宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「気が付きましたか?」
そして。
蓮田は目を覚ました。
彼は裕子に抱き起されており、目覚めると確定で女子大生の女の子に抱き起されている事実に戸惑い、慌てて
「悪い」
そう言って身を起こし。
続けて
「悪かった……」
自分のやったことを思い出し、顔を曇らせ。
その場に居る3人……裕子、クシナダ、タケハヤの3人に頭を深く下げる。
土下座する勢いで。
そして彼は話し始めた。
自分に何があったのか。
それは
「……職場に闇金の取り立てが来て、俺の居場所が無くなったと絶望したとき。黒髪黒づくめの、隙のないエリートっぽい男性が現れて……」
その男は彼に奇妙なモノを渡しこう言ったらしい。
キミは被害者だ。
被害者こそ真の正義が分かる。
キミに力を与えよう。
この力でこの世に真の美と正義を齎してくれ……
そのモノは生物的質感を持った、直径30センチほどの大きさの緑色の円形物体で、その厚さは10センチくらい。
その中央部に嘴のようなものがあり
「オマエ! 俺と契約してヒーロー『アブダーマン』になるんだパタ! 俺はパタアブダーだパタ!」
そう言ったそうだ。
その結果、彼はパタアブダーと契約しアブダーマンとなり。
暗藤を襲撃した後、パタアブダーに言われるままに闇金事務所を襲い、その構成員をアブダノイドの材料として確保して回っていたらしい。
その犠牲者は……
おそらく、今彼らの周囲に倒れ伏しているガラの悪そうな格好をした男たちであろう。
「そうだったんですね……」
裕子は男性の話を聞いて思う。
普通に生きている人が、
酷過ぎる、と。
そして蓮田の話を聞きながら、立体映像のモニタとキーボードで何かの検索を行っていたクシナダは
「……一応、この国の法律と判例をざっと検索しましたが……その連帯保証人の契約書は、信頼できる第三者の立ち合いで結んだものですか?」
そう訊ねる。
すると蓮田は頭を振り
「いや、そんなことは……喫茶店でやったんだ」
否定。
するとクシナダは
「だったらそんな契約は脅迫で結ばされた可能性があるという方向で攻めれば、おそらく一方的に破棄できますよ。あの男性、体格はすごかったですしね」
そう、笑顔で蓮田にアドバイスを出した。
蓮田の顔に希望が射す。
「そうなのか……!」
信じられない、嬉しい。
そんな気持ちが満ち溢れた表情。
クシナダはそんな彼に
「ええ、大丈夫です」
そう言って頷いた。
……後から裕子が彼女に確認したことだが。
これは暗藤にクシナダが事前に掛けていた暗示……
自分を襲ったのは闇金だという主張する。
これを考慮に入れ、おそらく暗藤は闇金と揉めるという見立てと。
そもそもとして闇金が違法で後ろ暗いことから、蓮田が連帯保証人の契約の一方的破棄を主張しても、争う余裕が無いだろうという見立ての結果だったらしい。
つまり多少いい加減なことを彼女は言ったわけだが、それで蓮田の希望が戻るなら問題無いだろう。
……こうして。
蓮田は3人に感謝して去って行った。
そして
「……義兄さんはそんな邪悪なことをする人じゃなかった……ムラクモツヴァイ……許せない」
「俺も同じ気持ちだよ……アイツを許すわけにはいかない……!」
クシナダとタケハヤは、今回の事件について怒りを燃やしていた。
蓮田にアブダーマンの力を渡した黒づくめエリート男性が、ムラクモツヴァイであると気づいたのだ。
彼女らにとっては、身内の存在を貶められた気持ちなのだろう。
だが裕子は
(……本当にムラクモツヴァイはムラクモって人のクローンなの……?)
口には出さなかったが、その疑念を消すことが出来ないでいた。
彼女が本物のムラクモという人物を知らないために。