選択権無しのマリネット   作:ルスト

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18話 毒電波、そしてシッポウジム

 ヤグルマの森から離れたあたしは、そのままシッポウシティに戻ってジムに挑もうと博物館に向かった。

 今は、とにかく力が欲しい……。

 博物館に入ろうとしたら、カラクサタウンで見かけた毒電波が現れた。

 力が無い現実を突きつけられた直後に、よりによってこの毒電波に会うのかよ……。

 

「ボクは、ダレにも見えないものが見たいんだ。

 ボールの中のポケモン達の理想、トレーナーという在り方の真実、そしてポケモンが完全となった未来……。

 キミも見たいだろう?」

「……心底どうでもいいよ、そんなもん」

 

 そんなもん見せられたところであたしの心には響かねえよ。

 あっそ、くだらねえ。これで終わりだ。

 見たいなら勝手に見とけよ。

 

「……ふうん、期待外れだな」

「どうでもいいよテメエの理想とか。

 あたしは力しか要らない」

 

 力が要るんだ、力だけが全てだ。

 

「それよりも、ボクとボクのトモダチで未来を見ることが出来るか、キミで確かめさせてもらうよ」

「不意打ちか。……悪いけど、全力で叩き潰す」

 

 勝負そのものはポークだけであっさり終わった。

 マメパト、オタマロ、ドッコラー……。

 さっきまであたしが修行してた場所で出てくるポケモンじゃねえか。

 こいつ現地調達でもしたのかよ?

 というか、前のチョロネコは捨てたのか?

 

 

 

「まだ未来は見えない……世界は未確定……。

 今のボクとトモダチとでは、すべてのポケモンを救い出せない……。

 世界を変えるための数式は解けない……」

 

 相変わらず意味不明な事を……。

 

「必要なのは力だけだよ。力さえあればいいんだ。

 力だけが全てだ。力の無い奴には何も出来ない」

 

 さっきのあたしみたいに、な……。

 力さえあったら、向かっていけたかもしれない。

 

「力……か。そうだ。ボクには力が必要だ……。

 誰もが納得する力……」

 

 そのまま毒電波は去っていく。

 去り際に、何か呟いている。

 

「……必要な力は分かっている。

 英雄と共にこのイッシュ地方を建国した伝説のポケモンゼクロム!

 ボクは英雄になり、キミとトモダチになる!」

 

 いきなり意味不明な宣言をして去っていった。

 伝説のポケモン?

 自分の力じゃ足りないから神頼みって事か?

 まあ、現地調達してその後その場所に捨ててそうだしなああいつ。

 鍛えるとかそういう考え無さそうだし。

 

「……まあ、毒電波の行動に何を考えても無駄だよな」

 

 

 

 

 

 

「うーむ! この骨格はいつ見ても……ホレボレしますな。

 ああ、来館者でしたか。どうも、わたくし副館長のキダチです。

 せっかくいらしたのです、館内を案内しましょう!」

「いや、あたしはジムだけ挑めたらそれで……」

「まあまあそう言わずに。勉強になりますよ、さあどうぞ」

 

 ……またこういう奴かよ。

 一方的に善意を押し付けてくる、本当に迷惑だ。

 強盗みたいに悪意じゃないから質が悪い。

 こういうタイプは、無理に断ったらあたしが失礼な奴みたいな扱いされるんだよな。

 あたしは別に要らないのに。

 

「こちらの骨格……ドラゴンタイプのポケモンですね。

 おそらく、世界各地を飛び回っているうちになんらかの事故にあってそのままカセキになったようです」

「あっそ」

 

 復元してポケモンに戻せます!

 ならともかく、そんな骨見せられても「あっそ」としか言えねえよ。

 

 

 

「反応薄いですね……ではこれはどうですか?

 この石は凄いですよ、隕石なんですよ!

 何かしらの宇宙エネルギーを秘めています」

「……だから?

 展示品見せられてもあたしには使い道ねえよ」

 

 くだらねえ……。さっさと終わんねえかなあ……。

 引っ張っていかれてる以上、まだ続くのかねえ……。

 ああ……鬱陶しい……。

 

 

 

「ああ、こちらはただの古い石です。

 砂漠付近で見つかったのですが、古い事以外には全く価値がなさそうなものでして……」

「はあ? それガラクタじゃねえのかよ?」

 

 ガラクタですって言ってるような物だぞそれ?

 

「ただ、とてもキレイですので展示しております」

「なんだそりゃ。そんな理由なら昔のガラス玉でもいいじゃねえか」

 

 アホくさ。

 で、次はどこに連れて行かれるんだよ?

 

 

 

「この先がポケモンジムとなっております。

 一番奥で、強くて優しいジムリーダーが待ってます。

 ちなみにジムリーダーのアロエはわたくしの奥さんなのです」

「はいはい、この先がジムね……」

 

 さっさとクリアしてしまうか。

 

 

 

 

 

 

「博物館のその奥で挑戦者を待つポケモンジム……。

 なんだか雰囲気あるっすよね。

 というわけで、これをさし上げるっす!」

「またこの水くれるのか」

 

 まあ必要なら使おう。

 

「このジムはですね、ノーマルタイプのポケモンを使うトレーナーばかりです。

 ここだけの話……ノーマルタイプってかくとうタイプが苦手なんすよ。

 近くじゃ、ヤグルマの森辺りにかくとうタイプのポケモンが出現したりするんすよ……」

「ポークがいるから問題無い……と思ってる」

 

 多分大丈夫だろう。

 大丈夫……だよな?

 

「では、ジムそのものについて説明するっすよ!

 このポケモンジムは、本に隠された問題を解いていくと先に進めます。

 ちなみに最初の本は『はじめましてポケモンちゃん』です。

 本の場所が分からないときは皆に聞くといいっすよ!」

「……どうも」

 

 さて、やっていくか……。

 早速目の前に敵が居るし、案の定避けられないみたいだけど……。

 手当たり次第に倒してやる!

 

 

 

 

 

 

 目的の本は見つけた。

 ……中にメモが……!

 

『ポケモントレーナーの諸君!

 ジムリーダーのアロエだよ!

 この図書館に、問題を書いたメモを4つ隠しました。

 その問題を解いて、私の所まで来れるかな!?

 さあ、初めの問題だ!

 このジムで初めて出会ったポケモンは何だったでしょう?

 ヒントは……中央の列の本棚!

 さあ、探してごらん!』

 

 

 

 ……とりあえず、探して回るしかないのか?

 なんだよこのジム……。

 

 

 

 

 

 

「……で、これが次のメモか」

 

 2回目の問題を出された。

 体内で炎が燃え上がり、頭から煙を出して走るものの本を探せ、と……。

 いかにもなトレーナーは「まだその時じゃない」とばかりに相手にしてくれなかった。

 ……多分機関車だよなこれ?

 その本を守ってた奴は……あっちか。

 

 

 

 

 

 

「正解よ! でもその前に私と戦ってもらうわね!」

 

 まあこうなるよな。

 結局戦いを避けられないのは確実だろう。

 避けるつもりもないけど。力が要るんだ。

 

 

 

「負けちゃったか。読んだ本は本棚に戻す。

 マナーよね。さあ、どうぞ」

「で、次の問題は?

 ……鍋でぐつぐつ温めて食べると美味しい物なんだ?

 ヒントはここより入り口に近い本、ねえ」

 

 なんていうか、たらい回し感がすごい。

 まあ行くしかないんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

「ふーん、ポフィンねえ……」

 

 きのみって人間でも食えるのか?

 あの問題の中身は明らかに食うこと前提だったけど。

 まあそれはいいや、次は?

 どうせあのガキ倒すんだろ?

 

「……奥2、左1、手前2、右1、奥1の本棚、ねえ。

 複雑に見えて実は簡単な引っ掛けか?」

 

 奥と手前はそれぞれ相殺できる。

 左と右も同じく。

 結局、あのガキの本棚って事になる。

 

 

 

「来たね! 私に勝てたらジムリーダーに会える、正解か不正解か! 答えてみて!」

「ここがゴールだろ?

 お前を倒して、あたしは進む!」

 

 

 

 

 

 

「トレーナーはそこまで厄介じゃなかったけど……」

 

 トレーナーとジムリーダーは明らかに力が違う。

 チェレンにもらったきのみ、持たせてみるか?

 明らかにカゴのみ使えって感じだったしな。

 後はオレンのみも。

 

「いらっしゃい!

 シッポウ博物館の館長にして、シッポウジムのジムリーダー。

 それがこのあたし、アロエだよ!」

「マリネットだ。あんたを倒し、バッジはもらう!」

「いい気迫だね。さあて、挑戦者さん。

 愛情こめて育てたポケモンで、どんな戦い方をするのか研究させてもらうよ!」

 

 果たしてどうなるか。

 後には引けない!

 

 

 

「ハーデリア!」

「ムンナ!」

 

 ハーデリア! あたしの奴とは違うのか?

 ムンナが威圧されてる?

 あたしのハーデリアは威圧とかしたことないぞ。

 

「『いかく』は初めてかい?

 最初に見たポケモンを威圧して攻撃力を下げるのさ!」

「なるほどな……!」

 

 もしポークやハーデリアを出していたら、かなり不利になっていたかもしれない。

 先発ムンナは当たりだったか。

 

「いかくは外れたけど、コレはどうかな?

 ハーデリア!『とっしん』!」

「ムンナ!『さいみんじゅつ』当ててやれ!」

 

 ムンナはとっしんを受けてもチョロネコみたいに跳ね飛ばされない。

 ムンナのタフさは折り紙付きだ。

 そのまま反撃のさいみんじゅつを当て、眠らせた。

 

「やってくれたね……!

 起きな! ハーデリア!」

「ムンナ!『つきのひかり』で回復しろ!

 攻撃はそれからだ!」

 

 あたしの作戦が上手く決まり、そのままハーデリアを倒す事が出来た。

 このまま押し切ってやる!

 

「やってくれるねえ。もうミルホッグを引き出されちまった。

 けど、こんな状況でも勝つ手段を探るのさ!

 ミルホッグ!『さいみんじゅつ!』」

「なっ、ムンナが……!」

 

 逆に眠らされた!

 

「そのまま『かみくだく』!」

「むうん…………」

 

 ムンナはあっさり倒された。

 本番はこれからって事か!

 

「ポーク! ひたすら『いわくだき』!」

「ミルホッグ! なんとか『さいみんじゅつ』を叩き込むんだよ!」

 

 その後ポークは最後までさいみんじゅつに抵抗し、ミルホッグを倒しきった。

 ……カゴのみ一応持たせてたけど、使われる事なかったな。

 

 

 

「勝った……のか」

「大したもんだよアンタ!

 惚れちゃうじゃないか!」

 

 意外にもあっさり勝ててしまった。

 あまり実感は無いけど。

 

「ウットリするほどの得も言われぬ戦いっぷり!

 このベーシックバッジを受け取るのに相応しいポケモントレーナーだね、アンタ!」

「これが……2つ目……」

 

 あたしの強さの証明書……。

 昨日よりは、確実に前に進めてるはず……。

 

「バッジを2つ持っていれば、更に高いレベルのポケモンでもアンタの言う事を聞いてくれるよ!

 後、このわざマシンも持っていくといいさ!」

「わざマシン……中身は?」

 

 コーンは『ふるいたてる』を使ってきたけど。

 

「中身は『かたきうち』!

 かたきうちは、直前に味方のポケモンが倒れていたら威力が倍になる技!

 使い所を見極めれば、強敵も倒せるんだよ!」

「直前に味方が倒れていたら……」

 

 あまり気が進まないやり方だけど、弱いポケモンをわざと敵に倒させてかたきうちを叩き込む、なんてやり方もあるのかね?

 まあ、そんな方法使うくらいなら全員鍛えた方が良いだろうけど。

 

「じゃあ、あたしはこれで帰「ママー!」」

 

 

 

 帰ろうとしたら、入り口で無理矢理案内してきた男が駆け込んできた。

 

「ママ! 大変! 大変だよ!

 変な連中が乱入してきて!

 ホネをいただく! って!」

「なんだって! どういうことだい!?

 マリネット! アンタもおいで!!」

 

 なんでこんな狙いすましたタイミングで襲われてるんだよ!

 毎度毎度無理矢理巻き込まれてるじゃねえか!

 誰か知らねえけど、あたしが居ない時を狙えよ畜生!

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