カミツレが去った後、あたしは予定通りブラックシティのポケモン通販会社のページにアクセスした。
なんでも買えるポケモン通販、金や換金アイテムさえ用意出来れば貴方の望みのポケモンが思いのままに!
なんて触れ込みだけど、実際のところどうなんだろうな?
そんな事を考えながら、通販会社の注文ページにアクセスした。
『はい、こちらブラックシティポケモン通販です。
ご要件をどうぞ』
「えっと、声で話せるのか、これ?」
『問題ありません。当サイトは音声認識によるご案内も行っております。
お客様のご要件をお話ください』
「ポケモンを買いたいんだ。ほしのかけら1つで買えるポケモンはどんなのがいるか教えてくれるか?」
声をかけられてきたので返事をして、とりあえず用件を話す。
……こんな感じで良いんだろうか?
この通販、使おうとは思ってたんだけどなんだかんだでここまで使うことがなかったんだよな。
『初めてのお客様ですね。
ほしのかけらですと、こちらのリストのポケモンが対象になります。
絞り込みは必要でしょうか?』
「うわっ、すげえ数だな……」
リストを眺めてみた。
当然のようにイッシュには居ないポケモンまで取り扱っている。
カントー地方の初心者用ポケモンのフシギダネやヒトカゲ、ゼニガメもラインナップにあった。
「ライモンシティジムに挑むトレーナーの満足度1位∶ゴローニャ、ねえ。そうなのか?」
『はい。ライモンシティのポケモンジムはエモンガというでんき・ひこうタイプのポケモンを多く繰り出してきますが、イッシュ地方でエモンガに完全有利を取れる地面タイプはドリュウズしか存在しません。
そのため、簡単にエモンガを倒せるゴローニャの需要は大きくなっています』
なるほどな。
もし勝てそうになかったらあたしも仕入れて使ってみていいかもしれない。
というか、ユーザーコメントがかなりガイドーやエモンガへの恨み言で溢れていた。
『ライモンシティガイドーの罠に騙された! そんな貴方にオススメ!』
『あのガイドークビにしてしまえ! この通販サイトでゴローニャ買わなかったら危うく詰んでました!』
『ゴローン買っても自動的にゴローニャになるから安心! エモンガに負けないからもっと安心!』
『いわ・じめんタイプだからエモンガに負けません!
もうガントルには戻れません!』
『エモンガ潰しにオススメ』
『カミツレ相手にもコレ1匹』
……大変なんだな皆。
「とりあえず……あたしは、秘伝技をたくさん覚えたポケモンを欲しいって思ってるんだよ。
空を飛んですぐに以前の街に戻ったり、水の上を渡って川や水路の先に渡ったり」
『なるほど。そらをとぶとなみのりを覚えたポケモンですね。他には何を覚えているのが理想ですか?』
「かいりきと……なんだこれ?
たきのぼり? ってのは両立出来るのか?」
あたしそもそも秘伝技なんて言われても『いあいぎり』しか知らないんだよな。
『その4つであれば、両立する事が可能です。
予算はほしのかけら1つですね?』
「ああ。あたしが払うのは試しの岩で取ってきたこれだ」
顔の見えない画面に見せて意味があるのかは分からないが、ほしのかけらを見せた。
『それでしたら、お望みのポケモンはすぐにご用意することが可能です。
引き渡しはこの場で行われますか?』
「え? ああ……代金代わりのコレはどう払うんだ?」
ほしのかけらを払うって言われても、どうすればいいんだか。
『お客様は不要なポケモンを持っていますか?』
「いや、今のポケモン渡すのは……」
今の手持ちは流石に渡せない。
まさか、ポケモンに持たせて交換するのか?
『はい。当通販サイトの取引は基本的にポケモンに物を持たせてお送り頂くことが必要です。
手近な草むらや洞窟で捕まえた野生ポケモンでも構いませんので、ほしのかけらを持たせてお送りください』
「マジか……じゃあ、ちょっとポケモン捕まえてくる!
離れるから、1回切るぞ!」
『承知いたしました。利用情報の登録のために、お客様のお名前をお教えください。
次回以降のアクセス時に利用します』
「マリネットだ」
『マリネット様、ですね。ご利用ありがとうございます。
では、ほしのかけらを持たせたポケモンを用意出来たら再びアクセスをお願いします。
それでは、失礼します』
通販サイトの受け付け? との会話が終わる。
とりあえずあたしはポケモン捕まえてこないとな。
秘伝技詰め込んだポケモンってどんなのが来るんだ?
「とりあえず1匹捕まえて来たけど……」
チラーミィをその辺で捕まえてほしのかけらを持たせ、再び通販サイトにアクセスした。
『こんにちは、マリネット様。
ポケモンはご用意出来たようですね』
「ああ、これで良いんだよな?」
チラーミィにほしのかけらを持たせてある。
それを通販サイトのボックスに送付した。
『はい。確かにほしのかけらを受け取りました。
では、こちら商品のポケモンとなります』
そして通販サイトからチラーミィとほしのかけらの代わりにポケモンが送られてきた。
……なんだこいつ?
巨大な、ドラゴン?
『種族名はカイリュー。マリネット様のご注文通りにそらをとぶ、なみのり、かいりき、たきのぼりを覚えています』
「…………あたしの手持ちポケモンよりずっとレベル高いんだけど。
ホントにコレがほしのかけら1個分の値段なのか?」
まだイッシュの半分も回ってないあたしの手持ちがまだまだ弱いのもあるだろうが、このカイリューのレベルは明らかに高い。
図鑑が示したレベル目安は61。あたしのポケモン達は31だ。
なんだよこれ……。
『はい、それがほしのかけら1個分の値段なのは間違いありません。
釣り上げられたミニリュウを加工した程度の個体ですので、そのお値段となっております。
バトルの質には期待しないようにお願いします』
「あ、ああ……」
正直、命令聞いてくれるなら文句なしの強さな気がするんだけど。
とりあえず、秘伝技を使わせるだけなら大丈夫なんだよな?
『はい、秘伝技は問題なく使ってくれます。
イッシュ地方では秘伝技のライセンスは必要ありませんので、そのカイリューを使って快適な空や海の旅をお楽しみください。
それでは、これで失礼します。
マリネット様、ご利用ありがとうございました』
「ああ……ありがとう…………」
使うなって言われてた理由が少し分かった気がする。
同時に使う奴が居る理由もよく分かった。
とりあえず、このカイリューに力を借りてふらふらと旅をしてみようかな。
……最悪、力に関してはお金積んでこのサイトから強いポケモン買いまくるなんて作戦もあるだろうし。
まあ、今のところ足代わりのカイリュー以外を買うつもりはないけど。
「さて……行けそうな所に、気ままに行ってみるか」
イッシュ巡りは少し中断だ。