先生やってる兄貴の女性関係が終わってんだが? 作:グラビトン
そしてキャラメーカーで弟のイメージ図を作りました、便利屋先生の弟はこんな感じと思っていただければ。
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俺がキヴォトスにやってきた翌日、兄貴と朝飯食って暫くして、飛鳥馬さんが制服姿で出迎えてきた。
纏めてた青メッシュの入っている金髪を降ろして、若干萌え袖になってる制服姿………この子かなりあざといと改めて感じた。
そしてシャーレから出発し、バスに乗って目的地へと向かい始めた。
…………俺と兄貴、飛鳥馬さん以外にも生徒らしきじ女の子達と、当たり前のように座っている犬猫………慣れとはかくも恐ろしいものか、銃を携えても特に何も思わなくなってきた。
兄貴と飛鳥馬さんは別の席に座っており、俺は一人立ちながら流れていくキヴォトスの景色を眺めていた。
「(どんなとこだろーな、ミレニアム)」
兄貴はあくまでも仕事の出張、俺はその邪魔をしないようにミレニアムを見て回る予定だ、ネット軽く見た感じ………結構広そうだ、学校内を行き交う為のモノレールとかあるっぽいし。
最先端を行くらしいしなぁ、ロボットとか見れるのかね。
「……弟さん、改めて確認ですがただ見るだけで良いのですか?」
「ん?まぁはい、誘われたとはいえいきなりですし、単純にキヴォトスの学校ってどんなのかなーって見てみたいだけなんで」
「そうですか、ではそのように」
あくまでも眺めるだけだ、兄貴はシャーレの先生っていう特別な立場で俺はその弟って事になるけど……別にだからと言ってなんと言うことは無い、ただの血縁者だ。
なんか俺まで特別視されても困るしマジで自然体でいい、学園都市の学校を見てみたいだけだ。
「(その後はまぁ、適当に思いついた所に行ってみるか)」
兄貴が言ってた百鬼夜行って所のお祭りもいいし、見た感じトリニティのスイーツも美味そうだし、山海経の中国料理も悪くない………あれ?いつの間にか食べ歩きをしようとしている俺?
「………見えてきましたよ、ミレニアムサイエンススクールです」
すると飛鳥馬さんが窓に指を指し、俺はその方向を見る…………まず目に入ったのは、キヴォトスに来てからよく目にしてるようなデカいビル。
それを中心として施設が並んで広がっており…………聞いていた以上に敷地が広い、軽く街だ。
モノレールも行き交っており、バスからでも白衣や眼鏡とかをつけてる生徒達がチラホラと大人数で見えていた。
「…………すげー」
間違いなく俺の所じゃない学校だ、流石は学園都市と言ったところか。
見て回るとは行ったけど想像以上の広さだ…………とりあえず気になった所を迷惑にならない程度に巡ってみよう。
…………ついでに、兄貴に気がある女子が何人居るか数えてみるか。
◾︎◾︎◾︎◾︎
ミレニアムサイエンススクール。
科学技術に力を入れている新興の学園であり、今の技術では解明できない7つの『千年難題』を解き明かす事を全体の目標とした場所である。
最近はある部活が人知れず世界を救ったり、今まで行方知れずだった生徒会長が復帰したり慌ただしい時期があったがそれも落ち着きを見せてた。
しかし…………今。
「…………ぅー…………」
セミナーの会計、冷酷な算術使いの異名で恐れられてる早瀬ユウカはタワーの入口でウズウズと落ち着きの無い様子で佇んでおり、その光景を同じセミナーの書記生塩ノアと、ようやく帰ってきたセミナー会長調月リオは眺めていた。
ノアはニコニコと、リオはなんとも言えない顔で見つめていた…………ちなみにセミナーには黒崎コユキというメンバーが居るのだが、今日という日に問題を起こされてはたまらないということでC&Cに捕らえられ、ユウカに反省部屋へ閉じ込められたのだ。
『なんでーーーーー!!?』
「…………ノア、私何か変な所ないよね?」
「はい、今日も可愛いですよ、そしてその質問も5回目ですね?」
「そこまで気を張る必要は無いと思うのだけれど………先生の弟はあくまでも見学しにくるだけでしょ?」
「わ、分かってます!分かってますけどなんか、うぅ〜……」
「ふふっ、今ユウカちゃんは付き合ってる殿方の家族へ初めて会う時を想定してたりしてるんですか?」
「そそそそそんなんじゃにゃいっ!?」
「思いっきり噛んでるわよ、ユウカ……」
ユウカがここまで落ち着きを見せてない理由…………それは、シャーレの先生とその弟がこのミレニアムにやってくるからだ。
先生は今やキヴォトスに必要不可欠な存在、学園都市の不安定な環境の調停者的な意味で…………そして異性的な意味でも。
早瀬ユウカもその1人だ、なんなら先生の杜撰な金遣いを注意して管理しており、1番最初に彼のお時間を頂いてたりする。
ゲーム開発部のイラストレーターは、かーっ!みんねお姉ちゃん卑しか女ばい!なんて言われる位には先生を意識している(尚その人物も人の事をとやかく言えないレベルではあるが)
そんな彼女は昨日、本来の予定で先生がミレニアムに出張に来ると同時にその弟もやってくると聞いて軽くパニックになった。
トキは普通に弟さんはミレニアムを見学したいと告げており、その他は特別なことは無いのだが…………どうにもユウカは先生の家族が来るということで意識せざるを得ない状態になってた。
普段は頭のキレる会計なのだが、偶にこうして頭が悪くなるのだ。
同じくセミナーとして先生一行を迎えようとしているノアとリオはそんなユウカをみて冷静になっていた。
彼女らも驚きはしたが、それ以上に驚く会計を見て落ち着いていたのだ。
「(ユウカちゃんったら可愛いですね、あわよくばアピールしてご家族の心象を良くしたいと思っている所でしょうか?なら私もそれとなくしてみましょうか……)」
「(とりあえずミレニアムを代表するものとして毅然たる振る舞いをしなければね、でも何故かしら………ユウカ程じゃないけど、変に意識してしまうわ)」
しかしユウカを窘める2人もなんだかんだでソワソワしていた、恩人であり意識している男性の家族である事には変わりないため、自然体で居られるのか不安になっていた。
…………そして、彼らはやって来る。
「………来たわね」
リオの言葉を皮切りにノアは姿勢を正し、ユウカは少し強ばり佇む。
自動ドアが開き、トキが先導して歩く後ろに居るのは………出会った当初から見慣れた死んだ魚のような目をした、今やキヴォトスの時の人シャーレの先生…………そして、その隣には学ランと呼ばれる黒い制服を着こなしている同い年程度の少年、目つきは似てないが何処と無く先生と似た雰囲気や容姿の………先生の家族である弟が、ミレニアムにやって来たのだ。
「おーすげ、たけーし広い、学校じゃなくて会社じゃね?」
「ちゃんと学園だよ、私達の世界と比べない方がいいと思うな」
「……おや、セミナーの方々がお出迎えですか」
「…………あ、リオにユウカにノア、集合はセミナーの会議室じゃ無かったっけ?」
トキと先生はちょっとだけ驚きながら立ち止まり、弟も同じく止まってセミナーと呼ばれる3人をじーっと見つめた。
「(この人が先生の弟さんか………トキはあまり似てなかったと言ってたけど、私はそうでもない気がするな………何となく、だけど)」
「(うーん、間違いなく兄弟って感じ…………トキさんが言う程似てない事はありませんね……ただ少し、柄が悪いのでしょうか?)」
「(彼がそうなのね……しっかりしてそうだから、ヒマリが思うような事は起きないと思うのだけれど)……いえ、折角ご家族の方が来られてるのであれば迎えるのは当然かと……ようこそ、ミレニアムサイエンススクールへ、私はセミナーの会長、調月リオです」
「……あっ、同じくセミナーの会計を務めてます、早瀬ユウカです!」
「書記の生塩ノアです、よろしくお願いしますね」
「あぁ、はい……ご丁寧にどうもです」
3人に頭を下げられ迎えられた弟も少し緊張してしまい、直ぐに軽く頭を下げた……そして改めて彼女らを見つめた。
「(またえらい美人さん達が居るな…………どうなってんだキヴォトス?ま、それは置いておいて………あのツーサイドアップにしてる人が、早瀬さんか)」
その中でも早瀬ユウカに注目しており、彼女も彼の視線を察して何事かとギョッとした。
弟は昨日、ミレニアムにはどういう人が居るのか聞いていた。
先生も最近、ミレニアムに居る一部の生徒達と人知れずこの学園都市を救った事も相まってかなり色んな人の事を教えて貰ってた。
特に多かったのはゲーム開発部、特異現象捜査部、そして所謂生徒会的な立ち位置のセミナー………弟は鋼鉄大陸に関しての情報は一切教えられてないが、感慨深そうに語る兄の姿が脳裏にずっと残っていた。
その中で一番最初に会ったミレニアムの生徒が早瀬ユウカだったと先生は語っていた、彼女には業務以外でもお世話になっていると。
「えっと、早瀬ユウカさんっすよね?」
「えっ、はい……先生から聞いてたんですか?」
「はいっす、あのー………貴女が特に愚兄の世話をしてるっぽいんで、すみませんね、先生とはいえ本来は他人なのに」
「いえそんな、私がやってる事ですし、先生の私生活があまりにもだらしなさ過ぎて見てられなかったし……そんな畏まる事は無いですから!」
「そっすか……兄貴は甘やかしたら奇行に走るんで、程々にしといた方がいいっすよ?ほんっとに」
「もちろんっ、わかってますよ?本当に先生は普段が教師として有るまじき杜撰さなので、治るまで私が見続けるつもりですし先生も嫌な顔はしてないし………」
それからユウカの言い訳なのか謙遜なのか、はたまた惚気なのか………先生との出来事をつらつらと滑舌よく話して言った。
弟の背後にいる先生はあまり聞いて欲しく無さそうにして止めようか戸惑っており、弟はそんな彼女の姿をみて…………。
「(…………この人はアレだ、ダメ男に貢いでダメになるタイプだ、世話をしてはいるけどそいつが居なきゃ生きていけないって感じの)」
心の内で苦笑いを浮かべていた。
先生からユウカの話を聞いてもしやとは思っていたがこれ程とは思わなかった、そんな兄貴の何がいいんだ?私生活も聞いた感じ前と変わらない……先生いや酷くなっているであろう色んな意味でダメ人間を好む様な箇所など何処にも無いように考えられるのにと。
男であり家族である弟の永遠の疑問である。
「ふふ、ユウカちゃんは先生の事が気になってしょうがないですからね、セミナーのお仕事をしている間も先生の事が気になるくらいですから」
「ちょ、ノアっ!そんなこと言わなくていい……いや別にそこまで気になってるわけじゃないから!」
「(そこまで言っといて無理あるわい)」
「ところで、弟さんは兄である先生の様子を見る為にキヴォトスへやって来たんですよね?」
「まぁ、キヴォトスを見るついでに」
「………ユウカちゃんへの質問を見るに、キヴォトスでも先生の女性関係が気になってる感じですね?」
「えっと……はい、もしや生塩さん……?」
「ふふっ、どうでしょうね?」
「(黒じゃん、見た目真っ白だけど黒じゃん)」
弟はノアの余裕がありつつからかい癖のある彼女の本質を見抜くが、彼女もまた兄へ意識を向けている事を察する。
早瀬さんといい生塩さんといい、これだけの美人さんをどうやってこのクソボケは落としたのか甚だ疑問である。
「……そこまでにしておきなさい二人とも、そろそろ本来の会議時刻が迫ってるわ……弟さん、本日はトキの案内でこのミレニアムの施設と一定の部活を見て回ると見て良いかしら?」
「はい、どういうのがあるのか分からんので、今からが楽しみっす」
「そう……誘いがあったとはいえ私達の学園に興味を持ってくれて嬉しいわ、どうか楽しんでください」
「ありがとうございます(この人会長ってことは生徒なんだよな、え?教師とかじゃないの?)」
微笑むリオの言葉に頷きながらも、弟は歳が近いとは思えない彼女の大人びた容姿に疑問が浮かんでしまう、失礼ながらトキの様な留年した人かと思ったが多分そんな事は無いのだと心の内で感じていた………キヴォトスはまだ未知に溢れていることを実感するのであった。
「じゃあ私達はセミナーの会議室へ行こうか、弟をよろしく頼むよトキ」
「お任せ下さい、ぶい」
先生の言葉を皮切りに弟とトキはその場へ残り、セミナーのメンバーと先生は会議へと向かってゆくのであった。
そしてここから、弟のミレニアムツアーが始まるのであった。
◾︎◾︎◾︎◾︎
ミレニアムは知っての通り常に最先端をゆき、発明が飛び交う科学の園………トキの案内を受けながら弟は学園内を眺めていた。
扱いが難しそうな発明はもちろんの事、軽く研究論文を見せられたりしたがもちろん理解はできなかった。
ただでさえ広い学園内の施設を見て周り、部活の見学として最初に来たのはエンジニア部だった。
ミレニアムの技術者集団の中でもトップクラスの実績を持つ彼女らは今日も発明に勤しんでおり、見学に来ていた弟にもそれを見せびらかしていた。
「……えっと白石さん、この……何?4本の腕あってタンクみたいな脚のダサ、じゃない個性的な、ロボットは?」
「以前試作した物を人間の等身大サイズに小型化して、防衛用のプログラムと装備を取り付けた我らの新しい発明、ガーディアンアバンギャルド君プロトタイプさ」
「(名前だっせぇ……)へ、へー………これ、エンジニア部の方達のデザインっすか?」
「違いますよ!以前リオ会長が作ったロボットのオマージュと言った所でしょうか、前のは大きすぎたのでこうして私達のサイズに収縮したのがこれです!」
「調月会長さんのデザインなんスかこれ、いやえっと………前衛的?っすね随分と……」
「………会長は本気で気に入ってるからね、でも戦闘力は期待してもいいと思う、前のも普通にハイスペックだったから」
「リオ様に見せたら喜ぶと思いますよ、これを次の議会に出すおつもりで?」
「そのつもり、でももう少し何か1手間加えたいんだけど……弟君、君のアイディアを聞かせてもらって良いかい?」
「え?俺っすか?」
「折角の機会だからね、遠慮せずに」
「えー………腕が4本もあるんで、銃じゃなくて格闘技とか覚えさせたり…………なんて」
「……4本腕を活かしてか……………それなら諸々の経費を削減出来る上に、人のサイズまで収縮させた利点を活かせるかもしれない………」
「いいかもしれませんね!仮に防衛拠点を襲った犯人を4本の腕で差し押さえられる可能性も出来ました!」
「そうなれば更に腕の強度と関節の見直しが必要だけど、成功したら量産化の暁にはこのガーディアンアバンギャルド君がキヴォトスを護る盾になる日も夢じゃないね………!早速ヴェリタスに新しいプログラミングの手伝いをしてもらって………」
「絶賛ですね、弟さん」
「あのロボットの集団がキヴォトスを護るって、なんか………いや何も言うまい」
エンジニア部は間違いなく天才の集まりではあるが、ロマンを追求するあまり突飛な発明で度々騒ぎを起こす問題児集団でもある。
弟の発想にロマンを見出した彼女達は開発と改造の手を進め、それを横目に弟とトキはそっとその場から離れるのであった。
その後の2人はヴェリタスの部室にやって来た、ホワイトハッカーを名乗る集団だが………今回は何かの仕事をしている訳ではなく、部長の各務チヒロからヴェリタスの主な活動の説明を受けていた。
「………という感じで、依頼を受けた場所のセキュリティチェックや強化、それ以外ではミレニアムで開発された機械のプログラム構築、黒い噂のある組織の裏を暴くのが私達の主な仕事かな」
「へぇー………」
「やってること自体は意外と地味だよ、まぁ………私以外の部員達がどれも曲者揃いなんだけどね」
「失礼ですね部長、私は盗聴が好きなだけですよ」
「コタマ先輩、それなんのアピールにもなってないからね?」
「そうだよ!あたしも同じハッカーだけどそこまでヤバくないし!」
「………ハレ、貴女妖怪MAXそれで何本目?マキはまた他所の壁でグラフティアートを描いたよね?」
「………えーっと」
「……………てへ☆」
「あーなーたーたーちー………」ゴゴゴゴゴゴ
「弟さん行きましょう、ここには雷が落ちます」
「う、うっす(各務さんはオカンみたいだな……)」
弟とトキは部室を離れ、中では3人がチヒロに怒鳴られていた。
ハッカーの実態がどういうものか知れた弟だが、あまりキヴォトスと元いた世界にいるハッカーを比べるものじゃないと考えていた。
そしてトキの案内でミレニアムを徘徊していると、彼女は突然やってきた。
「……………………」
そして弟の身体をじーっと見つめ、本人は?マークを浮かべながら見つめ返し、トキは冷や汗を流し始めたのだ。
「………先生の弟さんですね?私は乙花スミレと申します」
「は、はい」
「急な質問ですが、トレーニングはされてるのですか?」
「あー………まぁ適当な運動ならしてるっすよ?」
「では早速トレーニングしましょう!!(キラキラ)」
「へ?」
音速の速さで弟はミレニアム屈指の脳筋、乙花スミレとトレーニングをすることが突然決まってしまい、トキは彼女から逃げようとしたが………不幸にもすぐ側にジムがあり、弟は連れ去られたのだ。
そして彼女の課す簡易的なトレーニングメニューを流れで実行されてしまう、彼女のトレーニングはミレニアム最強の美甘ネルですら根をあげる程のハードワーク、故に平均的に運動が苦手の部類に入るミレニアムの生徒達はなるべスミレに捕まらないようにしていた。
一般的に身体が強い生徒達が耐えきれない程のメニュー………それを。
「ぬうぉぉぉおおおっ!!?」
「素晴らしいです弟さんっ!ここまでかなりの余裕を持って出来るとは!」
「いや!結構!キチィっすよ!?」
「ゴールはもうすぐです!共に頑張りましょう!!」
「あの!ゴール過ぎませんでしたさっき!!?」
「………ネル先輩が避けるレベルのトレーニングを、クリアしている……!?」
学ランの上を脱いで汗を流し、スミレと共にトレーニングを着実にこなしていたのだ………その姿を見てトキは戦慄を隠せずにいた。
弟は先生と同じ外から来た人間な為、身体の構造が一から違うキヴォトスの生徒達が根をあげてしまう程のハードメニューを真っ向から受け止めて見せたのだ。
「ぜーっ………ぁーぅ…………あぁあ………」
「だ、大丈夫ですか弟さん……?」
「見事でした!次はもっと限界に挑めるようなメニューを組んでお待ちしてますね!」
「………へ、へい………」
汗をダラダラと滝の様に流して仰向けになる弟の隣で、これ以上ない笑顔のスミレがそこに立っていた。
トキはこの時………弟はもしかしたらキヴォトス人とあまり変わらないのでは?と心の中で考えていた。
◾︎◾︎◾︎◾︎
「あー……身体痛ってぇ」
「大丈夫ですか弟さん?スミレ先輩は加減を知りませんから……どうぞ」
「す、すんませんです……」
ミレニアムを徘徊していた途中、トレーニング部の乙花さんから突然のトレーニングを課されてしまいなし崩しでやってしまった。
最初っからハードメニューだったのいつの間にかゴール先延ばしにされてしまうし、かんっぜんにゴールの設定は乙花さんが満足するか否かだったもの、昨日荷物を盗られる時以上にビビったわ………俺は飛鳥馬さんから貰ったドリンクを流し込み、汗を拭い休んでいた。
「ふー………ミレニアムって理系の人達が多いイメージでしたけど、意外と乙花さんみたいなのも居るんすね」
「彼女はミレニアムの中でも飛び抜けてますけどね………後はネル先輩も彼女に似てますよ」
「へー………それにしてもやっぱ凄いっすねミレニアム、元いた学校じゃこんなの見れませんし」
「私は外の世界の学校を知らないので憶測しか語れませんが、そんなに差があるのですか?」
「もう天と地っすよ、同じ分類の学校でも間違いなくここレベルは無いっすから」
ここまでミレニアムの中を見てみたが、想像以上に科学の園だと言うことが分かった。
間違いなく外よりも技術が高水準で、見るだけでも面白かった。
「……楽しんでもらえてる様で何よりです、少し休んだら次はあそこに行ってみましょうか」
「おーまだまだあるんすね、何処なんすか」
「次は………おや」
飛鳥馬さんが説明をしようとすると、何かが目に留まったらしくその方を見て固まった。
何事と思い俺もその方向へ振り向くと、1人の少女が目に入った。
「………あ」
今日ミレニアムで出会った生徒の中で1番小柄で、背後にまで伸びている黒い髪は今にも地面に着きそうな位に長い。
まるで人形かのようなあどけなさを感じるその子は俺をじーっと見つめて………近づいてきた。
なんだ?また乙花さんみたいなパターンじゃないよな?
「……えっと?」
「………貴方がもしや、先生の弟さんですか?」
「まぁ、そうっすけど」
俺がそう答えると一拍置いて、俺に対して可愛らしい笑みを浮かべて………。
「ぱんぱかぱーん!」
「アリスは、先生の弟さんとエンカウントしました!」
口からセルフファンファーレが鳴り響き、そこからゲームのようなテキスト説明が出たのだ。
「へ?」
「かわいいアリス、部室に居たのでは無いのですか?」
「はい!でもいつまで経っても来ないので、こちらから探索を開始したのです、私以外にも来て………」
「……アリス!」
呆気にとられる俺を横目に、アリスと呼ばれた少女の背後からまた別人の声が聞こえてきた。
目をやると………長い白い髪を揺らしながら駆けてくるその子は、まるでさっきの少女を鏡合わせにしたかのようにそっくりだった、本当に違いは髪色と目の色だけだと思わせるくらいに。
「あ、ケイ!見つけましたよ!」
「それはいいですけど、いきなり離れないでください………」
これが俺と、ゲーム開発部のエンカウントだった。
弟
Q どんなトレーニングをしてたんですか?
A 映画とアニメ見て、漫画とラノベ読んで、ゲームして飯食って寝たらこうなった。
ミレニアムの中でユウカに対して、少し心配になりつつある。
ゲーム開発部
弟さんにやって欲しいゲームがある模様です。