宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「ブレイディ!」
ブレイディ=クシナダが次元の穴の向こうに姿を消すと同時に。
アブダーゾーンが消滅し、裕子たちは元の次元に投げ出された。
タケハヤは電装していたメタルスーツを解除する。
その表情は厳しいものだった。
婚約者であり、同じ宇宙刑事のブレイディを攫われたことに無力感や憤りを感じているのか。
(タケハヤさん)
裕子は彼に同情したが、掛ける言葉が見つからない。
半ば、自分のせいであるからだ。
タケハヤが裕子を救わなければ、ブレイディ=クシナダがブレイバーキラー=ムラクモツヴァイに攫われることも無かったはずであるから。
どの口が言ってるんだ?
慰めの言葉など言えば、怒りを買うだけな気がした。
だから
「タケハヤさん」
彼女はタケハヤに駆け寄り
「絶対にクシナダさんを救い出しましょう。あの男は決着をつけようと言いました」
励ますのではなく、共闘の意志を見せる。
裕子はタケハヤと一緒に行く覚悟を決めていた。
バルキリオンに入れば自分も手を貸せる。
無意味じゃない。お荷物ではない……
その自負があった。
その言葉は
「……そうだな」
タケハヤのその言葉を引き出した。
彼は突きつけられた理不尽を前にして、その理不尽の直接原因になった裕子を詰ることはしなかった。
内心裕子はそれを覚悟していたのだが。
男性にとって、将来を誓い合った恋人を攫われるなど悪夢以外の何物でもないはずだから。
だが彼はそんな悪夢を前にしても己を見失わず、前を見ていた。
(クシナダさんの男性を選ぶ目は間違っていなかった)
裕子はそう思い。
そんなクシナダのためにも、全力で手を貸そうと思ったのだった。
友人の小林は、この件に関しては何も言わなかった。
言えなかったのかもしれない。
あまりにも現実離れしていて他人に言いふらせるような内容では無いし、喜ばしい内容でも無かったからだ。
暮香は絶縁した人間ではあるが、間違いなく知った人間であった。
そんな人間が自業自得とはいえ、目の前で死んだのである。
ショックを受けないはずはなかった。
「ゴメン。休憩時間中に誰かに呼ばれた気がして外に出たんだけど……どうして誰も私に気づかなかったんだろうね?」
海の家「るるいえ」に戻り、スタッフルームから姿を消した理由について説明を求められたとき。
小林はそんな心霊現象のような嘘を言って話を合わせてくれたが……
その顔色が良くなかったのは、決してこの件とは無関係では無かったはずだ。
そして海の家のバイトが終わり。
連休も終わり。
マンションに戻って来た後。
次の日だ。
朝、大学に向かう前にエントランスの郵便受けをチェックすると、そこに1枚のハガキが入っていた。
その差出人は「宇宙犯罪組織アブダー」となっており。
裏面にはこう書かれていた。
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【ご案内】タイマンバトルのお知らせ(宇宙犯罪組織アブダー幹部ブレイバーキラーことムラクモツヴァイ)
宇宙警察ブレイバー(タケハヤ)様
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
宇宙犯罪組織アブダーのブレイバーキラーことムラクモツヴァイです。
この度、弊組織におきましてタケハヤ様とのタイマンバトルを開催する運びとなりましたので、ご案内申し上げます。
本イベントは、タケハヤ様を私が1対1で抹殺することを目的としております。
ご多忙中とは存じますが、ぜひご参加賜りますようお願い申し上げます。
ご参加いただけない場合、タケハヤ様の婚約者であるクシナダ様は宇宙娼館売り飛ばされることをお覚悟下さい。
記
• 日時:〇月△日(日) 14:00より (受付開始 13:30)
• 会場:東京近辺の無人島・灯影島バトルステージ
• アクセス:東京駅より音速で南に約50分
• 内容:宇宙警察ブレイバーと宇宙犯罪者ブレイバーキラーの一騎打ち
• 参加費:タケハヤ様の御命
• 定員:1名(付き添いは許可)
• 注意事項:宇宙警察本部への応援要請は不許可です。それが確認された場合は即座にクシナダ様を宇宙娼館売り飛ばします。
~~~~~~
〇月△日は次の日曜日の日付である。
それを見て裕子は思った。
(まさか向こうから案内が来るなんて……!)
これは必ず勝てるという自信の表れなのか。
だが、逃げるわけにはいかない。友達の無事が掛かっている。
そして同時に……
決して負けるわけにはいかないのだ。