宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第60話 海の家るるいえ

 私もついて行って良いですか?

 

 そのクシナダの言葉に対して

 裕子は

 

「えっ、どうして?」

 

 思わずそう返してしまった。

 するとそれに対して

 

 教えてくれた。

 それは

 

「桐谷裕子さんが家を空けるなら、私がここに残る意味が無いんです」

 

 何でも。

 裕子が家を空けるなら、タケハヤはその間宇宙船に戻って宇宙船を活用した本格的な捜査活動をするので。

 クシナダとしてはそれを邪魔したくない。

 

 とはいえ、留守番でこのマンションの部屋にいるのはメリットがない。

 だったら裕子と一緒に居た方が、もしアブダーの襲撃があった場合に対応が出来るので安心ではないか。

 

 裕子のバイトにはクシナダは不要な存在であるが、裕子の護衛の意味であればクシナダの存在は意味がある。

 

 まあ、納得できる理由ではある。

 

 なので

 

「分かった。じゃあ一緒に行こう」

 

「ありがとうございます」

 

 裕子の海の家でのバイトに、クシナダが同行することが決定した。

 

 

 

 そして、海の家でのバイトの日がやって来た。 

 

 空にはカンカン照りの太陽が輝いている。

 潮の臭いと、若者たちの賑やかな声が聞こえる。

 

 そして暑い中、焼きそばのソースの匂いやフランクフルトが焼ける匂いが漂う。

 裕子は、海の家「るるいえ」でホールの仕事をやっていた。

 普段のバイトで呑み屋のバイトをしている彼女にとっては、慣れた仕事である。

 

「桐谷さん、3番テーブルにウーロン茶2つとフランクフルト!」

 

 ハゲ頭のがっしりした体格の店主から、ダミ声の指示が響く。

 裕子は「はい!」と短く返事をして、大きなプラスチックカップにウーロン茶を注いだ。

 

 他3人の友人たちも、慣れないながらも分担して懸命に仕事をしていた。

 

 厨房の仕事は店主の男性とその奥さんのおばさんの2人で回して。

 接客の仕事を、裕子たちが担当する。

 

 それでも忙しかった。

 

「お姉さん、生ビール3つちょうだい!」

 

 そこに、若者のグループがそんな注文を飛ばして来る。

 裕子はそのグループのテーブルに行き、頭を下げつつ

 

「申し訳ありません。ウチはソフトドリンクだけなんですよ。ノンアルビールならあるんですが」

 

 そう、この店のスタイルを伝える。

 この店は海に入るリスクを考え、アルコール飲料を出さない方針であった。

 

 すると若者グループは残念そうな顔をして

 

「ええ、そうなの? ……まあいいや。ノンアルビール3つで」

 

 注文を変更。

 

「分かりましたノンアル3つですね」

 

 そのメモを取りつつ。

 内心裕子は

 

(メニュー見てよ。どこにも書いてないでしょ。……どうぜビール飲んでる人が居るから生ビールがあるんだと思ったんだろうなぁ)

 

 そう思いながら、取った注文を店主に報告。

 そしてプラスチックカップ3つに冷蔵庫からノンアルビールを3つ出し、注いで客に提供する。

 

 そこに

 

「桐谷裕子さん、その白Tシャツとホットパンツ似合ってますね」

 

「それはどうも……」

 

 ここはアルコール飲料が無いため、クシナダの仕事がほぼ無い。

 トイレでリバースする客がいないからだ。

 

 注文の取り忘れも、4人掛かりでやっているのでなんとか手が足りていて。

 

 今のクシナダは完全にお客さんであった。

 

 だから

 

 海で遊んできていいよ。

 そう言ってあげたかったが

 

 さすがにそれは言えず。

 

 少し考えて

 

「……海の方で危ないことをしてる人いないか見ておいて。ここは良いから」

 

 そう言った。

 

 今のクシナダは裕子同様、海バージョンの衣装……白いワンピース水着を着ていたので。

 

 クシナダの方も、自分の仕事が全く無いのが辛かったのか。

 少し考えた後

 

「分かりました」

 

 そう一言残し

 

 海の方に向かって行った。

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