選択権無しのマリネット   作:ルスト

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42話 改めて巡る

 アヤさんと別れた後、あたしは17番水道の北側に来ていた。

 この辺は水の流れが速くて、そこにうっかり入ると勝手に運ばれていくらしい。

 まるでレールの上に乗せられているみたいだ。

 

「……あちこちに居る敵、今なら全員倒していけるかな?」

 

 強くならないといけない。

 そのためにも、あたしは戦い続ける。

 アヤさんとの修行の成果……皆進化してるけど、実戦ではどうだろう。

 

 

 

「と、思ったけど……。

 とりあえず、流された先の場所を調べてからだな……」

 

 が、そもそも水流から逃れようにも動けない。

 カイリューが一方的に流されるだけの水流ってなんなんだろうか……。

 

 

 

「……ここは? 何かの研究所か?」

 

 水流に流された先の陸地には変な建物が。

 踏み込んでみたが、中には何もない。

 パソコンがあるけど……。

 

 

 

「……王の命令で計画凍結?

 なんだこれ?」

 

 誰かの日記のような記録がある。

 しかし、パスワードが分からないので読めない。

 

 

 

「……まあ、考えたところで分からないし、出るか」

 

 変なノートの事は忘れることにした。

 誰も居ないし、結局良く分からないところだったな。

 

 

 

 

 

 

「あのドラゴン……アヤさん?」

 

 外に出ると、大きな影が通り過ぎて行った。

 見上げると、アヤさんが出していたドラゴン……ボーマンダが飛んでいくのが見えた。

 

「……あたし、強くなるよ。アヤさん……」

 

 今はまだ弱いけど、それでも……。

 ……さて、片っ端から戦うか。

 アヤさんとの特訓の成果はどうなったかな?

 

 

 

「波にノッてるポケモン、ポケモンにノッてるお前。

 お前はノリにノッてるかい?」

 

 ちょうどいい所に敵がいた。

 試し切り……じゃないけど勝負していくか。

 

 

 

 

 

 

「ノリごと流されちまったぜ……」

「なるほど、あたしのポケモン強くなっているんだな……」

 

 分かったら話が速い。

 もっと戦っていくか。

 

 

 

「それはそうと、ダウジングマシン反応してるな。

 こんな所に何があるんだよ……って、なんだこれ? ウロコ?」

 

 ダウジングマシンが示していたのはハート型のウロコだった。

 アヤさんが言ってた、技を思い出すために必要なアイテムか?

 とりあえず持っておくか。

 他にも反応してるし、探しに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……真珠まで落ちてるのか、ここ」

 

 流石海と言うかなんというか。

 ダウジングマシンが次から次へと反応していたので拾っていった。

 通販に出せばまた何か買えたりするのかな。

 その予定は無いけど。

 

「そして、この辺で拾ったわざマシンがこれか……」

 

 10まんボルト、テレキネシス。

 10まんボルトは強力なでんきタイプの攻撃技なのは見せられて理解してる。

 ……でんきタイプを手に入れたら使うことがあるんだろうか。

 ここまでが、アヤさんの小屋の先にあった物なんだよな。

 つまり、この後入り口に戻って改めて調べることになるか。

 

 

 

「頑張るか、強くなっているのは確かなんだ。

 この辺りが終わったら、次は3番道路だ」

 

 その後、1番道路、17番水道、18番道路を改めて一通り調べたあたしはカイリューに飛び乗り、18番道路を後にした。

 アヤさんに鍛えてもらった時に拠点にしていた小屋が急速に小さくなっていく。

 ……この場所にたどり着かなかったら、あたしはこんなに強くなれなかった。

 ここでの経験、絶対に活かしてみせるよ。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こっちに来るのも数日振りか」

 

 3番道路。

 バスラオを倒しに来たのに何故かトラブルが発生していてジムリーダーが駆け付ける騒ぎになっていた道路は、あの騒ぎが嘘みたいに静かだった。

 バスラオを倒して素早さを鍛えた日の事がふと頭をよぎるが、今はそっちじゃない。

 チェレンと強盗を追いかけた「洞窟」の方に行こうと思った。

 

 

 

 

 

 

「……あの時はすぐに出てしまったけど、中って意外と広いんだな」

 

 地下水脈の穴。

 そんな名前だったはずだ。

 強盗達と遭遇した場所の奥にまだ道が続いており、水が行く手を塞いでいるがその先に陸地が見える。

 しかも、ダウジングマシンも反応してるって事は何か落ちてる。

 とりあえず、探索してみることにした。

 

 

 

「敵は居ない……けど、こんな所にわざマシンもあるのか……」

 

 中身は『どろぼう』らしい。

 強盗の居た場所に落ちているって皮肉か何かなんだろうか。

 ……これを使うと相手の持ってるアイテムを奪ったりできるのかな。

 使いどころが難しい気がするけど。

 そして、水の先にある通路。

 奥には地下へ続く階段があった。

 あたしはその階段を下りていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ! なんだ、何も見えねえ!」

 

 出迎えたのは光が一切差さないからか真っ暗闇となった空間だった。

 階段の近くしか見えず、その先は完全な真っ暗闇だった。

 

「これじゃ先に進むのは無理だよな……。

 何か、使えそうな手段は……」

 

 

 

 一旦外に出て考えるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……真っ暗闇だったな、あんなところどうやって進めばいいんだ?

 明かりがあれば別なんだろうけど……」

 

 そうは言っても家で使ってるような明かりをここに持ち込んだところで駄目だろう。

 それ以外の手段で照らす事って……

 

 

 

『フラッシュの技を使えば相手の技の命中率が下がる……。

 それに、真っ暗闇の中で使えば周囲を照らし出せるぜ。

 フラッシュ持ちのポケモンはライト代わり……ってことさ』

 

 ヒウンシティで出会った男の言葉がふとよぎった。

 ……そうだ、フラッシュなら!

 

「……覚えられるポケモン探してくるか。

 ヤナップなら使えないかな?」

 

 

 

 あたしは一度ポケモンセンターに戻り、ヤナップにフラッシュを覚えさせた上で連れてくることになるのだった。

 移動するための技で手持ちが圧迫されるのって地味に難儀だよな……。

 カイリューはともかく、他にも増えるとなると厄介だ。

 まあ仕方ないか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 改めて戻って来た。

 とりあえず、奥に進めればいいけどどうなるか。

 

「……さて、改めて戻って来たけど…………。

 ヤナップ『フラッシュ』」

 

 直後、ヤナップのボールが光り輝く。

 ヤナップのボールはまるで作業員が付けている電灯だ。

 ボールから放たれる光であたしの周辺が照らし出された。

 

 

 

「……おいおい、想像以上に広いなここ…………」

 

 ヤナップのフラッシュで照らし出した先には巨大な池が見える。

 しかも池はかなり奥まで続いていそうだ。

 

「とりあえず、探索するか……」

 

 

 

 何かしら手に入ると良いんだけど。

 そう思いながら、カイリューに乗って水路の奥へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

「……こんな奥地に誰がわざマシンを置いてるんだよ」

 

 拾ったのは『きあいだま』のわざマシン。

 超強力な一撃らしいが、隙だらけで当たりにくいみたいだ。

 それよりも気になるのが、なんでこんな場所にわざマシンを置いてあるのかだけど。

 

 

 

「誰かが忘れて行った……とかじゃないよな、流石に」

 

 こんな暗闇の中に修行に来たとしても、なみのりまで使えないといけない地下水脈の穴の奥地にわざわざ来て、このわざマシンを忘れて帰る奴は相当なうっかりだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って、この暗闇の中に人が居るのか?

 ……こんな所で何やってんだあいつら?」

 

 中央部では3人の人影が良く分からない動きをしているのが見えた。

 フラッシュの光では限界があるし、近づかないと良く分からない。

 

 

 

「敵……なのかな……?

 こんなところで何やってんだよって話だけど」

 

 戦う準備をしたうえで、近づくことにした。

 

 

 

「こんなところでポケモン探し?

 それともただの散歩? ま、ちょっと相手してよ!」

 

 予想通り敵だった。

 とりあえずムンナで倒す。

 ……問題なく勝ったけどパワーが足りない気がしてきた。

 進化、させるか。

 

 

 

「ムンナ、これを……どうすればいいんだ?」

 

 月の石を取り出したはいいけど、どう使えば良いのか分からない。

 直後、石とムンナが反応して光り出す。

 

「使うって、その場に引き合わせる事なのか……?」

 

 ムンナはみるみる大きくなる。

 夢の跡地で見かけたあのポケモンへと姿を変えていく。

 

 

 

「むしゃ~」

「あの時のポケモン……こうして手に入れるとちょっと感慨深いな」

 

 攻撃に関してはサイコキネシスがあれば大丈夫だろう。

 後は何を覚えさせるかだな……。

 わざマシンで有用なものがあると良いけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、トレーナーさん! トレーニングはいかが?」

「わしが得意なのは大食い競争である!」

「それはそうとお前らこんな所で何やってんだよ……」

 

 その後、残りの敵とも戦った。

 一通り倒したけど、なみのりもフラッシュも使えなさそうだった。

 

 

 

「わしの苦手な物はポケモン……なのでここで修行しているのである」

「暗闇の中でひたすら鍛錬。それが修行よ」

「いつの間にか人数が増えてましたが、私はここで修行の日々。

 人生は生涯修行よ」

「……フラッシュもなみのりも無いのにか?

 お前らどうやってここまで来たんだよ」

 

 

 

 まさか、泳いで……?

 

「ええ。筋肉は全てを解決できる。水の中で襲われるなら殴って、蹴って、倒して進むわよ」

「道が無くても己の力で切り開く、それもまた修行なのよ。水を割って歩けるようにするには至らないけど」

「ここまで強引に踏み込むこと。それもまた修行なのである」

「……」

 

 

 

 ……あたしには真似できそうにないな。

 一通り調べたはずだし帰るか。

 

 

 

「……まあ、修行にはなった……のかなあ?」

 

 地下水脈の穴を脱出するときにもう1つわざマシンを拾った。

 得る物が多かったのは確かだった。

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