宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
激動の初日が終わり、2日目。
明日の午前中でバイトが終わり、家に帰る予定なのであるが。
ここに来て、余裕が出て来た。
仕事に慣れて、4人は不要になって来たのだ。
半分の2人で良いだろうということになり。
そこでバイト料を少し下げてもらう代わりに、交代で長めの休憩を取ろうという話になった。
とはいえ。
(何をすればいいというのだろう……)
自分の番の休憩が回って来たので。
裕子は夏の浜辺に放り出された。
一緒に休憩に入った友人の小林は、奥で寝てくると言い、スタッフルームに引っ込んでいった。
彼女は別に海に興味が無いらしい。
裕子もどちらかと言えばそうなのであるが……
(クシナダさんに海に行かせている手前、様子を見に行った方が良いよね……)
今クシナダはどうしているだろうか?
存在解像度を下げていた場合、今の裕子には見つけられない可能性があるのだが……
浜辺に出ると、注目を浴びている女性がいた。
ちらちらと視線が集中している。
クシナダだった。
存在解像度を下げていなかったらしい。
そうなるとクシナダはただの銀髪の眼鏡美人である。
しかも水着姿。
「クシナダさん」
駆け寄るとクシナダがこちらに気づく。
「あら桐谷裕子さん。バイトの方は?」
「余裕が出て来たから、バイト代下げてもらう代わりに休憩を長くする案が」
裕子の言葉にクシナダは
「なるほど。そちらの方が雇用主の人としても出費が抑えられて助かりますね」
そうコメント。
正直提案することに少しだけ負い目があったので、クシナダのその言葉はありがたかった。
「クシナダさんは何をしてるんですか?」
「海難事故に遭ってる人がいないか見張っていました」
まあ、それくらいしかやることがないのかもしれない。
「色々放置でごめんなさい」
「いえ、別にそれは大丈夫です。久々の海水浴ですし」
(久々?)
「宇宙でも海水浴あるんですか?」
「はい。普通にありますよ」
どうも文明レベルに差があっても、知的生物のレジャーにはそれほど大きな差は無いのかもしれない。
ただ、流石に規模は違うようで……
「海洋専用惑星、というのがありまして」
クシナダは教えてくれた。
宇宙の富裕層が楽しむ「海のレジャー」
それは……
「レジャー用に惑星1つを改造しているんです。危険な生物を排除し、海難事故が起きないように、利用客の安全を守るパトロールAIが」
ようは鮫もおらず、溺れそうになっても即人工知能が救助に来てくれる、夢のような環境……
海の幸の養殖も行っており、海遊びだけでなくグルメも楽しめるらしい。
(スケールが違うなぁ)
浜辺の隅で座りながらそんな話を聞いていると
裕子のスマホが震えた。
アラームだ。
どうやら休憩時間の終わりらしい。
「ゴメン。時間だから行くね」
「ええ。お仕事頑張ってください」
立ち上がり、去っていく裕子の背中に。
クシナダのそんな言葉が掛けられる。
そして裕子が海の家に戻ると……
何やら友人2人が慌てている。
(何かあったの?)
そう思い
「どうしたの?」
訊ねると
友人の1人……香村が血相変えてこう言って来た。
「コバちゃんがいなくなった!」