勝ちヒロインのアスカさん   作:唯野あかつき

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長くなりましたが読んでいただけると嬉しいです。


第二部第二話 バック・イン・ザ・第三新東京

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごみーん!ちょっち遅くなっちった!」

「ミ…葛城さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォン!

 

 

 

 

 

電話ボックスの外では轟音が響いている。きっと使徒であるサキエルと国連軍が交戦しているんだろう。

爆音のたびに戻って来たと言うことを克明に思い出す。

 

 

「あんなことしても使徒のATフィールドは破れないのに…。んで、僕はミサトさんを待っているんだっけ…?」

 

取り敢えず電話ボックスから出つつ頭の中を整理する。すると、

 

 

 

 

 

ギャギャギャギャー!!

 

 

 

 

 

と荒々しい音を出して車が突っ込んできた。

青いルノー・アルピーヌ。

 

「ミサトさんだ!!相変わらず荒っぽいな…」

まっすぐこちらに向かってくる車を何とかよける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごみーん!ちょっち遅くなっちった!」

「ミ…葛城さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つい癖で名前で呼ぼうとしてしまう。

「時間ないから!さ、早く乗って!」

「は、はい!」

慌ててルノーに乗り込み走り出す。

運命の地である、NERVへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ!葛城さん、なんか戦闘機が離れていきますよ…」

「え!まさかN2地雷を使うつもり!?シンジ君伏せて!」

「んな無茶な…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンジ君だいじょーぶ?」

「ええ、なんか口の中しゃりしゃりしますけど。」

例の如く爆風でひっくり返されたルノー。

確かまだローンがだいぶ残っていたはず、ということを思い出し苦笑するしかないシンジであった。

 

「じゃあ車起こすわよ!せぇーの!」

この時のシンジはひ弱ヒョロガリなので全然持ち上げられる気配がない。

格闘すること10分、前と違いテコなど使い無理やり起こすことができた。

「ふぅ。何とかなったわね、ありがとうシンジ君。」

「いえ、葛城さんも…」

「ミサトでいいわ。しっかしすっかりボロボロじゃない、とほほ〜」

まさにガックリと言ったミサトに同情を禁じ得ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とかカートレインに乗り込めたところでミサトはパンフレットを渡して来た。

『ようこそNERV江』

「NERV…」

もはや何度聞いたかわからないその名前。しかし、久しぶりに直面すると懐かしさとつらい思い出が同時に押し寄せる。

「あら、驚かないのね。」

「まあ、うっすら父が言っていたような気がします。確か、人類を守る組織…」

「そうね。よく知っているわね。」

全てを知っているシンジは、本当の目的を知ってはいるが、流石にここで言うわけにはいかない。

「そういえばIDもらってない?」

「あ、ああ貰ってますよ。」

『来い!』とだけ書かれた手紙とともにIDを取り出した。よく考えてみればこんな手紙ごときでのこのこと呼ばれてきた自分がなんだかおかしい。そのうえこの後エヴァに乗らないなら帰れとまで言われるのだ。どういうことやねんと自分で突っ込みを入れる。

「相変わらずね…」

呆れるしかない不器用さである。よくもそんな状況で国連直属という大きな組織を運営できるものだ。組織のトップとしてはダメダメである。

「シンジ君、聞かないの?何で呼び出されたか…?」

「まあ、理由なしに父さんは僕を呼び出しませんよ。」

前の時より努めて明るく返すが、ミサトの顔は陰っていた。

「そっか。苦手なのね、お父さんが。…私と一緒ね…。」

その顔を思うとこちらも気分が重くなる。前はわからなかったその理由がわかるからこそ、シンジも俯いてしまう。

研究に熱中し家族を顧みなかったミサトの父と、人類補完計画に熱中し息子を捨てたシンジの父。驚くほど似ている。

「ミサトさん…。」

 

 

 

 

 

 

暗い気持ちとは裏腹に視界は突如開ける。

「これがジオフロント…」

「そうよ。人類を守る、希望の砦…」

そして、サード以降のインパクトの爆心地である。シンジの目には光とともに影ができた。

ここで自分は何度過ちを繰り返しただろう。何度人類を滅ぼしかけ、ときに滅ぼしたのだろう。

今までのシンジであったら、ここでまたもウジウジしていただろうが、もうそんなことはない。

「逃げちゃ、だめだ。」

そうだ。自分は過去を無理やりにでも変えるためにやって来たのだ。生半可な覚悟ではいけない。そして、全ての記憶、安定した精神、頼れる仲間がいるではないか。

大丈夫。やれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ〜!?ここ前も通ったような…。」

「…。」

そして例の如く、NERV本部内で2人は迷子になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をしていたの葛城一尉。20分の遅刻よ。」

「ごみーんリツコ。迷っちったのよ。」

記憶よりも長い時間かかってやっとこさ待ち合わせることができた。

白衣に金髪の科学者、赤木リツコ博士。

技術部のトップにしてNERVのスーパーコンピュータMAGIの管理責任者。

「こっちが碇シンジ君?」

「そうよ。」

「私は赤木リツコ。技術部E計画担当責任者よ。」

「よろしくお願いします。」

資料を読みつつ顔を合わせる。

正直全部知っていることなので資料を読むのはふりであり、頭の中では別のことを考えていた。

 

 

正直自分たちエヴァパイロットだけではゼーレに対抗しきれるとは考えにくい。サードインパクト、その前の戦略自衛隊の突入、それらを防ぐには大人の、上層部の協力が必要である。それを思うと誰が協力者として適任だろうか。

ミサトや加持さんは前の世界ですでに多くを背負いすぎていた。それを考えると、事実を伝えるにしても、協力者としては荷が重いだろう。そうすると、一番に考えつくのがリツコである。

しかし、リツコは究極なまでにリアリストである。どうやったら自分の話を信じてもらえるか…。

 

 

一方リツコの方もシンジを見て考えに耽っていた。

報告書では内気でおどおどとして人見知りする少年だとされていたが、実際会ってみると、確かに社交的ではないかもしれないが、しっかりと人と目を合わせてしゃべるし何より自信にあふれているように見える。

「報告書なんて信用ならないのね。」

「ん?リツコどした?」

「なんでもないわ。シンジ君こっちよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは…」

「NERVが開発した汎用人型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオン初号機よ。人類最後の切り札、希望よ。」

見慣れた景色ではあるが今回は感慨にふけってしまう。

シンジは叫びたい衝動に駆られる。

 

母さん!帰ってきたよ!

 

「これにのってさっきの使徒ってやつを倒すの?」

 

『そうだシンジ』

 

「父さん!」

 

ケージの上部の台から何度聞いても聞きなれない声が聴こえた。

以前のシンジは、ここで目をそらしてしまったが今は違う。父のサングラスを、その奥の目を見つめる。

 

『久しぶりだな、シンジ』

 

大して久しくも思ってなさそうに言うゲンドウ。もはや滑稽とさえ言える。

 

『ふっ、出撃。』

 

落ち着いて向き合うとなんだかおかしい。なんだよ「ふっ」って。カッコつけちゃって。

 

「出撃!?零号機は凍結中ですよ!」

『問題ない。初号機がある。』

「初号機!?まさか…」

「そのまさかよミサト。もう時間がないもの。」

 

ついにあの言葉を言われる。

『シンジ、エヴァに乗れ。乗らないなら…』

ここまで言ったところでシンジが口を開いた。

「なんだよ父さん。乗るよもちろん。多分そのために呼ばれたことくらいわかる。そういう人間であることもわかって来た。でもこれは覚えていて。確かに僕と父さんは親子だけど、僕は父さんの道具じゃない。ちゃんと話がしたい。変なことするんだったら多分母さんが怒るよ。」

『な、何を言って…』

「詳しいことはあとで話そう。じゃあ…」

 

振り返るとミサトとリツコが腹を抱えていた。息子に言いくるめられる様子がおかしかったのだろう。

「碇司令が言いくるめられてるww面白すぎるわww」

「まさに傑作ねww」

こうも笑われるとこちらも笑うしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見事に言いくるめられたな碇。息子としっかり向き合った方がいいんじゃないか?」

「も、問題ない…はず…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手渡されたインターフェースヘッドセットを取り付ける。その瞬間に常にこれをつけていた少女のことを思い出す。

エヴァだけが彼女の存在理由だった。世界を終えて、エヴァに依存しなくなった彼女は、彼女なりの最後の戦いに挑むのだろうか。

 

 

操縦するためのエントリープラグに乗り込む。途端に何故か懐かしさを覚える。楽しいことや良かったことがほとんどないのにも関わらず、暖かみを感じるのは母親のせいだろうか。

「母さん、また僕やるよ。」

 

 

 

 

考え事に耽っている間にエントリープラグがエヴァに差し込まれる。

「L.C.L注入開始!」

すると見覚えのあるオレンジ色の液体が迫ってくる。が、一般的な人間は普通騒ぎ出すはずなので一応通信で発令所に聞く。

「あの、足元から液体が迫ってくるんですけど!」

「その液体を肺まで満たせば、直接酸素を供給するわ。」

「は、はあ。」

予想通りっちゃ予想通りであるが、一応反応をしておく。

発令所ではひっきりなしに数値が飛び交う。

「思考言語を日本語で固定!初期コンタクト異常なし!」

「では、シンクロ開始!」

 

エヴァとのシンクロ率が測られ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンクロ率出ました!えっ…!」

「どうしたの、早くしなさい。」

 

「はい!読み上げます!シンクロ率、すごいです!88.88%です!ハーモニクスも異常ありません!」

「嘘、でしょ…!?暴走は!?」

「してません!」

「なんてこと…彼プラグスーツ着てないのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「碇、いくら何でもおかしくないか?」

「も、も、問題ない…」

「それしか言わんのか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しまったな…」

シンジはエントリープラグ内で1人頭を抱えていた。癖でフツーに過ごしていたら、シンクロ率を調整するのを忘れていた。シンクロ率はエヴァとどれだけ通じ合えるかによって左右される。つまりパイロット側でコントロールできるのだ。

普通初めてエヴァに乗ったとしてもいいとこ50%行くかどうかである。それなのに初めてのはずのシンジが88.88%もの数値を叩き出した。戦闘が終わったら怪しまれるに違いない。

 

とりあえずその問題は棚に上げて、ギャーギャー騒いでいる発令所をよそに目の前のサキエル戦について考え始めた。

前回はトウジの妹が戦闘に巻き込まれ、大けがを負い、トウジに殴られる羽目になった。トウジたちのためにも、自分がぶん殴られる未来を回避するためにも、最優先で見つけなくてはいけない。

 

 

「シンジ君準備はOK?」

「大丈夫です!」

「無理しちゃダメよ!初めてなんだから!」

じゃあぶっつけで戦わせるなよと思うがもう遅い。サキエルは迫って来ている。

「使徒Dブロックまで迫ってます!」

「じゃあ近くに射出して!」

 

 

 

 

 

 

「エバー初号機発進!!」

「エバーって…」

やっぱりミサトはエバーと言うのか…

苦笑するしかないシンジであった。

 

 

 

 

 

もはや慣れた射出時のGに耐えつつ、地上へ射出を待つ。

目の前が開けるとともに数ブロック先にサキエルが見えた。

 

 

『まずは歩くことを考え…』

発令所からの指示をガン無視してスタスタ歩き出す。

パネルの向こうから歓喜と混乱が聞こえる中、シンジはそれどころではなかった。

(どこだ…トウジの妹は…いた!!)

「ミサトさん!こちらから見て2時の方向に女の子が!」

『何ですって!?避難は完了したんじゃないの!』

発令所のざわつきが聞こえる。

『今保安部の人間を向かわせたわ!保護するまで何とか使徒を引きつけて!』

(簡単に言うよなー…僕さっきまで一般人だったはずなんだけど。まあやってみるか…)

 

サキエルは射出時の衝撃でこちらに向かって来ている。サキエルがこちらに一歩踏み出すたびにそーっと後ろに下がる。また近づくとまた一歩下がる。

睨み合いが続くこと数分、

『シンジ君!女の子は保護したわ!使徒を、サキエルを肩にあるナイフでやっつけて!』

もう一度書いておくがシンジはさっきまで普通の中学生だったのだ。格闘なんて普通はできるはずがない。言ってから気がつくが時すでに遅し。シンジは使徒に向かって走り出していた。

まずい!

発令所全体が息を呑む、が、それは杞憂に終わる。

初号機はサキエルに向かってナイフで切りつける。ATフィールドに阻まれるも、シンジが初めてとは思えないほどエヴァを乗りこなしている。もちろん初めてではないのだが…

 

 

 

 

 

「どう言うことよ…本当に初めてなの…」

「シンクロ率といい扱い方といいまさにエヴァに乗るためのチルドレンといった感じね…。でもまだよ。ATフィールドがある。」

 

「見てください先輩!初号機ATフィールドを中和してます!」

「どう言うことよ…本当に初めて…?」

初めてではないのだがそんなことは知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

シンジはATフィールド同士で中和させつつコアに迫ろうとしていた。その途端サキエルの腕が初号機を掴み引きずろうとする。シンクロするシンジの腕に激痛が走る。

「くっ、あと、すこ、し、なのに!!」

その瞬間、エントリープラグ内に発令所からとは違う声が響いた。

 

 

「シンジ、無理しなくてもいいのよ」

 

 

その瞬間、シンジの意識が遠のいた。

 

 

 

 

 

 

 

「…ンジ、シンジ、起きなさい。」

「…うーん…ここは…?」

「起きたわね、シンジ。」

目を覚ますとエントリープラグ内ではなくどこか雲の中のような場所だった。

「久しぶりね、シンジ。」

声の方を向くと、懐かしさのある女性が立っていた。

 

「母さん!!」

 

つい嬉しさで抱きついてしまう。

「会いたかったよ…ずっと…」

「私もよ、シンジ。大きくなったわね。」

ろくにしてやれなかった母親らしい振る舞いをしようと優しくシンジを抱きしめる。

「シンジ、あなたには本当に済まないと思っているわ。あなたをエヴァに乗せることになってしまって、危険な目に合わせてしまう。本当にごめんね。」

「いいんだ母さん。」

「でもよかったわ。どうやら円環を終わらせることができたみたいね。ごめんね、あなたが寝ている間に少し記憶を見ちゃった。」

「うん。何とかエヴァとか諸々がない世界にしたんだよ。」

「それじゃあここはもう過去ってことね…。でもちゃんと終わっているならどうして戻ってきたの?」

「…大切な人を、助けたかった。どの世界線でも助けられなかった人を、助けたいんだ。」

「そう…。また無理をさせてしまうのね…。」

「なんてことないよ。今までの記憶もある。そして頼れる仲間もいる。…もう僕には奥さんもいるんだよ。」

「アスカちゃんって子ね。あなた心の中で彼女のことばかり考えていたわね。」

「ばれてたか…。」

「いいのよシンジ。あなたは苦しい思いをしすぎたのよ。ちょっとくらい幸せでも誰も怒らないわ。」

優しい抱擁が緊張で固まっていたシンジの心をほぐす。

 

おもむろにシンジに向きなおり、真剣な顔になる。

「シンジ、お母さんから一つだけお願いしてもいい?」

「いいけど…どうしたの?」

「あの人を…ゲンドウさんを止めてほしいの。」

「父さん…」

「あの人はすごく孤独で、寄り添ってくれる人がいなくて、愛を知らないの。その結果あなたを一人にさせてしまった。この世界はもう終わっているのだからきっとゲンドウさんの計画はうまくいかないのでしょう。だからこそ早いうちに止めてあげてほしいの。私は人類補完計画を望んでいないの。もし私に会いたいのなら初号機のコアまで来てくれれば話くらいはできるわ。だから…お願い。あなたに何もしてあげられなくて申し訳ないと思ってる。あなたの願いは最大限サポートするわ。だから…」

「もういいよ母さん。わかった。何とかして父さんを止める。」

目をそらすことなく、力強いまなざしを向けるわが子。

「ありがとう、本当にありがとう…迷惑ばっかかけてごめんね…。」

今後のわが子の苦労を思うと涙が出そうになるが、まっすぐ前を向くわが子を見て泣いていてはいけないと気を引き締める。

「いいよ母さん。でも、もう行かなくちゃ…サキエルを倒さなくちゃ…」

「それはもうお母さんが何とかしたわ。S2機関を取り込まなきゃいけないんでしょう?使徒のコアなんてとてもじゃないけどわが子の口に入れるわけにはいかないわ。大丈夫よ、ちょっとえぐみが強かっただけよ。」

「えぐみが強いとかそういう問題じゃないと思うんだけど…」

さらりとさも少々まずい野菜を食べたかのような感想を言う母親に笑うしかないシンジ。

「その様子ならきっと大丈夫ね。」

「もちろん!うじうじしてるわけにはいかないもの!」

「強くなったのねシンジ。お母さんうれしいわ。」

そういうとシンジにUSBメモリを差し出した。

「この中に私の思いが音声データになって入ってるわ。ゲンドウさんに聞かせてあげて…。」

「わかった。もう行くよ。」

「行ってらっしゃい。会いたくなったらいつでも言うのよ。そんなことくらいしかしてあげられることがないから…。」

薄れゆく意識の中必死に息子にエールを送る。

「大変だろうけど、頑張るのよ…」

 

 

 

 

 

 

「うーん…」

シンジが目を覚ますとそこにはサキエルの死骸と血の池地獄のような血だまりの中だった。

『シンジ君大丈夫!?さっき応答がなかったんだけど!』

「すいません大丈夫です。ちょっと戦いのほうに集中していて…。」

ふと手元を見るとUSBメモリが握られていた。

「さっきのは、夢じゃなかったんだ…。」

 

 

 

 

発令所の空気はまさに異様だった。戦いに勝ったことよりもついさっき見せられた映像のグロテスクさに気まずさが漂っていた。

「いったいどういう事よリツコ!さっきのはいったい…。」

「私にもわからないわ!でも一つ言えるのは…エヴァが使徒のコアを捕食していたという事…いったい何が起きていたのやら…。しかも瞬間的にシンクロ率が400%近くになっていた…。とにかくシンジ君に聞いてみなくては。」

 

 

 

 

 

 

 

一方こちらはユーロNERVドイツ支部。

シンクロテストを受けていたアスカは着替えてカフェテリアで遅い昼食をとっていた。

「ようアスカ。シンクロテストはどうだった?」

不意に後ろから声をかけられて…アスカは息をのんだ。

「加持さん!!」

「おうおうアスカ、やけに今日は食いつきがいいな。」

加持リョウジ。逆行の理由。

「加持さん…会いたかったよぅ。」

ここまで話してふと自分が日本語を話していることに気が付いた。

「アスカ、いつの間にそんなに日本語がうまくなったんだい?まるで日本人みたいじゃないか。」

「あ」

いつもの癖がやはり抜けないアスカであった。

「エリートのアスカ様にかかれば日本語を覚えるのなんかちょちょいのちょいよ!」

「ふーん。」

どこか釈然としない加持。

(いくら何でも急にしゃべれるようになりすぎだ。まるで別人のように話している。しかも今まではっていた虚勢のようなものがすっかり落ちたかのような自信に満ちた目をしている。あのシンクロテストで何があったんだ…)

疑いの目を感じたアスカは慌てて話題を変える。

「ほら、加持さん!日本に使徒が出たって!」

カフェテリアのTVに日本での初号機とサキエルの戦闘が映し出されている。

「本当だ…。初号機パイロットって確かサードチルドレンだよな…。シンクロ率88.88%ってすごい数値だ…。」

そして見る間にシンクロ率が上昇し、ついにコアを捕食し始めた。

「おいおいすごいなこりゃ…使徒を食べてるぞ…。」

「あんま気持ちのいい映像じゃないわね…。」

そして無事サキエルを倒すとついアスカは

「やるわね、さすが無敵の天才パイロットシンジ様ってところね…。」

その小さな一言を加持は見逃さなかった。

(いつものアスカなら「私のほうがすごい!」と必死に言うが…今はなんというか他者を認める余裕があるというか…いったい何があったっていうんだ?しかも今日急に乗ることになったサードチルドレンの名前をなぜ1パイロットに過ぎないアスカが知っているんだ?)

その加持の思考も思わぬ乱入者によって阻まれる。

「あー!姫~!やっと見つけたにゃ~!」

この独特の口癖は言わなくてもわかる真希波・マリ・イラストリアスである。

「げっ、面倒な奴に見つかった!加持さんちょっと後はよろしく!」

「お、おいどこ行くんだ!?」

(そもそも真希波博士とアスカに接点なんてあったか?)

 

「ちょっと姫待ってよぅ…さすがにもう走るのきついって。NERVの外まで来ちゃったじゃないか。」

「そっちのほうがほかに聞かれなくていいわ。で、何よ急に。大体この時、というか最後の世界以外あんたとかかわりなんてなかったのよ。」

「ちょい待ち。大体説明してちょうだいな。なんでユーロの研究者の時に戻ってるわけ?」

「いやー、いろいろあってもう一度過去の世界に戻ってすこーし用事を済ませようと思ってね。」

「なんだよ酔っぱらって起きたらこんな風になってるんだもん驚くよ!姫も無茶するわねー。ワンコ君たちも一緒なの?」

「うん、あのときうちにいた人間は全員こっちにいる。あ、あとあんたもこの後日本に行くことになると思うからよろしく。」

「うーん急だがワンコ君にも会いたいししょーがないか。」

「てなわけでよろしく。とりあえず協力してちょうだい。詳しくは追って話すわ。」

 




☆次回予告
あまりにもうまくいきすぎるサキエル戦にNERVの幹部から疑念を持たれた少年。
考え抜いた結果少年は父親にすべてを話す決意をする。
ついに始まる親と子の対話。それは対決となるか、和解となるか。結末は神のみぞ知る!
次回「親と子 過去と未来」
次回もサービスしちゃうわよ!
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