宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第49話 家探し

 蓮田保正。

 大企業・天野エレクトロニクスに勤めている企業研究員。

 

 それが暗藤が言う、怪人の正体であった。

 それにより

 

「なるほど……そんなことが」

 

 クシナダが頷く。

 

 さすがに同姓同名であることを黙っている理由はなく。

 裕子は自分の知っている「蓮田保正」についてを話したのだ。

 

 そして全て聞き終えた後

 

「まず間違いなく同一人物だと思います。同姓同名の人間が、同じ街で同じ機械系の研究職をやってるなんて偶然だとは思えません」

 

 そうコメントする。

 裕子も同感であった。

 

 あのとき裕子がコーヒーを飲みながら聞いていた話とも合致する。

 あの男性は近場の企業に勤めていると言っていた。

 

 天野エレクトロニクスはこの街では一番の大企業で、研究所もこの街にある。

 

 何ひとつとして矛盾しない。

 

 そして最後のダメ押しで

 

 クシナダは病院エントランスの隅で検索行為を開始する。

 そして数分後。

 

「この男性ですか?」

 

 そう言いつつ

 立体映像のモニターに映し出して来た顔。

 それは八重歯がちょっと目立つ感じの、真面目そうな男性で……

 

 裕子があの日、書店で出会った人物そのものであった。

 

 

 

 調査の過程で住所も調べ上げたので。

 2人はその場所に向かう。

 

 それは駅前に建てられているマンションで。

 建築されたのが約20年前。

 

 古くはあるが、外観はそれほど悪くないように見えて

 

(結構立派)

 

 裕子はクシナダと一緒に手を繋いでマンションに入り込みながらそう思う。

 

 例によって存在解像度を下げた状態で、マンションドアのロックを解除して入り込んだのだ。

 あのとき……タケハヤと自宅マンションで会ったときに何が行われていたのかを自分の目で確認したわけである。

 

 宇宙警察証には、レベルの低い文明で作られている鍵類を簡単に突破するための機能があるようで。

 あのときはこれで突破したようだ。

 

(なんか複雑……)

 

 あのときは本当に恐怖体験であった。

 いきなり頭のおかしい男としか思えない存在が全ての鍵を易々と突破して部屋に入り込んで来たわけであるし。

 

 でもそれは本当はやむを得ないことで。

 それがあったから、今の状況があるわけだが。

 

 そして階段を登り、7階にある蓮田の家の前に来た。

 

 表札にも「蓮田」とあるので間違いない。

 

「いきますよ」

 

 そう言ってクシナダが宇宙警察証をそっと鍵穴に翳すと

 

 カチャリ

 

 そんな音が確実にして。

 そのままドアノブを回すと……

 

 開いた。

 

 裕子は興奮した。

 

 やってることは不法侵入である。

 だがやむを得ないことなのだ。

 それはその通りなのだが

 

 事実上法を犯したことに対して、彼女は何故だかゾクゾクしたものを感じた。

 

 そのまま彼女らは蓮田の自宅に足を踏み入れた。

 さすがに靴は脱いで。

 

 そしてドアを閉め

 

(今なら存在解像度が元に戻っても大丈夫よね……誰も見ていないのだし)

 

 そう思い、思い切って手を離した。

 クシナダも何も言わない。

 

 多分大丈夫なのだろう。

 

 2人は手掛かりを求めて家探しを開始した。

 

 

 

「桐谷裕子さん。どうせ原状回復で元に戻しますから、思い切って調べて下さい」

 

 原状回復……

 最初の戦いの後、裕子の部屋を直した「無生物限定で時間を戻し、破壊が起きる前の状態に回復させる宇宙警察証の機能」である。

 

(なるほど)

 

 あのときのことを思い出した。

 

 あれほど完璧に元に戻るなら、後から元に戻すことを考えて探す必要は無いだろう。

 見ればクシナダも食器棚の中身をモノが壊れることを構わず放り出している。

 

 少し躊躇いがあったが、裕子もクシナダに習って調べたものを床に放り出し、効率だけを重視して調査を進めていった。

 

 そして時間が流れて……

 

「クシナダさん、日記がありました」

 

 本棚を探っていたとき。

 部屋の主がノートに日記を書く習慣があり、そのノートが本棚に並んでいることに気づいた。

 

 そこで裕子はクシナダを呼び。

 その内容を確認する。

 

 そこには……

 

 親友の暗藤に借金の連帯保証人になって欲しいと頼まれたと書かれていて。

 部屋の主は悩んだが、あの暗藤に限って自分を裏切るはずが無いと思ってハンコを押したことが書かれていた。

 

(アイツを信じていたんだ……昔は信頼に足る人間だったのかもしれないね)

 

 だが、そのすぐ後に暗藤と連絡が取れなくなり。

 すぐさま、借金取りが彼の家や職場にまで現れるようになった。

 

 自分が裏切られたと気づき、部屋の主は絶望したらしい。

 連帯保証人は取り立てを拒否することが出来ないそうだ。

 日記にそう書かれていた。

 曰く「俺に借金返済の督促に行く前に、借りた本人の前に行け」が通じないそうだ。

 

 大切な親友と思っていた男に裏切られ、彼は絶望した。

 だがそのとき、彼の目の前に何かが現れたらしい。

 

 それが何なのかは、内容が荒れていて分かりづらくなっていた。

 

 ただ、最後に

 

『暗藤に話を聞きに行く』

 

『その後は……』

 

『闇金をやってやる』

 

 この3つが走り書きされていた。

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