宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第47話 宇宙刑事の捜査とは

「暗藤(あんどう)魔物流(まもる)という人は、この病院の大部屋に入院してますね」

 

「大部屋……」

 

 お金が無い人なんだろうか?

 裕子はそう思った。

 

 なんとなくそんな両手両足をへし折るような大怪我をしたとしたなら、大部屋では無く個室で落ち着きたいと思いそうだと思うのに。

 

 大部屋で入院というのは、そうせざるを得ないからだという気がした。

 

 彼女らは木見北総合病院の廊下を歩いていた。

 時々水色の制服を着た看護師とすれ違うが、誰も気にも留めない。

 

 2人とも今、存在解像度を下げているのである。

 2人は病院のエントランスで手を繋いだ状態で存在解像度を極限まで下げた。

 こうすると裕子の存在解像度も下がるらしい。

 

 手を繋いでいる限り、存在解像度が下がった状態は維持されるので、彼女らは今、面会許可も取っていないのに入院患者が複数入っている大部屋に向かっていた。

 

 関係者でもない2人が暗藤という人物に会うにはこうするしかない。

 

 しかし……

 

「どうやって話を訊くんですか? 私たち他人でしょ?」

 

 歩きながら裕子はクシナダに訊ねる。

 クシナダは平然と

 

「そこも大丈夫です……私も一応宇宙刑事ですから」

 

 後方バックアップ係ですけど、と枕詞をつけながら。

 

 そして2人は暗藤のいる大部屋に辿り着く。

 ネームプレートに「暗藤(あんどう)魔物流(まもる)」と書かれている。

 

 この大部屋はどういうわけか、人口密度が低かった。

 

 6人部屋なのだが、2人しかおらず。

 片方は老人で1人テレビを見ていた。

 大部屋ベッドでテレビを見る場合、イヤホンをするのがマナーである。

 

 話を聞くとするなら、好都合の状況であった。

 

 クシナダは真っ直ぐに歩いていく。

 暗藤氏はそこにいた。

 

 100キロを超えている巨体の眼鏡男子が両手両足をギブスと包帯で固定され。

 それをぐるぐる巻きにされ、吊り上げられ。

 頭もガーゼと医療用のネットで防護されている。

 

 非常に痛々しい姿である。

 

 こんな状態では何も出来ず、苦しいであろう。

 この状態で警察は話を聞いたのか。

 

 ということは、こんな状態でも会話が可能ということだろうか?

 

 暗藤氏はこちらに気づいていない。

 存在解像度が低下しているため、こっちから気づかれようとしない限り気づかないのだ。

 

「暗藤さん」

 

 そこで。

 クシナダは彼に声を掛けた。

 

 宇宙警察証を突きつけながら。

 

 暗藤氏はその一言で彼女ら2人の存在に気づき

 

「えっ」

 

 そう驚きの声を洩らした後。

 目が虚ろになった。

 

(えっ)

 

 今度は裕子が心で同じことを言う番である。

 

(今、何をしたの?)

 

 そう思い、訊ねようとしたとき

 

「強制事情聴取……チーキュウで言うところの『オラッ催眠!』でしょうか」

 

 クシナダはそう真面目な顔で説明する。

 

 曰く、現地知的生物に聞き込みをしなければいけないとき。

 現地への影響を極限まで減らすためと、捜査のための労力を軽減するために。

 宇宙警察証にはそんな機能がついているらしい。

 

 無論、使用には「やむを得ない事情」が要求されると、宇宙刑事倫理規定には書かれているとのことだったが。

 

(さ……催眠まで使えちゃうんだ……! 宇宙刑事の装備危なすぎ……!)

 

 裕子はクシナダの話を聞き、心からそう思った。

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