はこのままバルキリオンに保護された状態で、遠くまで逃げること。
だが彼女は
(逃げるわけにはいかない)
それを拒否し、ゴリアブダーに突撃する。
初めて合一化したときは、貸与されていなかったせいか彼女はバルキリオンを操ることが出来なかった。
しかし今は、まるで自分の身体のように操ることが出来ている。
全体重を乗せてバルキリオンはゴリアブダーに体当たりを仕掛けた。
「うホーッ!?」
ゴリアブダーはバルキリオンのぶちかましの威力に吹き飛び、深夜の公園の土を抉りながら転がっていく。
そこに
『バルキリーバルカンッ!』
裕子のその一声で、バルキリオンの肩部分に備え付けられた2門のビームバルカン砲が火を噴いた。
ウィィィン、という音と共に、ビーム弾の連続射撃がゴリアブダーを襲う。
「ヌウウウウウウ!!」
ゴリアブダーは両手をクロスし、そのビーム弾の猛攻に耐える構えだ。
その隙に
『今のうちに逃げなさいッ』
裕子は。
暮香にそう叩きつけるように言った。
暮香は
「ひ、ひいいいいい!」
悲鳴をあげて。
礼も言わずに逃げ去っていく。
(よし)
バルキリオンでアブダノイドを倒すことは不可能かもしれない。
「ウッホッホ……よくもヤってくれタな! このままではオワらんぞ」
その証拠に。
銃撃が途切れると、ゴリアブダーは何事も無かったように立ち上がる。
しかし。
時間を稼ぐことだけなら可能だ。
時間さえ稼げば……
「ブレイバーゼットバレット!」
そのとき。
ゴリアブダーの死角からエネルギー弾が撃ち込まれ、炸裂した。
(来た)
「そこまでだアブダー! 覚悟しろ!」
そう。
時間さえ稼げばタケハヤが駆けつけてくれる!
裕子はこの公園に現れた銀色のメタルスーツの戦士ブレイバーに、熱い信頼を乗せた視線を向けた。