宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第31話 アブダーの作戦では?

 まず彼女は、多重債務者なら狩っていいという言葉が到底同意できなかった。

 無論、彼女も多重債務者に良いイメージは無いが。

 あるわけがない。

 けれど

 

 だからと言って、金を儲けるために多重債務者を狩るなんて。

 

 自分が何様だと思ってるんだ? と普通に思うのだ。

 

 そういう思い上がった考え方は到底受け入れられなくて。

 彼女は人づきあいでも、そういう「露骨な見下し」がある人間からは離れていた記憶があった。

 

 

 おそらくこのテーブルで揉めていたのもそこだろう。

 酒の席の話だとはいえ、この大柄な男性の話す内容が外道そのもので、他の人間が嫌悪したのだ。

 

 ……まあ、それはそれ。

 彼らの友情の問題で。

 

 裕子には特に関係は無いのだが。

 

 彼女にとっての問題はもう1つ。

 

 

(その変なメール、もしかしてアブダーの作戦なのでは?)

 

 

 このことだった。

 

 変なメールといえば、チェーンメールや詐欺メールが代表例だが。

 それは指定人数に同じ内容のメールを送れとか、金を送って欲しいとか。

 そういう「あからさまな指示」があるはず。

 

 だがあの大柄な男性の話にはそれが無いように思えた。

 

 言っていたではないか。

 多重債務者を集めたギャンブル大会へのVIP待遇の参加証メールを誤配信された、と。

 

 VIP相手に「金を送れ」は考えにくい気がする。

 何故VIP相手に今更細々とした送金を要求するのだ?

 

 それに、誤配信という設定が「送金でバレるのではないか?」ともターゲットに思われかねない。

 

 彼女はメールの内容が金集めに向いていないと思った。

 なので

 

(なんとか見れないかなぁ……? そのメール)

 

 そう思った。しかし……

 当の大柄な男性は、さっき怒りをぶちまけた後。

 ワインが回りに回って、潰れていびきをかいて寝始めていたのだ。

 

 なんとも厄介な。

 起きてくれていないなら、問題メールを覗き見るのは絶望的ではないか。

 

 彼女は空きワインデキャンタ―を回収しそのテーブルを離れながら、知恵を巡らしていた。

 

 そこに

 

「何か困り事があるんですか?」

 

 クシナダが話し掛けてくる。

 そこで彼女の中で閃くものがあった。

 

 裕子は

 

「ねえクシナダさん、ちょっといい?」

 

 クシナダに小さく手招きし

 

「なんでしょう?」

 

 店の影にクシナダを連れていき

 

「あのさ」

 

 周囲の目を気にしながら、そっと訊ねる。

 それは……

 

「あそこで赤ワイン飲みまくって潰れて寝てる黒シャツの男性のスマホから……ギャンブル大会の案内状みたいな内容のメールって抜きだせる?」

 

 宇宙の超科学頼み。

 これであった。

 

 目立たないように気をつけながら男性を指差し、ちょっと聞くと

 

 無茶言うなそんなこと出来るわけ無いだろ無理だ。

 

 それ以外普通返答が無いこと。

 それが可能かを訊ねる。

 

 そして。

 裕子のそんな無茶振りに対するクシナダの答えは……

 

「できますよ。ちょっと待ってください」

 

 ……であった。

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