宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第78話 今動くべき理由

「チャンスってどういうことですか……?」

 

 裕子の問いに彼女は言った。

 

「良いですか? これは彼の身体の一部でなんです」

 

 ビニール袋に入れられた人間の指……ムラクモの指を示しながら。

 

「つまり、同じ肉体として縁が繋がっています……実際、これを彼の指の切断面にくっつけて処置すれば繋がるわけですし」

 

 縁。

 宇宙の科学技術で、かなり大きく重視されている要素である。

 クシナダの優れた検索・探知システムもそれを軸に成り立っている。

 

 それと同じことをするというのか。

 

 しかし

 

「今、行くんですか? ひょっとして」

 

 クシナダの口ぶりは

 

 この指を頼りに今すぐムラクモを追跡しよう。

 そう言っているように思えたからだ。

 

 裕子のその言葉にクシナダは頷く。

 

「ええ」

 

 その返答を聞き、裕子は戸惑った。

 

「でも、そんなの」

 

 タケハヤがいないのに意味があるのか?

 タケハヤの回復を待つべきでは?

 そう思ったのだが

 

 それでもクシナダは言う。

 今動くべきだ。

 その決断に確信があることをその目で示しながら。

 

 その言葉は

 

「彼の治癒を待っている時間は無いです……何故なら、指が無い状態で長期間はいたくないでしょう?」

 

(指が無い状態で長期間いたくない?)

 

 つまりどういうことだろうか?

 クシナダは裕子が思い至っていないのを察したらしい。

 

 自分の言葉の補足説明をする。

 

「ええと……人体の欠損部位を急速に再生させるには、それなりの装置が必要なんですね。ですけど、そんなものは普通組織の中央にしか置きませんよね?」

 

 それを聞き、流石にハッとした。

 

 確かに。

 

 例えば、裕子は自分用のパソコンを1台持っている。

 彼女にしてみればかなり高価なものである。

 

 そんなものを、自宅以外の自分の拠点に置くだろうか?

 

 断言しても良い。

 絶対に置かない。

 

 何故なら、どうでもいい物品では無いからだ。

 自分のメイン拠点以外に置くことで、破損してしまった場合を考える。

 大切なマシンなのだから。

 

 ならば……

 

「今、ムラクモはアブダーの本拠地か、それにかなり近い場所にいるってことですか……?」

 

 その裕子の言葉にクシナダは頷く。

 

「ええ。今ならアブダーの中央に攻め込めるかもしれないんです」

 

 その可能性に辿り着いた裕子は。

 

(だったら、今動かないと駄目だよね)

 

 彼女もその結論に至った。

 

 タケハヤの完治を待ってから動くのでは遅すぎる。

 それを待っていれば、向こうも何か手を打って来るはずだ。

 

 むしろ今だからこそ、本拠地に手が届くかもしれない……!

 

 そう思い裕子は

 

「……行きましょう。私も精一杯頑張ります」

 

 タケハヤの宇宙警察証を握りしめながら。

 クシナダを正面から見つめ返しながら。

 

 彼女の提案に同意した。

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