宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「身代わりになるぅ……?」
暮香は小馬鹿にしたように嗤いながら
「何言ってんの? 馬鹿じゃないの?」
そう斬って捨てる。
裕子の提案など聞く価値が無い。
そう言いたいらしい。
「何で私がそんなお願い聞かないといけないのぉ~? 教えてぇ~?」
そしてそう、神経を逆なでする声で返して来た。
裕子は……
(あの子は小林さんへの怒りが大きくて、それ以外は今はどうでもいいんだ)
暮香の態度に逆上することもなく。
冷静に分析をしていた。
そして
(だったら……)
彼女は
「……言わなきゃ分かんないんだ? さすがリボ払いで破滅した人は頭の悪さが違うわね。スケールが大宇宙級じゃない?」
そう、堂々とした声でそう言い返した。
その瞬間、暮香の表情が引き攣るのが分かった。
(やはりそこを弄られるのは嫌なんだ)
本来、他人が触れられたく無いことを敢えて触れるのは恥ずべき行いである。
だが今は……
小林への怒りより、裕子への怒りが上回らないといけないとき……!
裕子は彼女の頭脳をフル回転させ、暮香を激昂させる言葉を考え
「ハッキリ言って馬鹿過ぎるわよね? 定額払いだからいくら使っても大丈夫? そんなわけあるはずないじゃない! そんなシステムが実在したら、カード会社があっという間に倒産するでしょ! あなた、その知能の低さでよく木見北大通ったわね? 小学校出てるかどうかも怪しいわよッ! ひょっとして替え玉でも使ったの!?」
……口に出した!
その瞬間!
「ウルサイウルサイウルサイ! 黙れクソブスがッ!」
目を血走らせ唾を飛ばしながら。
暮香が激昂した。
「お前から先に切り刻んでやる! どこだっ!? どこにいるッ!?」
そして暮香は空間を歪め、アブダーゾーンとこの次元を繋ぐ「窓」を出す。
その小さな次元の歪みを覗き、こちらの次元を目視で確認している。
(あれで見つけないと引き込めないのか)
裕子はそれを確認し。
彼女は自分のスマホをクシナダに差し出した。
「えっと」
それを見ても、彼女の意図が読めないのか
裕子の意志を探るような視線を向けるクシナダに
「……タケハヤさんが来たら、2人でアブダーゾーンに来てください」
そう裕子は、自分の意図を言葉にする。
彼女はこう考えていた。
自分に貸与されているバルキリオンは、スマホさえ置いて行けばタケハヤであれば問題なく使えるはずだ、と。
だからそれを期待して……
「私が時間を稼ぎます!」
そう言って彼女は駆け出した。
海の家「るるいえ」に向かって。
小林はそこで拉致された。
だったら暮香はその周辺を探しているはず。
そんな彼女の読みは
海の家が視界に入る位置まで彼女が辿り着いたとき。
突如空間が歪み、吸い込まれることで……正しかったことが証明された!
邪悪な四次元空間への穴に飲み込まれ、裕子の意識は一瞬途絶える。
次に気が付いたときには
「……誰が馬鹿だってぇ……? クソブス。もう一度言ってみなよ……?」
怒りに燃える機械人暮香が場を支配する、薄暗い採石場のような場所に立っていた。
……アブダーゾーンだ。