選択権無しのマリネット   作:ルスト

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16話 強さを求めて

「とんでもない物見せられることになったな……」

 

 プラズマ団も聴衆も居なくなった後、あたしは1人立ち尽くしていた。

 ポケモントレーナーがマジでそんな事やってんのかよ!

 って言いたくなるような所業の数々もそうだったが、さっきのタブンネはなかなかにエグかった。

 手持ちを育てるために夢の跡地でタブンネと戦ったけど、少なくともちょっとやそっとの攻撃ではタブンネがあそこまで傷だらけになることは無いだろう。

 

 

 

「……相当ヤバい奴がトレーナーやってるって事かよ。

 鵜呑みには出来ねえけど」

 

 もしそんな奴にポケモン勝負で負けたら、それこそ強盗の時みたいにポケモン奪われるどころじゃ済まねえだろ。

 あたしの命だって取られかねない。

 

「強くなるのを、辞めるわけにはいかないな。

 そのための最速のやり方が『タブンネを倒す』なのはさっきのアレを見せられた後だと少し気が引けるけど……」

 

 あんな目に遭わせるつもりなんてもちろん無い。

 夢の跡地の時と同様、普通に戦って、倒すだけだ。

 戦闘不能になって逃げ出したタブンネを追いかけて痛めつけるつもりなんてない。

 ただ、あんな事をやってのける奴がトレーナーの中に混ざっている、と考えると、自然とあたしの気は引き締まった。

 もっと強くならないといけない。

 どんな奴でも倒せるように。

 ……その対象に『ポケモンをあそこまで傷つけられる連中』が入っただけだ。

 

 

 

「……とりあえず、ジムリーダーに挑む前にポケモン鍛えるか。

 チェレン相手にあまり差が無かったんだ。

 これでジムリーダーに挑んでも通用するか怪しい」

 

 そうと決まれば、とりあえずヤグルマの森の方に行くか。

 

 

 

 

「よう! 旅のトレーナー! ポケモン育っているの?

 よければこれを使ってみて!」

「使ってみて……って、わざマシンかこれ!?」

 

 いきなり話かけられて、わざマシンを渡された。

 ポンとくれたけど、良いのかよ?

 

「もちろん良いよ! 中身はいわくだき!

 いわくだきは時々相手の防御を下げる技。

 ジムリーダーアロエさんの好きなノーマルタイプのポケモンに効果はバツグンさ!」

 

 なるほど……。

 使い所ありそうだな。

 

「ありがと、使わせてもらうよ」

「頑張ってな!」

 

 さて、修行を始めるか。

 ……って、ん?

 なんでこんな所にナースが居るんだ?

 

「ヤグルマの森に行くにしろ、試しの岩に行くにしろ、たくましくないとへばっちゃうわよ!

 と言うことで、アタシが試してあげるわ! ムンナ!」

「って、敵かよ! 行けムンナ!」

 

 ムンナとムンナの戦いになった。

 ……あれ、コレなら……。

 

「ムンナ!『ふういん』!」

「えっ」

「むん!?」

 

 相手のムンナは文字通り、全ての技が出せなくなってしまった。

 そんな事あるかって言いたくなるような展開だ。

 捨て身の『わるあがき』しか出来なくなった相手のムンナはまともな行動が一切出来ないまま倒れた。

 

「こ、こんな負け方するなんて……。

 それはそうと、たくましいトレーナーさん!

 あなたのポケモンをアタシが元気にしてあげますね」

 

 なんか回復してくれた。

 出張ポケモンセンターみたいな感じ、か?

 流石にパソコンは無いけど。

 

「ヤグルマの森の近くには『どく』や『まひ』の状態異常になる技を使うポケモンが多いわ。

 何かあればアタシに言ってね! 治療してあげるから!」

「あ、ああ……その時は頼らせてもらうよ」

 

 まあそうじゃなくてもここでタブンネ探す以上頼ると思うけどさ。

 ポーク、ヨーテリー、ムンナを改めて鍛えないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………結構たくさん倒したかな?

 ポーク? ヨーテリー? どうした?」

 

 ポークとヨーテリーの様子がおかしい。

 って、急に光りだして……っ!

 

「ブウッ……!!」

「ワンッッ!!」

 

 ポークとヨーテリーの姿が変わった……!?

 コレが「進化」ってやつなのか?

 

「チャオブー……ハーデリア……」

 

 図鑑を見ると勝手に登録されていた。

 なるほどな。

 こいつらがワンランク上の強さになったって事か。

 

 

 

「とりあえず、この辺を一周歩いて見てみるか」

 

 タブンネのおかげで強くなったし、流石にこの辺の敵に苦戦はしないだろう。

 そう考えながら、あたしは奥の方へ歩いていった。

 

 

 

 

 

 

「階段……結構長かったな……。

 ……で、アレがナースの言ってた『試しの岩』とかいうやつか?」

 

 予想通り全く苦戦することなく、あたしはヤグルマの森外部の一番奥地……試しの岩まで到着した。

 何人か敵が居たが、タブンネを倒してしっかり鍛えたあたし達の敵じゃなかった。

 

「説明書きが書いてあるな……えっと……。

『試しの岩。かくとうタイプのポケモンが岩を壊せるかどうか己の力を試す場所』ね……」

 

 ポークにやらせるか。

 とりあえずやってみろ!

 

「…………ブウッッ!!」

「おーー……」

 

 渾身の一撃を叩き込んだポーク。

 なのだが、試しの岩はびくともしない。

 相当硬いらしいなコレ。

 

「もっとポークが強くなればバラバラに破壊できるのかね?

 ……って、ん? 岩がほんのちょっと削れて……」

 

 削れた試しの岩の欠片があたしの足元に転がってきたので拾いあげた。

 ……これ、ほしのかけらってやつか!?

 これがあれば、通販で強力なポケモンを買うことが出来るかも……。

 

「……とは言っても、この岩をもっと破壊するのは無理そうだよな。

 もし手当たり次第にかくとうポケモンをぶつけたとしても、他に削れそうな場所がねえ。

 さっき削れたのは、たまたま風で脆くなってた所があっただけかもしれないし」

 

 改めて試しの岩を見上げてみた。

 少なくとも上の方は近くからだと見上げられないくらいに高い。

 所々赤く光っているように見えるのは、中に埋まってるほしのかけらが見えているからだろうか。

 

「……また機会があったらポークにやらせてみるか」

 

 最後に思わぬ拾い物をして、あたしはシッポウシティに帰ることになった。

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