選択権無しのマリネット   作:ルスト

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9話 勝手に連行するんじゃねえ!

 サンヨウジムを出た。

 ……出たところで、女が1人待ち伏せしていた。

 あたしの事を待ってたような雰囲気だ。

 間違いなく面倒事の予感がする。

 

「ヤッホー! アタシはマコモ。

 アララギ博士に頼まれてアナタに渡すものがあるんだ」

「あたしは別に要らねえから。急いでるんだよ」

「そんな事言わずにちょっとついてきて!

 ここで話すとみんなの邪魔になっちゃうもの!」

「おいこら! 離せ!

 というかポーク! テメエまで連行しようとするな!

 さっきやられてたはずなのになんでそんなに力出せるんだよ!」

 

 というか、勝手にあたしの行動を決めるな!

 あたしに選ぶ権利はねえのかよ!

 

 

 

 

 

 

 無理矢理家に連れてこられた。

 ふざけんな! やっぱりあたしの親の代わりが周りの人間になっただけじゃねえか!

 結局あたしには選ぶ権利も何もねえ!

 

「アナタたち、イッシュ地方のすべてのポケモンと出会うんだって?」

「誰がやるか! アララギが勝手に言ってるだけだよ!」

「あっ、階段はこっちよ! アタシの部屋、この上なんだ。 さ、あがって!」

「腕引っ張りながら言う台詞じゃねえだろテメエ!

 というか、話聞けよ!」

 

 無理矢理連れて行かれた。

 ろくな人間が居ねえなこの世界!

 バトル前に確認や準備させてくれるだけでも神様みたいな奴ってか!?

 

 

 

 

 

 

「あらためて自己紹介するね。アタシはマコモ。

 ご覧のとおりの研究家。ちなみに研究してるのはトレーナーについてなの!

 で、アララギ博士とは大学時代からの友達でね、アナタたちのてだすけを頼まれたんだ。

 ……ということで! アタシからのバックアップよ、このひでんマシンをどうぞ!」

「これ渡すだけならさっきの場所で良かっただろうが!」

 

 なんのために無理矢理この家まで連れ込む必要があったんだよ!

 

「アタシの事をアナタに説明するのに、この場所が一番良かったからよ。

 研究機材のパソコンがそこにあるでしょ?

 それに、大事な説明もあるから少し長くなるかもしれないから、ジムの前で立ち話でするのもね」

「…………で、結局これはなんなんだよ?

 わざマシンじゃねえのか?」

 

 さっきの戦利品と同じじゃねえの?

 

「ポケモンが覚える技には戦っていないときでも使える技があるの!

 そのひでんマシンで、いあいぎりという細い木を切ることができる技を覚えさせることができるわ」

「はあ!? これがいあいぎりを使えるようにするアイテムって事か!?」

 

 渡すの遅すぎるんだよ!

 とっくにジムリーダー倒した後だぞ!

 

「ひでんマシンもわざマシンとおなじで、何度でも使えるのよ! 色々なポケモンに使っていいわよ!

 ……ただ、ひでんは覚えさせると忘れるのが大変だけどね」

「あ? 技って勝手に覚えて勝手に忘れるものじゃねえのか?」

 

 ヨーテリー、いつの間にか『にらみつける』が使えなくなって『てだすけ』とかいうよく分からん技を覚えていやがった。

 見せられた教育番組でもよく、育てているとポケモンの技が勝手に変わってる事が言われてた……気がする。

 

「うーん……アナタもコントロールは出来ないのか……。

 特定のレベルに達したら技を覚える、その時に最も古い技を勝手に忘れる、っていうのが一般的だけど……」

「は? 忘れる技って決めれるのか?」

「そうじゃないと、場合によってはまともに戦えないポケモンが誕生する事になっちゃうでしょ?

 ……と言っても、そこのコントロールは凄まじい才能があるトレーナーでもないと出来ないみたいだけど」

「……ふん、じゃああたしには関係無いってことじゃねえか」

 

 まあその話はいい。

 ひでんわざを忘れるのが大変ってどういう事だよ?

 

「ひでんマシンの技は、かなり強くポケモンに刷り込まれるわ。

 それこそ、大昔のカントーで流行ってた怪しい実験でポケモンの記憶ごと改竄するとか、それぞれの地方に居る『技を確実に忘れさせる職人』に頼まないといけないのよ。

 逆に言うと、ポケモン自身でも忘れられないから勝手に忘れて使えなくなることはないわ」

 

 ……一長一短って感じか。

 戦ってる途中で攻撃技が消えたら致命的すぎる。

 

「……で、本題なんだけど。てだすけじゃなくてお願いしてもいいかな?

 ひでんマシンは報酬の先払いって事で! お願い!」

「…………」

「な、なんというか滅茶苦茶葛藤してるって感じがするわ……本当にアララギ博士が言ってた通りの子ね」

 

 正直滅茶苦茶断りたい。

 間違いなく面倒事の予感しかしない。

 けど、ポケモンの技に関する話は役に立ったし、勝手に忘れることがない技、となると間違いなく役に立つ、筈。

 それにあの木を切り倒して先に行けるようになるのはメリットが大きい。

 

「…………色々技に関して教えてもらった礼もあるし、素直に受けてやるよ」

 

 少なくとも技に関して詳しく教えてもらった分くらいは仕事してやる。

 それでチャラだ。

 

「素直に受けてくれてよかったわ。あのね、サンヨウシティのはずれに夢の跡地っていわれてる場所があるんだけど、そこにいるポケモン『ムンナ』のだす『ゆめのけむり』がほしいんだ。

 それがあれば! ゲームシンクといって! いろんなトレーナーのレポートを集めることができるようになるの!」

「テメエの研究は別にどうでもいいけど、とりあえず夢の跡地でそのムンナってのからゆめのけむり取ってくれば良いんだな?」

 

 素直に渡してくれる奴かどうかは知らねえけど。

 まあ、ポケモンを一度回復したらさっさと向かうか。

 

「一応あたしなりに最善は尽くしてやる。

じゃ、夢の跡地に行ってくるから。あたし帰るぞ?」

「お願いね!」

 

 さっさと片付けてこんな街にはおさらばしたいところだよ。

 

 

 

 

 

 

「……もし素直に受けてもらえなかったら、今頃勝手にあの子は街を出ようとして、サンヨウシティの街の出口を塞いでるあのいちゃもんお爺さんに阻まれたわね。

 『マコモという研究者がおぬしを探しておったぞ! まさか無視して通るつもりか?

 仮にもポケモントレーナーであるというのに、人助けも出来ないような愚か者を通すわけにはいかんわ!

 バッジがあろうが関係無い!』

 ……とか言い出して、絶対あの子ともめただろうから、素直に受けてくれて良かったわ」




「レベル技を適当に上から4つ」ってライバルみたいな強敵枠でも中盤辺りまで使われてるイメージ。
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