深夜の土手で行き倒れ青年を助けたら、その人が宇宙の刑事で宇宙犯罪組織との戦いに巻き込まれた件 作:匿名希望
次元の壁を打ち破り、バルキリオンはアブダーゾーンに突入した。
そこは採石場のような石と砂以外何も無い薄暗い場所で。
視界が開けていた。
……逃走中のアブダノイドはすぐに見つかった。
(あいつだ!)
裕子の目は今バルキリオンの見ているものを見ていたが。
アブダーゾーン突入と同時に、その視界の端に数字が出現した。
最初は99.9を表示していたが、それがグングン減っていく。
流石に分かる。
(これ、ゼロになったらきっとタイムアップなんだ)
これがゼロになる前に、ブレイバーはアブダノイドを倒さなければならない。
間に合うか――?
アブダノイドを見つけはしたが、その背中は遠い――
だけど。
それは杞憂だった。
瞬く間にバルキリオンは逃げるシャコアブダーの背中に追いついて
クルリとターンし、その後ろ足でキックを加える。
「グアーッ!」
シャコアブダーは後ろからのその一撃で吹き飛び、倒れ伏し。
ブレイバーはそれを追うように馬上から跳躍し、その目の前に降り立つ。
「覚悟しろシャコアブダー」
アブダノイドへ投げ掛ける言葉は鉄のように冷たくて。
ブレイバーは手にした剣を大きく振るう。
それはまるで儀式のようだった。
シャコアブダーは起き上がり
「……あ、アブダーゾーンでは俺たち以外、大幅に力が落ちル……」
その声は震えていた。
だけど
「オオオオオ!!」
シャコアブダーはその鉤爪を構えて、ブレイバーに突進をした。
外の世界の3分の1の力しか無いのであれば、まだチャンスはあるはず。
そう思ったのだろうか……?
だが
ブレイバーの剣が眩く輝く。
まるで太陽で作られているように。
剣からは光と
稲光が迸った。
ブレイバーはその輝く剣を下段に構える。
その身体で刀身を相対する敵から見えなくするような、特徴的な構えを。
「ぶっ殺してヤルゥゥゥ!」
そしてシャコアブダーが間合いに入ったとき
ブレイバーの剣が閃いた。
「ブレイバーアークサンダースラッシュ!」
それは下段からの斬撃。
光が地から天に向けて閃いて――
アブダノイドを股間から頭頂部まで、突き抜けた。
「ア……」
アブダノイドの声が震える。
そしてその声は2重になる。
そのままずるり、と前後にずれて
左右に倒れると同時に爆発を起こし、光の粒子を撒き散らしながら消え去っていく。
気がつくと、裕子は元の次元に戻っていた。
深夜の道路の真ん中。
場所は多分、自宅マンションの近く。
そこの道路に突っ立っている。
ブレイバーは変身を解いて、元の青年タケハヤの姿に戻る。
そしてバルキリオンは現れたときと同様に、どこかに走って消え去っていく。
終わった……
裕子は安堵した。
自分はわけのわからない存在に命を狙われたけど、なんとか宇宙刑事に撃退して貰えたので助かった。
ホッとした。
「何か異常は無いか?」
タケハヤは自分を気遣ってくれている。
彼は悪い人間ではない。
それは間違いないと思う。
でも、彼に出会ったことで自分は厄介なことに巻き込まれて。
しかもそれは、簡単に済むことでは無いらしい。
これからどうすればよいのだろうか……?
まあ、それよりも。
まず最初に問題になるのは
(私の部屋、メチャクチャになったけど……どうすればいいの?)
このことだ。
ハーメルン匿名杯が終わった後、それなりに評判良かった場合に匿名解除して続きを書くつもりです。
そうでない場合はここで一旦完結ということで。