宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第67話 ギリギリの戦い

(身体がなんだかだるい)

 

 裕子はアブダーゾーンに入って、まずそれを身をもって体感した。

 

 アブダーゾーンのデバフ効果だ。

 およそ3分の1に力が制限される……!

 

(走って逃げるのは難しそう)

 

 ここで裕子は無傷を諦めた。

 宇宙の科学技術を使用すれば、すっかり身体を治すことは可能のようだし。

 無傷は無理でも、頑張れば死ぬことを避けることくらいはできるかもしれない。

 

 だから

 

「何度でも言ってあげるわ。あなたはあまりにも頭が悪過ぎるよね」

 

 裕子は驚くほど平気な顔で、そうハッキリ言った。

 その言葉に暮香の顔が怒りに歪む。

 

 そして

 

「黙れッ!」

 

 暮香が指先を突きつける。

 その指先が変形し、筒状に変化。

 

 同時にそこから光線が出た。

 

 その光線は裕子の足元を穿った。

 

「クソオオオオオ!!」

 

 暮香は怒りのままに喚き散らす。

 そこで裕子は悟った。

 

(狙いを外したんだ)

 

 ということは、自動で狙いをつけるようなシステムは機械人暮香には搭載されて無いのかもしれない。

 

(だったら)

 

 裕子はそこから暮香が聞き流せない話を組み上げる。

 ほぼ仮説だけで組み上げられた思い付きだが。

 

「機械の癖にビームが命中しないってお笑いじゃない? 私は別に兵隊でもなんでもないのに。あなたが単純に下手なのよ」

 

 暮香の顔が般若面のようになる。

 だだ裕子はそのまま続けた。

 

「それはおそらく、脳改造がされてないせいね! だから射撃という難しい行為を機械でサポートできないんだと思う! あなたの低質な脳ミソだけじゃ、その距離で当てられるわけないもの!」

 

「うるせええええええ!!」

 

 暮香はビームを乱射した。

 裕子はだるい体で懸命に走る。

 

 だが当たらない。

 

 どうも裕子の仮説は正しかったようだ。

 機械人暮香に射撃サポートシステムのようなものは搭載されていないらしい。

 無改造の脳にそういうものを繋ぐのが手間だったのか。

 

(これでだいぶ時間が稼げるし……)

 

 裕子はちらりと視線を向ける。

 

 縛られている友人・小林に。

 小林は裕子を迷いと焦りの表情で見つめる。

 

 裕子の手助けがしたいが、今の自分がやれることが分からないのかもしれない。

 

 裕子は思った。

 

(上手くすれば小林さんからも引き剥がせる)

 

「改造処理がお粗末すぎる! あなたアブダーに使い捨てにされるだけよ! 今なら生身に戻るために知り合いの宇宙科学者にクチきいてあげてもいいよ!」

 

 時間稼ぎをするため、そんなことも言う。

 ただしこれは出まかせではなかった。

 

 一応、本気で言っていた。

 復讐を諦めて投降するなら助けるつもりだった。

 

 裕子が謎の力を持っている。

 それはなんとなく暮香も知っているはずだから。

 この話は説得力あるはず。

 

 ……バルキリオン召喚を目撃したはずの暮香なら。

 

 だが

 

「うるせえんだよ! お前らに仕返ししたら、生身に戻るための再手術を……!」

 

 彼女は聞き入れず、喚きながら下手くそなビーム射撃を続ける。

 その言葉に

 

「そんなの、アブダーがするわけないでしょ馬鹿なの!?」

 

 被せるように裕子は言葉を叩きつける。

 根拠はあった。

 

「何で凶悪犯罪者集団であるアブダーが、あなた程度の取るに足らない存在のために約束を守らなければいけないの!? あの手の集団は、メリットが無い約束は守らないに決まってるでしょッ!」

 

 暮香との約束など、反故にしてもどこからも文句は出ない。

 だったら守るわけがない。

 

 当然の結論である。

 

 その瞬間、暮香のビーム射撃が止まった。

 

 代わりに

 

「死ねッ!」

 

 暮香は跳躍した。

 逃げる裕子に向かって。

 

 その右手の鋼鉄の鉤爪を振り上げながら。

 

 裕子は走っていたが弱々しい。

 アブダーゾーンのデバフが掛かっているせいだ。

 

 そんな裕子の背中に暮香はグングン近づいて――

 

 だがしかし

 

 そのときだった。

 

 突如、ガラスが砕けるような音と共に次元の壁が破られて。

 そこに機械馬(マシンホース)に跨った2名のメタルスーツに身を包んだ宇宙刑事が乗り込んで来て

 

 暮香に全力の体当たりをぶちかます。

 それはあっけなく機械人暮香を吹き飛ばした。

 

「ギャアアアアアアア!」

 

 吹き飛ばされ宙を舞う暮香。

 

 その場に機械人の悲鳴が響き渡った。

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