宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第76話 こんな結末、認められない!

(こんな結末、認められない)

 

 横恋慕の果て。

 想い人を奪い取るために。

 

 こんな汚い手段でタケハヤのような真っ直ぐな男性を倒すなんて。

 

 あってはならない。

 

 そう思ったとき。

 

 裕子の脳裏にかつてクシナダが言っていた言葉が蘇る。

 

 胎紋はその生命体が誕生したとき、母親の胎内で刻まれる命の紋様なんです。

 クローンでも胎紋は違うんですよ。

 

 そう。

 

 胎紋は違うらしい。

 DNAとは違うのだ。

 クローンであっても一致しない……

 

 そこで閃くものがあった。

 

 胎紋は母親の胎内で刻まれる命の紋様。

 

 だったら……

 双子は?

 

 普通、男女の双子は二卵性。

 DNAは一致しない。

 

 だが、同じお腹に同時に宿った生命だ。

 

 正真正銘の双子であるなら、胎紋は一致したりしないのだろうか……?

 

 その閃きがあったとき。

 裕子は飛び出し、タケハヤの手から砂の上に零れ落ちた宇宙警察証を拾っていた。

 

(私は最初、タケハヤさんに裕司の面影を見たんだ)

 

 中学のときに行方不明になった弟に似ていると。

 そしてタケハヤは言った。

 

 自分はアブダーに誘拐された元被害者であると。

 

(だったら、可能性はある)

 

 そう思った瞬間、動いていたのだ。

 

 

 裕子は拾った宇宙警察証を構え。

 そして目の前で見たきた、タケハヤの動きを再現してみせ

 

 そして……

 

 

「電装(でんそう)!!」

 

 

 そのメタルスーツ装着コードを叫んだとき。

 

 裕子は聞いた

 

 

 彼女の手にした宇宙警察証が発した、彼女だけに聞こえる電子音声を

 

 

『記録胎紋ノ一致を確認。胎紋認証クリア。メタルスーツヲ電装シマス』

 

 

 その瞬間。

 宇宙警察証から形状記憶超合金ヒヒイロカネが微粒子状で噴出。

 

 裕子の身体上でメタルスーツの形状で定着し、僅か1ミリ秒で変身を完了させる。

 

 

(電装……できた)

 

 

 銀色のメタルスーツを着装した裕子を前に

 

 ムラクモ=ブレイバーキラーは絶句する。

 

 そして裕子には見えていなかったが。

 クシナダもあまりの驚愕に行動不能に陥っていた。

 

 そしてそれが裕子に、覚悟を決める時間を与えた。

 

 天の配剤である。

 

「馬鹿なッ! 胎紋認証はどうしたッ! あり得んッ! できるはずがないッ!」

 

 ブレイバーキラーの動揺と混乱。

 その彼の精神状態が、その言葉には現れていて

 

(今しかない)

 

 裕子は飛び出した

 

「ブレイバーブレード!」

 

 その右手にヒヒイロカネで形成された剣……ブレイバーブレードを生み出しつつ。

 

 メタルスーツの能力で裕子は自分の身体を恐ろしく軽く感じていた。

 そして世界の認識がクリアになった気がした。

 

 メタルスーツは身体能力を上昇させ、そして感覚器官の鋭敏さを底上げする。

 そういう機能があるらしい。

 

「お、おのれっ! 返り討ちにしてくれるっ!」

 

 ブレイバーキラーも飛び出した。

 両手で握った双極の剣を振るう体勢に入りながら。

 

 ブレイバーキラーの必殺技「ダーク・イン・パルス」

 それはおそらく、双極の剣の左右の刃で連続斬りを仕掛ける技なのだろう。

 

 だがそのときのブレイバーキラーは激しく動揺していて。

 

 しかも

 

 

「でやあああああ!」

 

 

 気合いと共に裕子が繰り出した横薙ぎの斬撃。

 それは……

 

 

 ブ(・)レ(・)イ(・)バ(・)ー(・)キ(・)ラ(・)ー(・)の(・)両(・)手(・)の(・)4(・)指(・)の(・)ほ(・)と(・)ん(・)ど(・)を(・)切(・)断(・)し(・)て(・)い(・)た(・)。(・)

 

 

 発想として無かったのだ。

 戦闘員訓練を受けているわけでなかったただの女子大生が

 

 斬り合いでいきなり手指を狙ってくるなんて。

 

(講義でやってた技を調べておいてよかった……)

 

 教養の講義で知った初級の剣術の技……『稲妻』

 

 なんとなく気になって、真剣に見て技を理解した唯一の技。

 彼女はこの技に全てを賭けていて……

 

 結果、成功したのだ。

 

 

「くっ、クソ……!」

 

 

 突撃を中止し。

 ブレイバーキラー=ムラクモはだらだらと親指以外の4指をほぼ失った両手を庇い、悔し気な声を洩らし。

 そして

 

 

「……撤退だ! 許さないぞ未開人の女ァ……!」

 

 

 血を吐くような呪いの言葉を吐き、ブレイバーキラーは空間に穴を開けて姿を消す。

 この戦いを勝利で終わらせないと破滅するというのに。

 

 それでも「指が無ければ戦えない」ということか。

 

 そしてブレイバーキラーの撤退を確信したとき。

 裕子は

 

(勝てた……次は……)

 

 すぐさま行動を起こし。

 観客席に向けて跳躍し。

 

 あのカプセル……クシナダが捕らえられているカプセルに駆け寄って。

 ブレイバーブレードの一刀で、それを粉々に叩き壊したのだった。

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