選択権無しのマリネット   作:ルスト

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48話 冷凍コンテナへ

「マリネット、起きたのかい?」

「……一応、さっきのチェレンとあたしの親の話は聞いてたよ。

 警察がグルなんだって?」

 

 ポケモンセンター1階に降りるとチェレンが話しかけてきた。

 

「そうらしいね……まさかこんなやり方を取ってくるなんて……。

 ヤーコンさんがすぐに突入するための準備を整えているから、それまでぼくは待機しているんだ」

「……チェレンは冷凍コンテナに突入するのか?」

「ああ。例の強盗はきみが捕まえてしまったから雪辱を晴らせないのは残念だけど、強盗を捕まえる事でようやくホドモエシティのジムに挑むこともできるようになるからね」

「……そうなんだよな」

 

 終わるまで待ってても良いんだけど、その場合いつまで経ってもジムに挑めないんじゃないかこれ?

 ヤーコンってジムに挑む権利奪ってまでこの強盗事件の解決を手伝わせてたくらいだし。

 ……イッシュってジムリーダーが自分の都合優先しすぎじゃないか?

 そうせざるを得ないような案件だったのは確かかもしれないけどさ……。

 

 

 

「……あたしもさっさとホドモエシティのジムを攻略したいし、手伝うよ。

 観光はその後で良いし」

「いいのかい? 無理矢理戦わされるのが嫌だから旅を一時的にやめたんだろう?」

「あたしが嫌なのはあくまで『拒否権も無しに従わされてた』からだよ。

 自由になるために力が要るんだ、戦い自体は別に嫌じゃない。

 こいつらをもっと強くして、自由になるための力を得る。

 それだけだよ」

 

 拒否権無しに手伝え! 戦え! ばっかりだったんだ。

 ベルもアロエもアーティもアイリスも。

 手伝うかどうかはこっちで決めていい、って言うならあたしのやりたいようにやる。

 

「わかった。きみがそういうならぼくは止めない。

 ……正直に言えば、ジムリーダーを頼るよりはきみを頼る方が安心できるしね」

「……信用ねえな、ヤーコン。まあ当然か」

 

 見殺しにされかけた相手を、誰が信じられるんだって話か。

 あたしがチェレンでも同じことを思うだろうな。

 

 

 

「待たせたな。……どうも本当に黒らしい。

 さっき警察に確認をしたが、ホドモエシティに派遣した警察は誰も冷凍コンテナの警備には立たせてないとのことだ。

 にも関わらず、警察が冷凍コンテナを封鎖してるな」

「……じゃあ」

「ああ、偽物で間違いない。警察と合流次第確保しに行く」

 

 ヤーコンが裏取りをしたらしい。

 本当に偽物なのか……。

 

 

 

「間違いなく強盗との戦闘になる。

 向こうに行ってからは全て片付けるまで戦いを避けられねえ。

 ここで待っておくなら今だぞ? それでもお前らは戦うか?」

 

 チェレンやベルが強引に従わされた時と違ってかなり念入りに確認してくるな。

 ……いや、本当なら最初からそうしておけよって話なんだけど。

 

「雪辱を晴らすためにもぼくは戦いますよ」

「……さっさと解決した方があたし的にも得だしな。

 安心して歩けねえ」

 

 強盗を倒さないとまた襲われる可能性があるからな……。

 警察になりすました奴が逃がすつもりだって言ってたから、放っておいても大丈夫かもしれないけどさ。

 

「お待たせしました。警察、準備出来ました」

「我々の偽物が本当に出てくるとは……ここで捕らえなければ」

「まずは外の警官もどきからだ。お前ら、戦うつもりならついてきな」

 

 ヤーコンと警察の後にあたしとチェレンも続いた。

 あたしの親は介入するつもりはないらしい。

 チェレンの評価を上げるみたいな事言ってたから自分が出張るつもりはないのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

「ヤーコンさん、見ての通り警察が固めています。

 犯人が逃げ出すことはありません。

 ご安心ください」

 

 警察を近くに待機させ、まずは一人で話に行ったヤーコン。

 あたしとチェレンは警察じゃないから冷凍コンテナの陰で待ってろとは言われてないため、少し離れて様子を見ている。

 冷凍コンテナの前には警察の服を着た集団が集まってバリケードを作っていた。

 10人は居るだろうか?

 ……見た目だけなら本当に警察と変わんねえよな。

 

 

 

「あれがマリネットに声をかけてきた警察かい?」

「そうだよ。アレで偽物だったなんてわかんねえよ……」

「……確かに。ぼくもマリネットと同じ状況だったら彼らを警察だと信じてしまいそうだ。

 きみのママに感謝しないとね」

 

 コンテナの上を見上げると、偽警察を監視していたオーベムが役割を終えたとばかりに撤収を始めていた。

 

「そうかい、なら安心だ……と言いたいところだがな?

 お前ら、本物の警察じゃねえだろ?」

 

 ヤーコンがそう言うのと同時に、潜んでいた本物の警察が現れて偽警察を取り囲む。

 

「なっ……!」

「お前達には聞きたいことが沢山ある。大人しくついてきてもらおうか?」

 

 本物の警察の姿を見て動揺を隠せない様子の偽警察たち。

 まさか本物の警察がやってくるなんて、といった様子だ。

 

 

 

「冷凍コンテナに強盗が逃げ込んだのは把握してるんだ。

 大人しく道を開けな」

「お前達には逮捕状が出ている。大人しくしろ」

「…………」

 

 強盗の仲間だとすると、大人しくするなんて雰囲気じゃなさそうだけど……。

 

 

 

 

 

 

「……やれやれ。面倒事が増えますね」

「こんな時のためにとポケモンを持っておいて正解だ」

「大人しく我々を警察だと信じておけば怪我しないでよかったものを」

「見られた以上、口封じは必要ね。ジムリーダーの死体を隠すのは難しそうだけど……」

「目標はジムリーダーと警官の命。消してしまいましょう」

 

 

 

 全員、モンスターボールを取り出した。

 こいつら、本当に強盗の仲間だったのかよ……!

 

「フン、結局そうなるってわけか。

 容赦は要らねえ! 叩き潰して捕まえるぞ!」

「総員、偽警察を捕らえよ!」

 

 

 

 冷凍コンテナの前で、偽警察と本物の警察+ヤーコンによる戦闘が始まった。

 

「チェレン、あたし達はどうする?

 警察に加勢するか?」

「……いや。彼らが入り口から離れている今のうちに、冷凍コンテナに突入しよう。

 中の奴らをぼくたちで倒す。最悪入り口を抑えて逃げられなくするんだ」

「この状況でヤーコンや警察に指示をくれ、って言うのは無理だよな……」

 

 ヤーコンも警察も偽警察との戦いに集中してる。

 偽警察は相当強いらしく、誰もあたし達の方を見る余裕はなさそうだ。

 一方で偽警察も、あたし達の方を見る余裕はないらしい。

 扉から離されていても戻る余裕がなさそうだった。

 というか、この状況……。

 冷凍コンテナの入り口が開いて中の強盗達が逃げても気づかないんじゃないだろうか。

 チェレンの言うように、逃げられる前に直接攻め落とすしかないよな……。

 

 

 

「……頼れるのは自分のポケモンとチェレンだけ、か」

「安心してくれ。ぼくが通販で買ったポケモンはこれまでのぼくのポケモンとは比べ物にならない強さだ。

 それにマリネットもベルよりずっと強いだろう?」

「……比較対象がベルなのがアレだけど、まあ簡単に負けるつもりはないよ。

 ヒヒダルマの強盗だって倒したんだ、それ以上のポケモンが出ない限りはなんとかする」

 

 覚悟は決まった。……踏み込むぞ!

 

 

 

 

 

 

「しまった! ガキ共が冷凍コンテナの中に……!」

「ジムリーダーと警察が強くて、カバーに回れない……」

「強いポケモン持ってきてるのは我々とあの方だけなのに……」

「くそ、中の奴らの奮闘を祈るしかないのか……」

「頼んだぞ、ガキ共……。おい警察! なんとしても、こいつらを捕らえるぞ!」

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