選択権無しのマリネット   作:ルスト

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30話 砂漠を抜けて

 ベルをぶっ潰した後、4番道路に出るとすぐにチェレンが立っていた。

 

 

 

「やあマリネット、きみがビートルバッジを手に入れるのを待っていた」

「チェレンお前……こんな場所で待ち伏せして、本気か?」

 

 砂嵐の中じゃねえか。

 こんなとこで戦うのかよ?

 

「早速だけど、どちらが強いトレーナーなのか確かめさせてもらうよ」

「お前も一方的になったな。まあ勝つのはあたしだ」

 

 さっさと叩き潰してやるよ。

 こんな砂嵐の中にあまり居たくない。

 

 

 

「マメパト!『でんこうせっか』!」

「ハーデリア!『ふるいたてる』!」

 

 ハーデリアは攻撃を食らったが、問題ない。

 たまにはベルの真似事でもしてやるか。

 

「ポッ!」

「ん? チェレンのポケモンこの砂嵐でダメージ食らってるのか?」

「ファーストアタックの大事さ、ちゃんと理解しているね」

「どこがだよ。完全に砂嵐じゃねえか」

 

 お前天然かよ。

 そういや、あたしのハーデリアは全くダメージ食らってねえな?

 威嚇が使えない分アロエとかベルのハーデリアの劣化だと思ってたけど、こんなところで助かるのか。

 限定的すぎるのは悲しいけど。

 

「よし、ハーデリア。ふるいたてる中断。

 回復してやる。おいしいみずだ、飲め」

「砂嵐の中なら有利になると思ったけど、またしても墓穴を掘ったのか……?」

 

 その後、ふるいたてる3回使ったハーデリアがチェレンのポケモンを4体全て叩きのめして勝利した。

 砂嵐のダメージを全くものともしないハーデリア。

 限定的すぎる気がするけど、あたしにこの環境が完全に味方したな。

 無くても勝ってたけど。

 

 

 

「……流石だね。だけど、何故ぼくは勝てない!?」

「ま、あたしの覚悟はチェレンのそれとは違うって事だろ。

 あたしは自由になるために強さを求めてる。

 名声とか生きている実感じゃないからな。

 明日の自由のために力を求めてるんだ」

 

 ……正直、他に言えるとしたらタブンネを倒してるくらいなんだよな。

 

「……なるほど。きみが強い理由の1つは覚悟、か。

 確かに、きみにとって自由は切実な問題なんだろう。

 だが、本当にそれだけなのか?

 ポケモンとの信頼関係とか、他の理由がある筈だ」

「って言ってもなあ…………。

 他にあってもタブンネ倒してただけだぞ?

 後はベルやジムリーダーのせいで無理矢理巻き込まれた様々な事件」

 

 主に最後のやつのせいなのかねえ……。

 嬉しくねえ。

 強くはなるんだろうけど、あたしの自由は全く無いからな。

 

「だけど問題ない。ぼくだってフタチマルたちからもっと強さを引き出せるよ」

「ま、お前は多分もっと上まで行けるんじゃねえのか?」

 

 あたしと向いてる方向は違うけど、向上心はあるわけだし。

 

 

 

「って、こんな所でライブキャスターかよ!

 誰だ!?」

 

 候補なんて限られてるだろうが……。

 さっきぶっ潰したベルが来るわけはないし。

 

「ハーイ! マリネット、ちょっと付き合ってくれない?」

「だよな……。はあ……また面倒事か?」

「アララギ博士、何かご用ですか」

「ベルは呼び出しに気づいていないのよねー。

 何に夢中なのかしら?」

 

 見てないし、ヒウンシティの方に戻っていったよな。

 まあどうでもいいけど。

 

「後で別に連絡するしかないわねー。

 じゃ、おふたりさん。ライモンシティの手前のゲートで待ってるわね!」

 

 アララギは勝手に切りやがった。

 こいつやっぱ人の話とか聞く気ねえな。

 ジムリーダーやあたしの親と同じだ。

 

「……だって。ライモンシティのゲートなら、この4番道路をまっすぐ進むだけさ」

 

 そう言ってチェレンは去っていった。

 正直無視したいんだけど、目的地で待ち伏せしてやがるんだよなあアララギ……。

 はあ、面倒くさ。

 

「今度はどんな面倒事なのやら……。

 とりあえず、この砂嵐エリアをさっさと抜けてしまうか……」

 

 特訓しようにも、こんな所にタブンネなんて生息していないだろうし。

 

 

 

 

 

 

「流石に通れるようになってるか」

「通行止めで邪魔したトレーナーか。

 見ての通り封鎖は解除! 通れるぞ!

 プラズマ団の奴等と俺の仲間で、不法投棄されていたポケモンは全部保護したからな!」

 

 ホント迷惑な話だよ。

 じゃ、あたし通るからな。

 

「おう! この先の砂漠……リゾートデザートの奥には遺跡があって、ちょっとした観光地になっているぞい!」

「ふーん、観光地ねえ……」

 

 今はライモンシティ優先でいいかな。

 ライモンシティのポケモンセンターで通販からポケモン仕入れて強くなりたいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………この砂嵐の中で敵多すぎだろ」

 

 砂嵐を切り抜け、ライモンシティへのゲートまでやって来た。

 直進する間、敵トレーナーが大量に居たので全員倒してきたが、ホントどいつも物好きだよな。

 なんでわざわざ砂嵐の中で……。

 

 

 

「ハーイ! マリネット!!」

「……」

「こっちに来なよ」

 

 で、結局なんなんだよ。

 

「カミツレに呼ばれてでんきタイプのポケモンの事色々聞かれている時に君達の事思い出して……。

 で、用事というのはこれ!

 ドドーンとサービスよ!! 10個!

 はいチェレン、マリネットも」

「……モンスターボール? の、高級品?」

「ハイパーボールだよ。スーパーボールより更に質がいい」

 

 ふーん。まあ切り札的に使うかどうかってとこかね。

 

 

 

「一緒に居たいポケモンに出会ったら惜しむことなくいいボールを使いなさいな。

 そのポケモンとの出会いはそれが最初で最後かもしれないんだから!

 ……それと、ポケモン図鑑の完成をお願いしたわたしがこんな事を言うのもちょっとおかしいけど、旅を楽しみなさいね!」

 

 バトルカンパニー? でもらったボールとどっちがいいのかね、これ。

 まあ両方必要なら使うか。

 

「……あっ! ポケモン図鑑の事何もしなくていいって意味じゃないのは分かってるよね。

 さてと……ベルに会わなきゃね」

 

 勝手に去っていった。

 まさかハイパーボールのために呼び出したのか?

 

 

 

「……ぼくたちを旅立たせるためポケモンと図鑑をくれた……。

 そういう事らしいね、かあさんが教えてくれたよ」

「有難迷惑でしかないけどな……」

 

 ただ、おかげさまであたしは力の重要性を思い知った。

 力が無ければ何も出来ない、言いなりにされる。

 その事をよく思い知ったよ。

 その点は感謝してる。

 

「ぼくたちに世界を見せたいからって、きみのママとベルのママ、3人でアララギ博士に頼んでね。

 さてマリネット、これからどうしようか」

「あたしはまずはさっさとライモンシティに行く。お前は?」

「そうだな……。4番道路でまだ捕まえていないポケモンを捕まえることで感謝の気持ちとさせてもらうかな」

「そうか、それじゃあたしは行くよ」

「ああ」

 

 

 

 そのままあたしはライモンシティに続くゲートを通り抜けた。

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