深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた件   作:匿名希望

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第7話 アブダーゾーン

「相乗りって」

 

「……シャコアブダーは、アブダーゾーンに逃亡した。アブダノイドが逃走するときに使用する異次元だ」

 

「異次元……」

 

 ブレイバーは説明する。

 アブダーゾーンは邪悪な四次元空間であり、邪心に満ちた者以外その力を大きく落とす悪魔の空間なのだと。

 その減衰率、およそ3分の1……

 

 つまり、アブダーゾーンではアブダノイドは3倍強くなる……!

 

「それじゃ、逃げられた時点で終わりじゃ無いですか!」

 

 裕子の声は悲鳴に近かった。

 アブダノイドはいざとなったらアブダーゾーンに逃げることができ、逃げられたら実質3倍強くなるので、たとえ追いかけることが出来ても倒しようがない……!

 

 あまりにもアブダーに有利なこの状況。

 どうすればいいというのか。

 

 そんな裕子の言葉に

 

「だから、相乗りなんだ」

 

 そう返し。

 説明した。

 

 だからこれからどうするのか。

 

 それは……

 

「これから俺はアブダーゾーンに乗り込む。……このメタルスーツの出力を最大限まで上げれば、アブダーゾーンのデバフ効果を100秒程度打ち消すことは可能だ」

 

「その間に倒す」

 

 それは力技。

 安全とは到底言えない強引な手段。

 

 だからブレイバーは裕子に訊ねる。

 

「……当然、危険は伴うが……キミをここに置いていくことが危険過ぎる以上、そうするしかない……いいかい?」

 

 彼女の意志を。

 

(どうしよう……?)

 

 裕子は迷った。

 絶対嫌だと言えば、きっと彼は認めてくれると思う。

 

 でも、それはきっと彼の迷惑になる。

 

 ……アブダーは宇宙の人攫い組織。

 放置していれば、人が拉致されてしまう。

 

 ひょっとしたら自分の弟も、アブダーに攫われた犠牲者かもしれない。

 自分のような思いをする人を、これ以上増やすのは……

 

 そう思ったとき。

 

 彼女は言っていた。

 

「……付き合います!」

 

 その言葉にブレイバーは頷く。

 そして叫んだ。

 

「来い! バルキリオン!」

 

 その声に応え。

 どこからともなく馬の嘶きが聞こえた。

 

 そして瞬く間に

 蹄の音と共に

 

 裕子の目の前に、機械で出来た銀色の馬が現れる。

 フォルムは馬そのものなのだけど、機械なのが一目で分かるその姿。

 

 ブレイバーはひらりとその背に跨り

 

 相乗りなのだから、自分はその後ろに乗るのかと思っていたら

 

「合一化!」

 

 ブレイバーのその言葉と同時に

 

 ……裕子は、その馬に頭を噛まれた。

 

 

 噛まれたと思ったとき。

 

 

 彼女は馬の中にいた。

 馬の視点で、外を見ている。

 

(……え?)

 

 突然のことに戸惑う。

 戸惑う彼女に

 

「……これが次元超越騎獣バルキリオン……それの合一化だ。悪いがその中に居て欲しい」

 

 ブレイバーがそう、詫びの言葉を入れる。

 

 ブレイバーがアブダーゾーンに突入し、内部でアブダノイドを倒すまで。

 彼女はこの、機械仕掛けの馬の中にいるしかない。

 

 恐ろしくはあった。

 だけど

 

(分かりました。行ってください)

 

 迷わずに、そう返す。

 その言葉に

 

「……ありがとう」

 

 ブレイバーは感謝を示し。

 続けて

 

「でも、安心してくれ……」

 

 こう言い放つ。

 

「……絶対に勝つ!」

 

 同時にブレイバーはバルキリオンの胴を蹴り、走らせて。

 次元の壁を打ち破り、悪魔の空間・アブダーゾーンに突入した。

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