宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「カレーは楽で良いですね」
マンションの部屋でキッチンにクシナダが立ってくれている。
カレーの匂いが部屋中に漂っていた。
今日の夕食はカレーである。
色々話し合った結果。
パンだとか米だとかの主食類を偽装電子通貨で宇宙人組に買って貰い、その代わりこっちで肉野菜、つまりオカズ類のお金を出す形で食料を買っていくことにしたのだ。
つまり食料品を分担して購入し、同じものを食べていくわけである。
何故こうなったかというと……
こうしないと宇宙人2人が味気ないフードキューブで食事を取りかねないからだ。
それはさすがに気分が悪い。
まるで自分が余計なことを言ったせいでそうなってるみたいではないか。
それはこっちのご飯も美味しくないし、向こうも気分悪いだろう。
だからそういうことにした。
「宇宙でも手料理の価値は高いの?」
裕子は先日アマノドー書店で買って来た本をメモを取りつつ読み、そこで出て来た分からないことをスマホで検索しつつそう訊く。
クシナダはカレー鍋に向かいながら
「まあ、自動調理が一般的ですけど……ここぞというときは自分で作るのが宇宙での一般的ですね」
そんなことを。
(やっぱそうだよね)
聞いててそう思った。
普段の生活は時間を取られたくないから機械任せでも。
ここぞというときに機械任せにして、それで上手くいかなかったら泣くに泣けないではないか。
しかし
「自炊経験少なくても大丈夫なんだ?」
当然出てくるその疑問点を訊ねると
彼女は
「大丈夫ですね。その辺は人工知能のサポートがつくので、言う通りにしていれば食べられないものは出来ませんから」
(なるほど)
なかなか暮らしやすそうだな。
聞いててそう思った。
そしてそんな会話をしながら
カレー鍋の中身をかき回しているクシナダの後姿を見つつ。
彼女は
(クシナダさんが無能なんてことはないはずだよね)
今読んでいる本を買ったとき。
コーヒーショップで現役研究者の蓮田さんから聞いた話を思い返していた。
自分の専門分野の技術で、どんな技術か皆目分からない、なんて言うのは「自分は無能です」と自己紹介しているも一緒なんだと。
だからそんなことは一人前の研究者ではあり得ないんだ、と。
無論、あの男性のいる技術の世界と宇宙の最先端科学技術の世界が同じものであるとは言い切れないかもしれない。
だから何の参考にもならない言葉なのかというと……
(やっぱ違う気がするよね)
やっぱり思う。
おかしい、と。
胎紋認証を誤魔化す技術があると思う前に……
そもそも、複製人間の方が嘘なのでは?
そっちを疑うべきなんじゃないのかと。
だが、それはそれで……
(何のために別人を装うの?)
そこが意味不明になってくる。
俺がムラクモ本人だ、と言った方が有利なはずなのだ。
そっちの方がタケハヤも戦いにくくなるはずだろう。
ムラクモはタケハヤの義兄弟なのだし。
だけど、別人を名乗ったから
タケハヤは、ムラクモツヴァイと戦うことに迷いがあるようには見えなかった。
勝ちに繋がる重要なピースをドブに捨ててるも同然ではないか。
(それはそれで意味不明だよね……?)
だからだろうか?
だから、何らかのすごい技術があるのでは?
そういう結論になったのは。
考えれば考えるほど理解不能の袋小路に入っていく気がした。
なので
(考えない方が良いのかな……?)
そう思い、気分転換にSNSをチェックする。
すると、目を引くキーワードがトレンドに上がっていることに気づいた。
それは……
『怪人出現』
(何これ?)
気になったのでタップした。
するとそこには……
『木見北市で20代男性が大怪我をした状態で放置。男性は怪人にやられたと証言』
そんなニュースが書かれていたのだ。
木見北市……この街の名前である。