宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
ギル・ウォンの声が響き渡ったとき。
その場の空間が歪み。
次の瞬間、3人は海に投げ出された。
そのまま自由落下する。
「うあッ!」
タケハヤ=ブレイバーは飛行手段が無いため、そのまま海に落ちた。
そこに
「タケハヤ!」
海に沈むブレイバーを、クシナダ=ブレイディが反重力バイクで救助に向かう。
反重力バイクは沈むタケハヤを乗せて、瞬く間に海から浮上して来る。
海水の侵入を球状のバリアで護りつつ、クシナダは浮かび上がって来た。
裕子はバルキリオンの脚部についているバーニアを噴かせて、海への落下を免れる。
そして彼らは海から岸へと降り立った。
『船は……やっぱりアブダーゾーンに行ったんですか?』
裕子がバルキリオンとの合一化を解かないまま、2人に訊ねる。
そう。
裕子たちがさっきまで乗り込んでいた船が、きれいさっぱり消えていたのだ。
それに対してクシナダが答える。
「おそらくそうだと思います……」
肯定。
(あんな大きなものまで……)
あの船は間違いなく多人数を乗せられる船であった。
それを一瞬で消したのだ。
そこでハッとする。
『捕獲された人たちは……?』
自分達と同じように海に投げ出された人がいない。
間違いなく居たはずなのに。
裕子達があの船に乗る前。
何組か船に乗り込むのを見た。
だから間違いなくいるはずなのだ。
それについて
「……おそらく、アブダーゾーンに連れて行かれているはずです」
クシナダが苦い声でそう言った。
『アブダーゾーン……!? じゃあ助けに行かないと駄目じゃないですか!』
裕子はそう訴えかけるが
クシナダは
「ええ。その通りです」
それも肯定したが、続けて
「ですが……」
まっすぐに裕子に目を向けて
「桐谷裕子さん、あの船の大きさを考えてください……」
言ったのだ。
「あれは、おそらくブレイバーブレードで処刑できる大きさを越えているはずです」
その言葉で、裕子は理解した。
確かに、と。
あの船そのものがアブダノイドだとするなら、その大きさはおそらく100メートルを超えるのではなかろうか?
そんなものをブレイバーブレードで処刑できるとは思えない。
刀身の長さが全然足りないからだ。
ならば、諦めるしかないのだろうか?
倒せないのであれば、アブダーゾーンに乗り込んでも意味が無い。
ただやられに行くだけである。
(そんな)
目の前で拉致される人間を見過ごす。
彼女は悔しさに震える。
だから
『何か方法は無いんですか!?』
思わず叫んでしまった。
するとその叫びにクシナダとタケハヤは
「あります」
「あるぞ」
即座にそう返し。
(あるの!?)
驚く裕子に
タケハヤが
「……ただ。覚悟を決めてくれ。楽な方法では無いんだ」
重く、神妙な口調でそう言ったのだった。
そして3人はアブダーゾーンに突入した。
迷ったが、裕子は決断したのだ。
ここでしり込みして逃げたら、きっと後悔すると。
次元の壁を乗り越えて、アブダーゾーンに飛び込む。
そこはやはり薄暗い採石場に似た空間で。
採石場の向こうの空に、全長100メートルを超える巨大な姿が浮かんでいた。
それは某有名RPGに出て来そうな空飛ぶ船であった。
船の上に巨大なプロペラが複数存在しそれで飛んでいる。
ただ、某有名RPGのそれとは違い、船体に手足にあたるものが生えてはいたが。
そして
「バリバリバリバリバリバリバリィ~!」
それはそんな声を発しながら飛行していた。
間違いない。
あれこそがバリアブダーであろう。
(すごく……大きい……!)
クシナダの予想が当たった。
これはブレイバーブレードでは処刑は無理だ。
ならば、別の手をというものを使わないといけないのではないか?
なので彼女は
「タケハヤさん! クシナダさん! あれを処刑する方法を教えてください!」
直球で訊ねる。
裕子の視界の端で、制限時間がグングン減っている。
無駄にしている時間は無かったから。
するとタケハヤは頷き、クシナダに向けて
言ったのだ。
「ブレイディ、次元波動砲バルキリーカノンの準備だ!」
力強く。