銃弾が飛び交う学園都市?!んでもって銃の耐性なし?!・・・やってやろうじゃねえかこの野郎!! 作:オーバジン
桐藤ナギサは目の前の光景を虚ろな目で目の前の光景を見ていた。
「……」
(あぁ……裏切り者は……ミカさんだったのですね……)
話を聞きながらミカの話を一つ一つ理解していく。
(私は……何も分かっていなかったのですね……誰のことも理解することなく、誰のことも信用することなく、友人さえも疑い排除しようとした……)
(ミカさんの気持ちさえも理解せず、目の前の理想に思考を奪われ、周囲の声を無視し、私一人だけが理想を掲げ進めてしまった……)
(……自業自得ですかね……)
(私は……間違えていたのですね……ミカさんの話を聞かなかったことも……ヒフミさんたちを退学させようとしたことも……そもそも……エデン条約事態結ぶこと自体が……そもそも……)
(私のしたことは……全部無意味で……それどころか……関係を壊してしまった……そのせいで……セイアさんは……)
そうナギサがまとまらない頭で考えていると、ミカがこちらに銃を向けてくる。
ナギサはミカの目を見る、その眼は殺意に満ち溢れており確実にこちらを始末するという意思をひしひしと感じる、それにミカが持っている銃を見ると普段の銃とは何かが違う、普段なら何も感じない銃が何か異彩を放っているような何かを感じる。
しかしナギサはその違和感が何かを理解する、それが自身を貫き、頭から血を吹き出しながら倒れ、絶命するという幻想を見た。それが確定した未来だというように、その瞬間が何度も頭の中で再生、一時停止、巻き戻し、また再生と、ループしていく。
そしてミカが発砲する、ナギサには飛んでくる弾丸が遅く見えるように感じる、その銃弾は自身に向かって真っすぐ飛んできている。
ナギサはその迫ってきている銃弾を避ける気にはなれなかった、自身に迫っているそれが自身を殺すものだと理解しているのに。
(……これが……私への罰なのでしょうね……何も信用せず、親しい人物さえも敵に回した、者の末路なのですね……)
(すべてを敵に回し、最後には幼馴染の手によって殺される……)
そうしてナギサは目を閉じる。
(私はただ……皆さんと平和に過ごしたかっただけなのに……)
(……自業自得なのは分かっています……でも……こんな終わりは……いやです…………あんなに……頑張ったのに……)
(誰か……私は……私は……また誰かと……純粋に笑いあいたい……)
そうしてナギサに向かっていった凶弾は額を打ち抜き、その最後の願いはかなうことは無く、その人生を終えるのだった。
パキパキ……バリン!
「…………?」
何かが割れた音がする。
ナギサは目を閉じたまま、疑問を抱える。いつまでたっても衝撃が来ないのだ。それに体がふわりと浮くような管家具が伝わってきた。ナギサは先ほどまで迫っていた銃弾を覚えている、自身を殺すはずの恐ろしいものが迫ってきていたものを。
しかし、衝撃どころか痛みすらも来ていない、それどころか少し心地よさのような温かさを感じる、それに誰かの抱えられているような温かさと感触がある。
少しゴツゴツとした手のように感じる。
ナギサは恐る恐る目を開ける。
ナギサは一人の少年の顔を確認した。
「あな…た…は……?」「……」
ナギサはその人物をみて驚き、思わず疑問を投げかけるが、返事は帰ってこない。
その少年はナギサをお姫様抱っこをしたまま少し口を開く。
「泣いてる……」「えっ……」
そう言われ自身が涙を流していたことが分かる。
「誰かが泣いてるのは、好きじゃない……たとえそれが、加害者であっても……」
そしてナギサは、自身を殺すはずだった弾はどこに行ったのかとふと気になった。少年の顔から少し視線をそらし、撃たれた方向を見ると、そこには機械の尻尾のようなものに銃弾が突き刺さっている。それが自身を守ったのは明らかだろう。
それが伸びている方をたどってみると少年の方から伸びていた。
「よく頑張ったな……」「あっ……」
その少年は微笑みながらそう言う。
「確かにあんたがやったことは許されることではないだろう、それに俺自身だってかなりムカついてた。」
その言葉には確かな怒りも混ざっていたがそれはすぐに霧散する。
「でもな、気になってあんたの事調べたんだよ、そしたらな、あんたのことをなんだか悪い奴に思えなくなってな。」
「俺は、あんたがどれだけ苦労したとか、何も知らないまま怒りを向けてた。」
「俺はあんたの頑張りを無視してた……こんな薄っぺらい謝罪ですまないが……」
「ごめん……」
「……ナギサはよく頑張ったな……今はゆっくりと休んでくれ……俺が絶対に守ってやる。」
「その頑張りは報われるべきだ……約束しよう、ナギサには指一本触れさせない。」
(私は……まだ……希望を持って……いいのですか……?)
「……お願い……します……」
ナギサはそのすべてを包み込むような微笑みを浮かべているヒョウを見て安心感を覚えそのまま眠りにつくのだった。
その場にいる全員の視線がその場に釘付けになる。
視線の先には桐藤ナギサを抱きかかえている少年がいる、その少年は突然割れた空間から出てきたのだ。
その少年は腰のあたりから機械の尻尾のようなものを生やしている聖園ミカが放った特殊弾はその尻尾に受け止められている。
「ふーん……何だこの弾?普通の弾じゃないな、ライトでもヘビーでもない、スナイパー、ショットガンも違う、エネルギー弾か?……違うか……」
少年は尻尾で受け止めた弾を眺めながらそう呟いている。
「よう、ミカ。あのプールサイドでの話以来か?」
「……そうだね、久しぶりだねヒョウ君。」
ミカとヒョウは視線を交差させお互いに威嚇しているような雰囲気だ。
「……いきなりで申し訳ないんだけど、ヒョウ君にお姫様抱っこされてて気持ちよさそうにすやすや眠ってるナギちゃんを私に渡してくれないかな?」
「すまんがそいつは出来ない相談だな。」
「前にも言ったけど、ナギちゃんはエデン条約を結んで自分がキヴォトスのトップに立とうとしているんだよ?それにミレニアムを消しちゃおうって、幼馴染にそんな真似をさせたくないんだよねー。」
「そのために殺すのか?」
「……そうだね、悪いことをする人はやっつけないといけないからね。」
「それはキヴォトスのために?トリニティのために?もしくは…………自分のため?」
「…………そんなわけないじゃーん、私一人のためにそんなことをするわけないじゃん♪」
「……はぁ、もうそんな嘘つかなくていいぞ、大体分かってるから。」
「……」
先ほどまでの問答を切るようにそう言う。
「ミカは、ゲヘナが憎いんだってな。」
「……そうだよ、私はゲヘナが憎いの。」
「それはなぜ?ゲヘナはミカに何かをしたのか?」
「うーん、特に何かされたわけじゃないけど」
「それなのにゲヘナが憎いのか?」
「嫌なんだよね、あんな気持ちの悪い角付きと手を取り合う?そんなことを考えるだけで蕁麻疹が出ちゃいそうだよ!」
「あんな野蛮な連中と一緒だと思われたくないしね、あぁ、考えただけでも吐き気がしちゃうね。」
「それにあのゲヘナの生徒会長の誰だっけドブ沼バカマコトだっけ?何であんな脳みそのなさそうな野蛮人がゲヘナを収めれているのか訳わかんないよ?」
「あっ!もしかして他のゲヘナの子たちはそれ以上におバカなんだろうね♪脳が入ってないどころか神経すら通ってないお人形さんなんじゃないの?」
「……」
ミカの言葉をヒョウは静かに聞いている。しかしヒョウの目には怒りが確実に灯っている。
それもそうだろう、ヒョウはかなりの人数のゲヘナの生徒と仲が良い。友人をバカにされ貶されているのだ、それに昔からの付き合いもあり親友とも呼べるマコトを侮辱していく。
「そうか……そうか……」
ヒョウは未来を知っている、ミカが裏切ることも、理由がゲヘナが嫌いだからということも。すべて知っていた。
ヒョウの身体から赤黒い靄のようなものが噴き出してくる。その光景に眠っているナギサを除き体育館の中にいる全員が息を飲む。
「分かってる、分かってた……あいつにそれを教えられた時点で、この時俺の中でこれが大きくなることは分かってた。」
しかしその赤黒い靄はすぐに収まり霧散していく。
「だからこれは抑える、俺の中で抑え込んで押し殺すことにする。」
ヒョウは自分自身に言い聞かせるようにそう言う。しかし知っているからといって、それを言われて激情を抑えられるものではない。
「だから俺は守ることだけを考えることにするよ。」
ヒョウはニコリと笑う、しかしその笑顔は先ほどナギサに向けていた包み込むような微笑みではなく、顔に表情を張り付けたようなものだった。目を見開き、口を三日月のように歪曲している。その見開かれた眼は赤く光り輝いている。
「ふ、ふぅん……な、中々いい笑顔だね……ちょっとびっくりしちゃったなー……」
ミカはその表情を見て冷たいものが背筋を這うように駆け巡る、しかしそれをごまかすように少し笑う。
「えっと……ナギちゃんを守るんだっけ?でもヒョウ君一人で守り切れるの?」
「こっちにはこんなにもいっぱい人がいるんだよ?とてもじゃないけどこの数を相手にするのは無理なんじゃない?」
「そうだな、さすがに俺一人じゃ無理だ……だが俺は一人じゃない。」
ミカの問いに、ヒョウはスッと表情を戻し一人じゃないと言う。
「そうか!先生たちがいるもんね!でも、それでもちょっと不安なんじゃない?」
「そうだな……先生の指揮を舐めてるわけじゃないが……ここにいくら先生たちが加わってくれてもまだ安心できない、だがやるしかない。」
「ふーん?そう言う割には余裕そうに見えるんだけど?」
ヒョウは口では無理だと言っているが、ミカはヒョウの表情や声色から余裕があるように感じている。
「うーん……面倒くさいなぁ……セイアちゃんもナギちゃんもいなくなって、せっかく始められるっていうのに、邪魔しないでほしいなぁ?」
「ミカさん……一ついいですか?セイアちゃんを襲撃したのも、あなただったのですか!?」
その言葉を聞き、ハナコが怒りを露にしながらミカに質問する。
「あははっ、ハナコちゃんのそんな目するんだねぇー♪うん、そうだよ私の指示だよ。」
「セイアちゃんって、いつも良く分からないことばっか言って、楽園だなんだの難しいことばっかりだったんだよ?」
「でもヘイローを破壊しろとは言ってないよ?私は人殺しじゃないよ?まだね……」
「ただ卒業するまで、織の中に閉じ込めておくつもりだったんだけど……どうして死んじゃったんだろうね?……どう思う?ア・ズ・サ・ちゃん?」
ミカの視線がアズサの方へ向き、先生たちも視線がアズサへと向く。
「ねぇ、どうしてだと思う?当事者の詳しい情報があった方が、私も先生たちも分かりやすいと思うんだけどなー?」
「セイアちゃんがあんなことになってから、事態が大きくなっちゃったんだよねー、そこからいろんなことが分からなくなってきてねぇー?……その辺りどう思う?」
「え……それってどういう……」「あ、アズサちゃん……?」
「ち、違う……あれは……」「んー?何が違うのか……」ズドンッ!!
アズサは急に質問されたことによりいつもの冷静な表情から、動揺した表情になり、声も上ずり、とぎれとぎれの声が漏れる。それに追及するようにミカが何か言おうとしたところ、大きな発砲音が鳴る。
「その辺りで黙ってもらおうか、聞くにしても、もうちょっと言い方ってものを考えな。」
ヒョウの声が聞こえ、そちらを向くと、尻尾から何かを発射した煙が舞っている。何を撃ち出したのか分からないが全員の意識がヒョウへ向く。
「そろそろ準備しろ、事態が好転するぞ。」
「事態が好転?アハハ!面白い冗談だね!ヒョウ君にはこの戦力差を見失っちゃったのかな?」
「それにティーパーティーに逆らうことが出来る集団なんていないはずだしねー、一体どんな秘策があるのかな?」
「……ん?どうしたの?……トリニティの生徒がこっちに向かってきてる?大聖堂から?それって……もしかして!?」
ドカンッ!
突如として壁が崩落する。
「けほっ、今日も平和と安寧が皆様にありますように……あ、ヒョウさん♡」「お、お邪魔します……」
「お待たせしましたヒョウさんハナコさん……いや……お待たせしすぎたかもしれません。」
そちらを見てみると煙の中から、シスター服を着た少女たちが現れる。
「シスターフッド、これまでの慣習に反することではありますが……この度ティーパーティーの内紛に介入させていただきます。」
「聖園ミカさん、あなたを他のティーパーティーへの傷害教唆及び傷害未遂で逮捕します!理由はもちろんお分かりですね?貴方がアリウスと共謀し、百合園セイアさんを殺害し、桐藤ナギサさんを襲撃しようとしたからです!」
「覚悟の準備をしておいてください!近いうちに裁判が起こります、裁判所にも問答無用で来てもらいます。あなたは裏切り者です!牢屋に入れられることを楽しみにしておいてください!良いですね!!」
そして一番前に居たサクラコがそう高らかと宣言する。
「シスターフッド、歌住サクラコ……」
最近では基本的に政治にはあまり関わってこなかったシスターフッドが介入することになったのだ。
「これで戦力差はひっくり返った、さぁ……それでもやるか?」
ヒョウの楽しそうな声がその場に響くのだった。
良ければ感想とか書いていってください。
ナギちゃんを堕とすにはアフターケアをしっかりね♡
ヒョウ(あ、今の俺が悪ふざけで教えた奴だ……)