宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

51 / 51
第51話 闇金の広告を見たことがあった

 裕子は前に、見掛けたことがあったのだ。

 

『即日融資』

 

『自己破産経験者も借りれます』

 

『無審査で100万まで』

 

 そんな言葉が書かれている張り紙を。

 

 ……以前。

 どうしても乾燥機が使いたくて。

 

 コインランドリーに行ったことがあった。

 雨が続いたせいで洗濯物が貯まり、やむを得ずに。

 

 そのときに店内のベンチに座って洗濯機を回しながら店舗内を見回していたとき。

 見つけてしまったのだ。

 

 そんな広告を。

 店舗の隅の目立たない位置に。

 

 電話番号と共に、そんな売り文句が書かれた広告が貼られているのが。

 

 さすがに即気づいた。

 

(あっ、これって)

 

 闇金の広告だと。

 

 見つけた瞬間、闇社会の入り口を見つけた気分になり、背筋が寒くなった覚えがある。

 

 そしてその後しばらくして。

 またコインランドリーを利用しなければいけなくなったとき

 

 行ってみると、まだあの広告が店舗の隅っこに貼ってあった。

 

 そのときは

 

(このコインランドリーのオーナー、あまりちゃんと自分の店を見ないのか)

 

 そう思い、呆れと

 

(こんな隅っこに貼って、見つける人の方が少ないんじゃない? 広告の意味あるの?)

 

 そんなことを考え、意味が分からないと思った記憶がある。

 

 そしてそれ以来、あの店舗には行ってない。

 そんな管理がいい加減なコインランドリー、危ないかもしれないではないか。

 警戒が甘い、穴場だと犯罪者が寄ってくるかもしれないだろう。

 

 だが今は、それが頼みの綱であった。

 

 あそこに行けば、まだ闇金の広告が貼ってあるかもしれない。

 

 

 

「ここですか?」

 

「ええ。ここです」

 

 クシナダが困惑した声を洩らす。

 裕子は頷いた。

 

「ここ、洗濯をするところなんですよね?」

 

「はい。一応」

 

 まあ、クシナダがそう言いたくなる気持ちも分かる。

 裕子が連れて行ったその場所……「せんたく屋キクチ」は、とても古びた店舗であった。

 ただ、場所が裕子のマンションからかなり近いのだ。

 

 なのであのとき利用したのだが……

 築20年以上は経っていそうな古さだ。

 今時自動ドアですらない。

 

 裕子がガラガラと引き戸を開けると

 

 今は夜なので暗くてハッキリとは見えないが、白い石膏ボード壁の無人の店舗内が目に飛び込んでくる。

 中には何台かの乾燥機、洗濯機。そして客用のベンチがあった。

 

 電気照明は自動では点灯せず、自分で点ける仕組みだ。

 電気をつけるときちょっとだけ、先に犯罪者が忍び込んで待ち構えていたらどうしようかと思ったが、そこは大丈夫であった。

 

 電気のスイッチの下には「退店時は消していってください」という張り紙がある。

 

 ……この店舗の経営者のいい加減さだけは良く窺える。

 だからこそ、闇金もここに広告を貼って行ったのか。

 

 明るくなった店内で、裕子は記憶を頼りに広告を探した。

 そしてそれはすぐ見つかった。

 

「あった! あれです!」

 

 裕子は乾燥機の傍の壁に、目立たない位置に張り付けてある小さな張り紙を指差した。

 まだあったのだ。

 

『即日融資! 電話はこちら!』

 

 という張り紙が。

 

 クシナダはその張り紙に書かれている電話番号を確認し。

 流れるように立体映像のモニターとキーボードを出現させた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。