選択権無しのマリネット   作:ルスト

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46話 タイミング完璧すぎない?

「おいおい……お前結局動いたのか?

 オレ様は戦わなくても良いって言った筈だが?」

「……あたしを襲ってきた強盗を捕まえたんだよ。

 いきなり襲ってきたから返り討ちにしたんだ」

 

 返り討ちにした強盗をヤーコンに引き渡した。

 ヤーコンもあたしも何とも言えない表情だ。

 探しに行ったチェレンじゃなくて、待つつもりだったあたしが先に捕まえることになったんだから。

 

 

 

「だが、これはチャンスだな……。

 締めあげて奴らの拠点の情報を吐かせてやる!

 お前ら、連れて行きな!」

「了解! まったく、よりによって俺らの姿に化けるなんてな……なんて奴だ!」

「きっちり吐かせてやる!」

 

 ヤーコンが部下に強盗を連れて行かせた。

 まあこれで大物は倒したわけだし、のんびりしてても大丈夫だろう。

 

「じゃ、あたしはこれで。

 今度こそ待たせてもらうよ」

「……フン、偶然の産物だろうが大手柄だ。やってくれるじゃねえか」

 

 さて、あたしは暇つぶしでもしようかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、警察です。先程強盗を捕らえたという通報があったのですが、何か情報ご存じでしょうか?」

「は? 警察? あたしは別に通報なんかしてないけど……」

 

 ホドモエシティの市場に行こうとすると、警察に声をかけられた。

 ……通報なんかしてないよな、あたし。

 あの戦い誰かが見てたんだろうか。

 それとも、ヤーコンやチェレンが通報したのか?

 

 

 

「倒したのはあたしだけど……もうヤーコンに引き渡したぞ?

 どこかに連れて行かれたけどそこまでは知らない」

「なるほど、ヤーコンに引き渡したと。情報協力感謝します。お気をつけて」

「ああ、ありがとう」

 

 しかし、仕事速いな警察。

 まあ、そうでもないと逃げられるか。

 

 

 

 

 

 

「マリネット、ここに居たのか」

 

 警察が去っていった後、チェレンがやって来た。

 

「チェレン? そっちはどうなったんだ?」

「空振りだよ……見つからない。

 きみのママとは二手に別れて探してるよ」

「……あたしの方は『当たり』だったよ。

 あのヒヒダルマの奴に襲われて、返り討ちにして突き出した」

「なんだって!?」

 

 正直嬉しくない当たりだけど。

 

「……やっぱりきみは何か持ってるんじゃないか?」

「トラブル招き寄せる運は欲しくないけどな……」

 

 あたしは自由に旅がしたいだけなんだから。

 

 

 

「……何かしら情報が得られると良いんだけどね。

 また脱走されないことを祈るよ」

「流石に大丈夫じゃないか?

 ヤーコンも今度こそ捕まえてられるだろ」

 

 まさかここから強盗に脱走されるなんて展開起こるわけがない。

 そう思っていた直後、轟音が響き渡り、地面が激しく揺れ動いた。

 

 

 

「んな……っ」

「今のは……!?」

 

 バランスを崩しそうになるのをどうにか踏みとどまる。

 辺りを見ると、地面と建物が激しく揺れている。

 ……地震か?

 

 

 

「収まった……?」

「まさか、これがポケモンの『じしん』なのか?

 ……凄まじい威力だね」

 

 チェレンが冷静にとんでもないことを言い出した。

 いや、マジかよ……。

 ポケモンの技でこんなことが出来るのか!?

 

「出来るだろうね。じしんという技は大地を激しく揺らして地面に居るものすべてを攻撃する技だ。

 使い手によってはそれこそ街を破壊することもできるかもしれない」

「そう考えると恐ろしいな……。

 こいつらってやっぱり相当ヤバい戦力なんだな」

 

 まあ、ヒヒダルマの件もあるし実感はしてるけどさ。

 鍛え方によっては天変地異も引き起こせるんじゃねえの?

 

「ぼくが使った『あまごい』を見ただろう?

 急に大雨だって降らせられる。つまり、使い方によっては天候を操り続けて本来の天気を捻じ曲げる事だってできるんだよ。

 反対に、雨が降っている日に『にほんばれ』で強引に晴れを作り出す事だってできるんだ」

「なるほどな……」

 

 改めてとんでもない奴らなんだなポケモンって……。

 

「さてと、それじゃぼくは向こう側を探してくるよ。

 ヒヒダルマの強盗はきみが捕まえたと言っても、他にも強盗が残ってるかもしれないからね」

「ああ」

 

 

 

 チェレンはそのまま強盗を探すために去っていった。

 

「んじゃ、あたしはホドモエシティを観光でもするかな」

 

 そう思って歩き出した直後、作業員の団体があたしの前を走り抜けていった。

 

 

 

「……なんだあれ? ま、いいか」

 

 距離が離れていたのもあってよく分からなかったが、気にすることも無いだろう。

 そう思っていた。

 上に気配を感じて見上げる。

 見覚えのあるポケモンが作業員の集団を狙うように飛んで行った。

 

 

 

「あれ……あたしの親の……!!」

 

 オーベムだったっけ。

 アヤさんとの戦いでは使われることはなかったけど、あいつ曰くラティオスと同格のポケモンだって……。

 なんで作業員の集団を……?

 

「まさかさっきの……強盗?」

 

 

 

 いくらあたしの親でも、無関係の作業員を狙ったりはしないだろう。

 ……しない、よな?

 強盗の可能性が高いし、一応ヤーコンに連絡入れた方が良い、のかねえ?

 それともさっきの警察?

 

 

 

 

 

 

「すみません、警察です。怪しい人物が出たと聞いて駆けつけたのですが……」

「ちょうどいい所に来たな……警察」

 

 いや、いくらなんでもタイミングよすぎないか?

 うーん……。でもホドモエシティの強盗事件から何日も経ってるし、警察が何人も来ててもおかしくないよな?

 

「確証は無いんだけど……作業員の集団があっちの方に走っていったよ。

 それじゃないのかな……もし違ってたら悪いけど」

「いえ、情報提供感謝します。なるほど、あっちに……。

 無線各局、冷凍コンテナ方面に逃走した模様、向かえ。

 我々が必ず捕えます。逮捕が確認されるまで、必要のない外出は避けてくださいね」

「……そうだな、あたしもポケモンセンターで待ってようかな?」

 

 

 

 返り討ちに出来たけど、他の強盗がそうだとは限らないしな。

 事件解決まで待っていようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……行きましたね。周囲に人影無し。

 状況報告します、ヒヒダルマの強盗役はヤーコンの部下に捕まり拘留中。

 残りの強盗役達は冷凍コンテナに逃走。救出方法の指示をお願いします」

『フム……最悪まとめて身柄を引き受ける手もありますが……。

 立て直すにしても、ひとまず冷凍コンテナに踏み込まれないようにするのが先決でしょうね。

 警察のふりをした団員を使って封鎖してください』

「了解。すぐに取りかかります」

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