選択権無しのマリネット   作:ルスト

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次の活動

 プラズマ団から警察に引き渡された強盗達。

 周りに人が居る間は大人しく連行する警官と犯罪者だったが、人が居なくなるとその様子が一変した。

 

 

 

「す、すまん! 警察の格好なんて何であるのかって思ったけどこういう事だったのか……。

 ポケモン奪うのをしくじった挙句、逃がすために手間までかけさせて……本当に迷惑かけた!」

「私からもごめん! 私達を救出するためとはいえ迷惑かけたわ!

 それにしてもあの子供マジで危険すぎでしょ!

 あいつが居ない所で暴れないと命がいくつあっても足りないわよ!」

「全くだ。ゲーチス様が咄嗟に指示を出したから良かったものの……」

 

 周りに誰も居ないスカイアローブリッジ。

 そこに居たのは強盗と警察ではなく、プラズマ団特殊部隊の同僚3人だった。

 プラズマ団の服を着て犯罪行為をやろうものならプラズマ団の正当性がたちまち破綻する。

 街等で暴れればジムリーダーにプラズマ団を潰す名目を与えてしまうし、マリネットのような人間がプラズマ団そのものを潰そうとしてくる可能性もある。

 それを避けるため、彼らは活動するようになった当初から『様々なトレーナーや職の人間に化けて』活動するようになっていたのだった。

 

 

 

「しかし、次はどうすれば……。

 あんなヤバいのが居るんじゃヒウンシティどころかライモンシティから先ではまともに活動出来ないぞ」

「私なんか全力で蹴られたのよ!

 も〜! まだ背中が痛いわ!」

「その件についてゲーチス様から新しい指示が出ている。

 次の活動は、育て屋にタマゴを作らせて孵化させまくる活動だ」

「ああ、確か4番道路の方で仲間がポケモン大量に捨てたんだっけ?

 ダンバルを山ほどあの砂漠地帯に捨てたのよね?

 それと同じ事をすればいいのね」

 

 そして、この部隊が行う活動は単純明快。

 ゲーチスの演説やプラズマ団の活動に正当性を持たせるため、自作自演の工作でイッシュを荒らすこと。

 マリネットが何度も見てきた『強盗』はあくまでその活動の1つである。

 

 

 

「いや、捨てる活動はまた別の人間が行う。

 お前達はブリーダーのふりをして育て屋夫婦にポケモンを預け、タマゴを孵化させてボックスに預けるだけでいい。

 4番道路で既に決行した以上、お前達がそのまま捨てて足がつくと面倒だからな。

 他人のボックスを荒らしてポケモンを奪うトレーナーの役を任された団員が仕事する手筈だ」

「了解! たくさんタマゴ作らせます!

 たくさんタマゴ割ります!」

 

 どれだけ非道な行為をやったとしても、プラズマ団の一員だと分からなければあくまで『酷いトレーナーが勝手にやったこと』になるのだ。

 それに、捕まえる警察だってプラズマ団の仲間のなりすましが担当している。

 なので今回のように正義のトレーナーに追い詰められて捕まってしまっても。

 仲間が警察のふりをして引き取り、安全な場所で逃がせばいいのだ。

 実に簡単で効果的な行動である。

 自分達が暴れるだけで、トレーナーの評判は悪くなりプラズマ団の評判は上がるのだから。

 

 

 

「なあ。ところで育て屋の爺さんって確か……」

「今はライモンシティに居ると目撃情報があった。

 仲間があの爺さんを始末出来れば、次は婆さんも始末して我々が育て屋に成り代わる。

 もし邪魔が入って始末出来なくても、お前達が育て屋を使ってタマゴを作らせまくれば良しだ。

 結果としては、タマゴの作られるスピードが早いか遅いかでしかないよ」

「なるほど。そういう事なら無計画に作らせまくって誰かに捨ててもらうかな」

「『こんな所に◯◯を大量に捨てるなんて許せない!』みたいな事言い出すトレーナー居たらお笑いよね!」

 

 なりすましてのポケモン投棄。

 よりによってバトルサブウェイという施設が用意されてしまったため、この施設のせいであるという話に持っていきやすいのもポケモン投棄が行われている理由だった。

 

 

 

「なあ、4番道路を掃除した仲間から『フカマルとかタツベイが山のように捨てられてて想像の数倍作業がキツかった』ってメッセージ来たんだけど」

「え? フカマルとタツベイ? 知らないわよ?

 貴方は? あの辺の警察に混ざってたんでしょ?」

「いや、俺も知らないな。任務ではダンバルを大量投棄するだけの話だったんだが……」

「まさか、マジで我々と同じ事をやってるトレーナーが居るのか?

 真っ当なトレーナーのやる事じゃないぞこれ」

「そうよねえ。ダンバルなんか鉄の塊だから生き物感なくて良かったけど、タツベイなんかあの場所に捨ててたら、砂嵐でそのうち死んじゃうでしょ」

「まあ問題無いだろう。むしろ利用できるだけだ」

 

 

 

 イッシュ最大の魔境バトルサブウェイ。

 ポケモン勝負に全てを捧げ、修羅と化した猛者どうしの戦いには、どうしても素質の高いポケモンが必要になる。

 そんなポケモンを作り出すには大量孵化による厳選が必要となる。

 しかしポケモントレーナーが使えるボックスは有限。

 余り物を置いておく場所はなく、素質の低い余り物は全く役に立たないため、捨てられる。

 それは自然な流れであった。

 プラズマ団はその流れに便乗しただけである。

 

 

 

「他の部隊はどうするのかね? 何か聞いてるか?」

「保護団体チームはとりあえず各地で活動していくらしいな。

 俺等と何の関係もない非道なトレーナーがそこそこ多いらしいから、プラズマ団を支持する連中が少し出てるって聞いたよ」

「おっと、そろそろ着替えないとヤバくない私達?」

「ヤグルマの森で準備したら、また行動開始だ。

 全てはゲーチス様の野望達成のために」

 

 

 

 プラズマ団はその活動を強めていく。

 表から、裏から、イッシュ地方の既存のシステムや勢力を滅茶苦茶にするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----

 

 

 

「良かったのですか、ゲーチス様?

 あのマリネットと言う小娘を見逃して」

「ご命令いただければ、我等七賢人が総力を挙げてあの小娘を……」

「泳がせておいて構いません。

 あの小娘、周りの人間に対する不信感に溢れていました。

 ワタクシ達が何もしなくても『イッシュ地方で正義の側に立つ勢力』に対する反発心が膨れ上がっていくでしょう。

 入ってきた時……アイリスに引っ張って来られたあの時の目は、とても反抗的でしたね。

 それこそ、Nに教育のために渡した虐待済ポケモンのような……。

 逆らいたいのに逆らえない。無力感に苛まれている。

 あの小娘はそんな目をしていましたよ」

 

 

 

 確信があった。

 あの小娘は、この先もプラズマ団の特殊部隊と敵対こそするだろうが間違いなく本意ではない。

 監視の目はあの小娘が嫌々従わされている事実をはっきり捉えていた。

 話を聞かずに一方的に行動を強いるジムリーダーやベルと名乗る小娘等、マリネットとかいう小娘の周りにはその自由を奪う『敵』しか居ない。

 

 

 

「あの小娘を我々に対する対抗策として祭り上げ、戦わせる。

 ワタクシが見た未来予知通りの展開が起きた場合『プラズマ団の活動』は失敗に終わらされるかもしれません。

 ……しかし、あの小娘を旗印に使おうものなら、イッシュ地方の地盤は崩壊するでしょうね。

 Nを矢面に立たせ、全責任を負わせて捨て駒にして、我々は力を温存しておくというのも1つの手……」

 

 

 

 あの小娘がジムリーダーによって従えられてる現状は、あくまでジムリーダーの方が力があるから。

 逆らったら鞭で打たれるから従うしかないポケモンと何も変わらない。

 もしあの小娘がジムリーダーはおろか、四天王やチャンピオンにも制御出来なくなれば、その時は……。




プラズマ団の服を着て「我々がプラズマ団だ!」と名乗りながら強盗や窃盗を繰り返す集団。
その横で「ポケモンを解放せよ!」とプラズマ団が訴えてます。これがBWのプラズマ団。
……ガッバガバすぎんだろゲーチスは馬鹿なのか!?
そもそもヒウンシティの時点でガバ晒してた原作ゲーチス。こいつらアホしか居ない。
こんなんじゃマリネットでもプラズマ団が悪だと認識しちゃうよ……。
という理由で考えた独自改変要素「変装しての工作活動」でした。

プラズマ団を潰してくれと最初から全力で自己主張してるようなものですしこれは論外。
ロケット団なら恐怖の象徴として威圧する目的もあるだろうけど、プラズマ団って表向きは演説でポケモン解放させるように動いてる団体なんです、一応……。
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