宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
黒と白、漆黒と銀の戦士が激しく戦っている。
打ち合わされる剣。
ブレイバーは一刀、ブレイバーキラーは二刀。
一刀流のブレイバーが、二刀流のブレイバーキラーに押されているように見えた。
「ハハハハッ! どうした!? お前はこの程度の男なのかッ!?」
「太刀筋が戦えば戦うほど……ムラクモそっくり……キサマ、どこでその技を……!?」
激しく剣を打ち合わせながら、会話するふたりの戦士。
ブレイバーには困惑の色があり
ブレイバーキラーには
「修行し学んだのだよッ! 知っているはずだッ! 所謂心技体の心に属する部分は、魂に刻み付く記憶であると!」
……確実に愉悦の色があった。
「剣は知識だけでは身につかんッ! そのくらいお前も知っているはずだッ!」
ブレイバーキラーは高笑いを続けつつ、二刀で斬り掛かる。
両方の剣が急所を的確に狙うだけでなく、囮も交え、ときには蹴り技すら交える。
戦い慣れたその戦士の姿。
(……本当に、この男は生まれて大して時間が経過してないクローン人間なの?)
不自然に思えた。
ブレイバー=タケハヤが厳しい修行を重ねて手に入れたであろう、宇宙警察の宇宙刑事としての強さに十分対抗できるほどの強さ……
そんなものを、果たして遺伝子が全く同一であるという理由だけで、短期間で手に入れられるものなのだろうか……?
変だと思った。
けれども……
(今は口にするべきじゃない)
ブレイバーキラーは強敵だ。
雑念を持ったまま戦って勝てる相手ではない気がする。
(だから今はそんなことを口にして彼の邪魔をしては駄目なんだ)
裕子はそう思い、ただひたすらタケハヤ=ブレイバーの勝利を祈った。
だが。
ブレイバーキラーはブレイバーの袈裟の斬撃を一刀で受け流し、残る一刀で切りつけ、それを避けるブレイバーとの距離を離した後。
突如
「……ブレイバー……いや、タケハヤ……お前はまだ斬撃に袈裟が多い癖が直ってないな」
(えっ?)
その瞬間、空間が凍った気がした。
ブレイバーの手が止まる。
「この短期間で、俺の剣の癖を見抜いただと……?」
ブレイバーのその声には困惑……いや、動揺があった。
絶対にない。ありえないと最初から否定していた答え……
それは
ブレイバーキラーは
「そうじゃない。タケハヤ」
ブレイバーキラーは二刀流で振るっていた双剣を、柄尻の部分でドッキングさせ、双極の剣にする。
そして言った。
酷く穏やかな声で。
それは
「……俺だよタケハヤ。ムラクモだ」
その言葉が出たとき。
今度こそ、空間が完全に凍り付いた。
その凍った空間の中、語る。
それは
「ムラクモのコピー人間であるムラクモツヴァイなんてものは真っ赤な偽り……あり得るはずが無いだろう……? 胎紋認証を誤魔化す手段なんて……そんなものがあれば、宇宙の認証技術が根底からひっくり返っているよ」
タケハヤとクシナダが認めたくない言葉であった。
あり得ないと、あってはならないと
「なん……だって……?」
(そんな)
タケハヤと裕子は激しいショックを受けていた。
(どうして)
裕子はタケハヤの心中を想像し、その残酷さに胸が潰れるような気持ちになった。
これは裏切りだ。
あってはならない裏切り……!
だが
「さあ、続きをはじめようかタケハヤ……ここからは俺も本気を出す……!」
そんな2人を前にしてムラクモツヴァイ……いや、ムラクモは
「お前も本気で来い! でなければ死ぬぞ!?」
そう言い放った。
……愉し気に。