宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第56話 嘘じゃない!

「ウオオオオオオオ!!」

 

 蓮田は絶叫した。

 裕子の言葉に正当性を感じてしまったのかもしれない。

 

 彼は叫び鉄球を振るう。

 

 そこにブレイバーが割り込み、それを捌き彼女を守った。

 

「落ち着け! 彼女の言い分を認めてしまったからと暴力に訴えるな! 最低過ぎるぞ!」

 

 ブレイバーの鋭い声。

 だが蓮田はそれには何も返さず

 

「暗藤の存在が中学時代の俺にとって、どれだけ救いだったか分かりもしないくせに! 何を、何を言うんだキミはぁ!」

 

 自分が中学時代に受けた恩を口にした。

 ほぼ金切り声で。

 

「あのとき俺は孤立していた! 誰も俺を助けなかった! あとから分かったことだけど、皆不良グループが怖かったんだ!」

 

 その声には涙声が混じっていたようにも思えた。

 その声は真剣だった。

 

 間違いなく彼の中の宝物なのだろう。

 

「だけど暗藤だけは違った! 不良グループのリーダーを一喝し、黙らせてくれたんだ! その勇気をお前は否定するのかッ!」

 

 否定を許さない力強い叫び。

 いや……悲鳴なのかもしれない。

 

 

 悪意をもって聞くならば。

 それは暗藤の気まぐれだったのかもしれない。

 一喝すれば不良グループを黙らせられる強さが暗藤にあったとするならば

 

 なんとなく見苦しいから、黙らせてやろう……

 そういうその場の思い付き。

 

 だけど

 

(そうじゃないかもしれないし。そして間違いなく蓮田さんにとってはそれは黄金(オウゴン)だったんだ……)

 

 大切な思い出。

 自分は中学時代に立派な友達を作って、その友情を育んで来た……

 

 そんな、かけがえのない黄金(オウゴン)。

 だから否定できなかったし。

 

 借金の連帯保証人にもなってしまったのかもしれない……

 そして今も

 

 悪いのは暗藤ではなく闇金なのだ。

 そんな思考に陥っている……

 

 そこに思考が至ったとき。

 

「否定しないですよッ!」

 

 彼女はまっすぐに蓮田を見つめ、正面からの言葉を叩きつける。

 その瞬間、蓮田の手の動きが鈍る。

 

 彼女は続ける。

 

「でも、人は変わるんですよッ! 立派な人が見る影もなく落ちぶれるなんて別に珍しいことじゃないですよねっ!?」

 

 その言葉を聞き蓮田は

 

「そ、そんなことはッ!」

 

 反射的に感情で言い返そうとする。

 だが裕子は畳み掛けるように

 

「あの人はあなたのことを恩知らずって言ってましたよ!? あなたも似たようなことを言われたから我慢できなくて思わず彼を半殺しにしたんでしょう!?」

 

 その言葉を言った。

 すると蓮田の手が完全に止まった。

 

 そして

 

「だから残念ながら今のあの人は最低の人間だと思います! でも、だからといって……」

 

 裕子はスマホを構えた。

 思うところがあったからだ。

 

 彼女は言葉を続けながら

 

 バルキリオンのアイコンをタップする。

 

「あなたの過去の思い出が全部嘘になるわけじゃないでしょう!?」

 

 その言葉は蓮田の身体を大きく震えさせた。

 

 同時に、馬の嘶き声が聞こえる。

 

 駆け込んでくる機械馬(マシンホース)。

 

「合一化!」

 

 そして裕子はバルキリオンと合一化し。

 

 

 

 そのまま

 

 

 

「ちい……!」

 

 動かなくなったアブダーマン=蓮田。

 彼が裕子の言葉で停止状態に陥ったことを悟り

 

「こうなっては仕方ないパタ……俺が無理矢理……」

 

 腰のベルトのバックルの口が、腹立たしそうにそう言ったとき。

 

 

 バルキリオンと合一化した裕子がそこに突っ込んで。

 アブダーマンのベルトバックル……そこにビームバルカン砲「バルキリーバルカン」の砲口を押し当てた。

 

 即座に砲口からゼロ距離でビームが炸裂する。

 それは主導権を蓮田から奪い切れていなかったアブダノイドには対応できなくて……

 

「何ィ!?」

 

 それはベルトバックルを破壊して。

 

 次の瞬間

 

 

 アブダーマンはアブダノイドと、人間・蓮田に分離した。

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