宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「あの女の子は、私の元友人です!」
裕子は即座にクシナダに伝える。
隠す理由が無かった。
そして一瞬で理解した。
でなければ、アブダーゾーンにいることの説明がつかない。
クシナダは弾かれたように裕子に視線を向ける。
「それは本当ですか!?」
裕子は激しく頷いた。
「間違いないです!」
場の興奮で、言葉が思わず敬語になる裕子。
裕子の言葉を聞き、クシナダは思案顔になる。
そして。
「……元ご友人なら、説得しますか?」
「出来るんですか?」
その裕子の言葉にクシナダは頷くが
(でも)
裕子は思った。
元々
挙句破滅したのだ。
(私が説得しても無駄だ)
裕子はそう考え
「すみませんクシナダさん。プロにお願いしたいです」
彼女は
自分がやっても絶対に失敗すると言った。
クシナダは眉を顰めた。
「……なるほど」
そして頷く。
「分かりました。私がやります」
そして彼女は
「ええと、聞こえますか
そう穏やかに呼び掛けた。
その言葉は、次元を隔てたアブダーゾーンにも伝わったようだ。
暮香はハッとして、焦ってあたりを見回した。
「どこ!? どこにいるの!?」
その言葉に淡々とクシナダは
「私は別次元から話しています。ちなみにこれは最後通牒です」
そう返した。
最後通牒……つまり、要求が受け入れられなければ即座に攻撃するということか。
裕子はクシナダがそんな強い言葉を使うことで、暮香を怯えさせ、投降させようと考えているのだ……そこに思い当たった。
(これがプロの交渉なんだ)
自分ではこのやり方は出ない。
そう思い、裕子は自分の決断に間違いはなかった……そう確信する。
だが
「もしかして
暮香のその言葉に
「ええ、そうですよ」
クシナダがそう肯定の言葉を返すと
暮香の表情が醜く歪んだ。
「……馬鹿じゃ無いの?
(……え?)
クシナダの表情が強張る。
暮香は
戦慄する裕子とクシナダ。
ふたりはてっきり、暮香はアブダーの末端として使い走りをしているだけだと思っていた。
だから脅すだけであっさりとひれ伏すと思っていたのだ。
まさかアブダーから
つまり最初から、暮香は
「残念だったわね! 今の私にはそんなやっすいオドシなんて通じないから!」
そして
驚愕の事実はそれだけで終わらなかった。
なんと……
モニターの中で、暮香はその姿を変えていく。
そのネイルが施された手が、メカメカしい銀色の機械の手になり。
身体を覆う派手目の衣装が、無骨な鋼鉄の装甲に変化。
数瞬後、暮香の生首が搭載された銀色の戦闘ロボ……
そんなものに変化する。
(これって……)
裕子の顔から血の気が引く。
この前の蓮田の場合は無改造で、その身体を外骨格状のアブダーが覆うことでアブダーマンとなっていた。
だがこの暮香の場合は、本人が改造されている……
おそらく、頭部以外の全ての部分が
画面の中で暮香は叫ぶ
勝ち誇った笑みで。
「さあ、来てみなよ! 私は脳は弄って無いから間違いなく地球人! やったらハンザイだからね!?」