宇宙警察ブレイバー~地味子の女子大生が深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「チャンスってどういうことですか……?」
裕子の問いに彼女は言った。
「良いですか? これは彼の身体の一部でなんです」
ビニール袋に入れられた人間の指……ムラクモの指を示しながら。
「つまり、同じ肉体として縁が繋がっています……実際、これを彼の指の切断面にくっつけて処置すれば繋がるわけですし」
縁。
宇宙の科学技術で、かなり大きく重視されている要素である。
クシナダの優れた検索・探知システムもそれを軸に成り立っている。
それと同じことをするというのか。
しかし
「今、行くんですか? ひょっとして」
クシナダの口ぶりは
この指を頼りに今すぐムラクモを追跡しよう。
そう言っているように思えたからだ。
裕子のその言葉にクシナダは頷く。
「ええ」
その返答を聞き、裕子は戸惑った。
「でも、そんなの」
タケハヤがいないのに意味があるのか?
タケハヤの回復を待つべきでは?
そう思ったのだが
それでもクシナダは言う。
今動くべきだ。
その決断に確信があることをその目で示しながら。
その言葉は
「彼の治癒を待っている時間は無いです……何故なら、指が無い状態で長期間はいたくないでしょう?」
(指が無い状態で長期間いたくない?)
つまりどういうことだろうか?
クシナダは裕子が思い至っていないのを察したらしい。
自分の言葉の補足説明をする。
「ええと……人体の欠損部位を急速に再生させるには、それなりの装置が必要なんですね。ですけど、そんなものは普通組織の中央にしか置きませんよね?」
それを聞き、流石にハッとした。
確かに。
例えば、裕子は自分用のパソコンを1台持っている。
彼女にしてみればかなり高価なものである。
そんなものを、自宅以外の自分の拠点に置くだろうか?
断言しても良い。
絶対に置かない。
何故なら、どうでもいい物品では無いからだ。
自分のメイン拠点以外に置くことで、破損してしまった場合を考える。
大切なマシンなのだから。
ならば……
「今、ムラクモはアブダーの本拠地か、それにかなり近い場所にいるってことですか……?」
その裕子の言葉にクシナダは頷く。
「ええ。今ならアブダーの中央に攻め込めるかもしれないんです」
その可能性に辿り着いた裕子は。
(だったら、今動かないと駄目だよね)
彼女もその結論に至った。
タケハヤの完治を待ってから動くのでは遅すぎる。
それを待っていれば、向こうも何か手を打って来るはずだ。
むしろ今だからこそ、本拠地に手が届くかもしれない……!
そう思い裕子は
「……行きましょう。私も精一杯頑張ります」
タケハヤの宇宙警察証を握りしめながら。
クシナダを正面から見つめ返しながら。
彼女の提案に同意した。