選択権無しのマリネット   作:ルスト

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19話 だからあたしを巻き込むな!

 アロエに引っ張られ、博物館まで戻って来ることになった。

 そこに居たのは、度々見かけ、戦うことになった強盗連中と同じ雰囲気の奴らだった。

 格好はそれぞれ違うが、あの雰囲気だけは共通だ。

 プラズマ団の演説に感動したとか言って、自分達の身勝手のままに暴れてる連中……。

 

「ちょっとアンタ達! おふざけはよしとくれ!」

「来たかジムリーダー。我々はポケモンを自由にするため、博物館にあるドラゴンのホネをいただく」

「我々が本気であることを教えるため、敢えてお前の前で奪おう」

「では、煙幕!」

「我々の正義のために!」

「ポケモン解放のために!」

 

 その直後、ものすごい量の煙が部屋に撒き散らされた。

 何も、見えねえ……!

 煙が晴れると、ドラゴンのカセキの頭部のホネが無くなっていた。

 

 

 

 

 

 

「なんてこったい……っ!」

 

 ホネを盗まれたアロエはすぐに飛び出して行ってしまった。

 

「あっあっ!? 追いかけないといけないですよね」

「……って、行かねえのかよ?」

 

 お前はなんで動かねえんだよ。

 アロエは妻なんじゃなかったのか?

 

「恥ずかしながら……私はトレーナーじゃなくて……」

「…………」

 

 力の無い弱者ってわけか。

 だからこうしてオロオロするしかないんだな。

 力が無い奴はこうするしか出来ない。

 ……まあ、あたしには関係無いよ。

 一人でそこでオロオロしてな。

 多分アロエが取り返すだろ。

 

 

 

 

 

 

 博物館を出るとアロエがさっきの連中を探していた。

 そこに誰か近づいてくる。

 

「やあアロエねえさん。

 何かいいカセキは見つかったかい?」

「アンタ、また創作に行き詰まったのかい?」

 

 アロエの知り合い? 誰だこいつ?

 

「マリネット! こいつさ、こう見えてもヒウンジムのジムリーダーでアーティって言うんだよ!」

 

 ふーん、こいつが次にあたしが倒すジムリーダーって事なのか?

 まあ戦う時以外はどうでもいいけど。

 

「……んうん? なんとなく、気分転換かな?

 でさ、なんとなく大変そうだけど、ひょっとしてなんかありまして?」

「そうなんだよ!! 展示品を持っていかれてさ!」

 

 正直あたしは黙って立ち去りたいくらいなんだけど。

 タイミング悪い事にベルが来た。

 更にチェレンまで。逃げられない。

 

 

 

「ねえねえ、マリネット。みんな集まってどうしたの?」

「……マリネット、何か問題でも?」

「あたしにとっては大迷惑……」

 

 全然先に進めねえ。

 足止め足止めまた足止め。

 お使いお使いまたお使い。

 トラブルトラブルまたトラブル。

 そんな事ばっかりな気がしてきた。

 

「なんだいなんだい? この子達は……?

 アンタの友達かい?」

 

 ベルとチェレン? えーっと……。

 友達……友達? ポケモン勝負はしてる。

 まあ話もするけど、助け合うような関係……か?

 特にベル。あたしが一方的に助けてるだけだ。

 チェレンには色々アイテムもらったけど。

 

「こいつらはベルとチェレン。

 同じ日にイッシュ巡りに出されたトレーナー」

「ベルにチェレン……。

 ああ、アララギ博士が図鑑を渡したって子供達かい。

 つまり、トレーナーなんだね!

 それなら手分けするよ、あたしゃこっちね」

 

 捜索するから手伝えってことかよ。

 マジで面倒だ。あたしは自由に旅をしたいのに。

 

「そしてアンタ達! チェレンとベルは博物館に残ってちょうだい!

 で、アーティとマリネットはヤグルマの森を探しておくれよ!

 いい? アーティ、アンタが案内してやんな。

 ……じゃ、頼んだよ!」

「おい! あたしは手伝うなんて一言も言って……!」

 

 面倒事押し付けやがって、そのまま勝手に行きやがった!

 

「さてさて……きみ……マリネットさんだっけ?

 じゃあ行こうか、ドロボウ退治とやらにさ」

 

 いや、勝手に決めんなよ!

 しかも勝手に先行きやがった!

 案内云々はなんなんだよ!?

 

 

 

「あっ、マリネット! これを持って行ってよ!

 マコモさんから預かってたの! ダウジングマシン!」

「ダウジング……ねえ……」

 

 こんな急いでる時に渡すような物じゃない気がするけど……さっきの連中が地面にホネを埋めて逃げた!

 とかいう場合は役に立つ……のか?

 

「ダウジングマシンを使うと、目には見えないけど隠れている道具の場所が分かるんだって!」

「…………お前、このタイミングで渡すか?

 って言いたいけど、礼は言っとく。ありがたく使うわ」

 

 というか、マコモの奴……どうでもいい話無理矢理聞かせたりする前に渡す物をちゃんと渡せよ。

 

「事情が分からないけど、博物館を守ればいいんだね?」

「……必要なら、あたしから軽く説明しようか?」

「じゃあ、頼めるかい?」

「分かった。あたしがジム戦終えた直後に、強盗が博物館に乱入して、展示品のカセキの頭蓋骨を盗んで逃げたんだ。

 ご丁寧に煙幕ですぐに追えなくされた。

 ちなみに、さっきお前等に博物館守れって言った奴がジムリーダーのアロエ」

「なるほど……その強盗のせいでジムリーダーと戦えないのか……。

 なんてメンドーな話だろう」

「気持ちは分かるが、あたしなんか話も聞かずに森調べてこいだぞ?

 あたしと代わってやろうか?」

「……そうだったね」

 

 ホント、どいつもこいつも自分勝手にも程があるだろ!

 なんであたしが! 警察とか呼べよ!

 

「本当なの!?

 ドロボウだなんて、あたし許せない!」

 

 ならお前が森探索するか?

 ……って、言っても無駄なんだろうな。

 ホント嫌がらせみたいな人選しやがって。

 

「まあ、事情は分かったよ。博物館はしっかり守るさ」

「気をつけてね、マリネット!」

「……ああ」

 

 そそくさと行ってしまったアーティって奴の態度からすると、あたしばっかりきつい目に遭うのは覚悟した方がいいな。

 どうしてあたしばっかりこんな目に遭うんだよ……。

 これも、逆らえる力が無いからか?

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