宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第44話 視点変更・研究者蓮田:研究者として

「自分の仕事の分野で、皆目見当もつかない技術ってありますか? ……まるで魔法のように思えるような」

 

(この子は一体何を言ってるんだ?)

 

 蓮田は一瞬そう思った。

 正直、苛立ちを感じる言葉だ。

 

 魔法だ、皆目わからない、なんて。

 科学者の言葉じゃない。

 

 しかも自分の仕事の分野である。

 それはつまり、基礎知識が自分の仕事の分野の最先端に到達していないということだ。

 

 多くの場合、技術はピラミッドである。

 

 高い頂にはそれを支える積み重ねがあるのだ。

 

 門外漢であるならば、そのピラミッドの底辺レベルの知識しかなくても、それは仕方のないことである。

 

 だが研究者は頂を目指す者である。

 それではお話にならない。

 

 だから……

 

「うーん、それはね……研究者としては無能ですって自己紹介してるのと同じなんだよね。頂に到達するには何をクリアしなきゃいけないかもわからないなんて、未知を探る資格が無いって言ってるのと同じだから」

 

 つい、内心の苛立ちを言葉にしてしまった。

 目の前の女子大生の女の子……桐谷さんはその言葉を聞き

 

 彼女は自分の言葉が失言であったと素早く自覚して

 慌てて

 

「言葉足らずですみません」

 

 即座に謝って来た。

 そして

 

「知り合いのプロの科学者を自称している子が、自分の専門分野でそんなことを言ったんです。どうやってるのかまるで分らない、って」

 

 そんなことを言ってくる。

 プロの科学者を自称……?

 

 意味が分からない。

 でも、想像はつく。

 

 少し学校の勉強が出来るくらいで、思い上がってる子が彼女の友達にいるのかもしれない。

 そしてそれで、マウントを取ってきているのかもしれない、と。

 

 彼は桐谷さんの性格の良さはなんとなく感じ取っていたので、彼女の言葉をそう好意的に取って

 

 だったら、と

 

「うーん、こう言っちゃなんだけど……そりゃあ、プロじゃ無いね」

 

 彼女のために、ハッキリ言った。

 皆目分からないなんて言葉を言えてしまうのは科学者じゃない、と。

 

 彼女がそんな裸の王様のような不勉強な子に振り回されたりしないように。

 

「そうですか……」

 

 桐谷さんは彼の言葉を噛み締めるように聞いていて。

 小さく頭を下げて。

 

「失礼な質問をしてすみませんでした」

 

 彼はその彼女の謝罪を受け入れて

 

「いや、別にいいよ。学生じゃまだ分からないだろうし」

 

 笑顔でそう言って

 

「まあ、今日はコーヒーに付き合ってくれてありがとう」

 

 これ以上話しても彼女の負担になりそうだと思ったので。

 コーヒーの最後の一口を飲み干して

 

「それじゃ、勉強を頑張るんだよ。今しかできないんだしさ」

 

 そう、学生時代の自分に言いたかったことを彼女に言って。

 彼は席を立った。

 

 

 

(まあ、色々あったけど……女子大生と会話出来てそれなりに嬉しかった)

 

 そんなことを頭の片隅で考えつつ、彼は一人暮らししている自宅マンションに帰る。

 今の会社に入社して、寮住まいで5年働いた金をつぎ込んで買った中古マンションである。

 

 中古マンションはいい。

 新品だって、1回でも使用すれば中古なのだし。

 

 たったそれだけのことで、数百万円余計に払うのは馬鹿げている……

 

 そう思った結果であった。

 

 彼は家のリビングの床に、鞄を放り出し

 

 手洗いうがいをした後、冷蔵庫から麦茶の瓶を取り出し

 

 食器棚からガラスコップを取り出して注いで飲む。

 

 そのとき。

 

 彼のスマホが振動した。

 着信である。

 

 見るとそれは

 

 中学時代に彼をイジメから救ってくれた親友の名前であった。

 中学を卒業してから別の高校に行った関係で、リアルに遭うことは徐々に少なくなり、今となっては年賀状のやり取りしかしなくなった大切な友達……

 

 そんな友達から電話が来るなんて。

 彼は迷わず通話をオンにした。

 

「もしもし暗藤(あんどう)か?」

 

 すると向こうから懐かしい声がしてくる。

 

『レンちゃんおひさ。俺の事覚えてる?』

 

 彼は笑った。

 

「覚えてるに決まってるじゃん……親友じゃないか俺たち」

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