宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「遅くなりました! 無事ですか!?」
ブレイディに電装したクシナダが、バルキリオンから飛び降りつつ反重力バイクを召喚し。
そのまま跨ってホバリングしながら裕子にそう訊ねる。
裕子は頷き
「私は大丈夫だから私の友達をお願いします!」
「分かりました!」
その返事と同時に。
クシナダの反重力バイクは小林がいる方向にカッ飛んで行く。
これでもう、人質は気にする必要は無い。
そう思い、裕子は視線を戻す。
バルキリオンのぶちかましを喰らって吹っ飛んだ機械人暮香が起き上がって来る方向に。
暮香は怒りの形相でブレイバーに目を向ける。
そして
「何すんのよ!? 法律違反じゃん!」
だがそんな暮香の金切声に対して
「現地の一般人が宇宙犯罪組織の技術で改造された別の一般人に殺されようとしていた。それを阻止しただけだ」
ブレイバー=タケハヤは全く動じずに冷静に答える。
その言葉に暮香は
「だからそれが法律違反だって言ってんだろ! ボケが!」
さらに噛みつくが
「……キミは緊急避難というものは知っているか?」
「え」
暮香のその非難の言葉は、ブレイバーのその言葉で一瞬で停止させられた。
彼は続けた。緊急避難とはどういうものかを。
「地球にも似たものがあるはずだ。自分や他人の生命財産を守るため、やむを得ず他者を攻撃してしまった場合にそれを不問に付すという考え方が。それと同じようなものは宇宙連邦法にも存在するんだ」
そしてブレイバーは自分の行為が宇宙連邦法と照らし合わせても全く違法ではないことを説明する。
「キミはアブダーの技術で改造された身体で、現地人の協力者桐谷裕子さんを殺害しようと襲い掛かっていた。バルキリオンの体当たりで吹き飛ばす程度は許される」
ブレイバーの冷徹なその言葉に。
機械人暮香の唯一の生身部分である頭部はみるみる青くなる。
「そ、そんな……! 聞いてない……酷い……それにズルイじゃん……!」
彼女は自分が一切攻撃されないと思っていた。
自分は完全に安全であると。
だからアブダーの立てたこの復讐計画に同意をし、こんな行動に及んだのだ。
なのにそんな法の抜け穴があるなんて。
ズルイとしか彼女には言いようが無かった。
しかし
「ズルくない。法律というものはそういうものだ。例外が必ず存在する」
ブレイバーは冷徹にそう言い捨て。
そして
「……どうする? この状況ではもはやキミを処刑するしかアブダーゾーンを出る手立てはない。もうその逆恨みを止めて投降するか、それともここで俺に処刑されるか……?」
片膝を曲げ、もう片方の足を大きく後ろに引く奇妙な構えを取る。
そしてその両手を合わせ
「ブレイバーブレード!」
その手の中に、形状記憶超合金ヒヒイロカネを集中させ、必殺武器ブレイバーブレードを出現させた。
それを一振りし、言う。
「……時間が無い。10秒で決めろ!」
最後の選択。
処刑か投降か。
それを機械人暮香は……
「止めます!」
即座である。
機械人暮香はその場に這いつくばり、機械の身体で土下座をした。
生身の額がアブダーゾーンの石と砂の地面にこすり付けられた。
機械人暮香に、命を懸けてまで貫きたいものは存在しなかったのだ。
「そうか」
その言葉を聞いたブレイバーは構えを解き
ならば今すぐアブダーゾーンを解除するんだ。
そう言おうとしたとき。
その場の空間が歪み、もう1つの人影が踏み込んで来た。
「お前は……!?」
それを見たブレイバーの声に怒りが混じる。
それは……
漆黒のメタルスーツで身を包んだ
ムラクモツヴァイ。
ブレイバーキラーであった。