選択権無しのマリネット   作:ルスト

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49話 冷凍コンテナ

 冷凍コンテナに踏み込んだ。

 中は凍りつきそうなくらいに寒い。

 正直、あまり長く居るとあたし達の体がやられそうだ。

 

「……それにしても、チャンピオンが言っていたけどさ。

 トレーナーにとって強い以外に大事なことってあるのかい?」

「んなこと言われてもな……あたしだって力こそ正義だって考えだぞ?」

 

 アデクの考えとは絶対相容れないだろうな、あたしは。

 力が無かったら自由すら得られないんだ、この世界は。

 守りたいものを守るためにも力が要るしな。

 

「……考えてもわかるわけないよね。

 強盗達が逃げ出す前に、さっさと制圧しよう」

「……だな。今はアデクの事なんてどうだっていい」

 

 外でヤーコンや警察が偽警官を抑えてるうちに、強盗達を倒す。

 今はそれだけ考えないとな。

 

 

 

 

 

 

「なんだなんだ、お前等こんな所で遊ぶつもりか?

 コンテナで遊んで良いけどよ、所々凍ってるからツルツル滑っちゃうぜ!」

「……ぼくたちは遊びに来たわけじゃないんだけどな……」

「……強盗が居るから、って説明するのも面倒だし、時間ももったいない。

 ……適当に話合わせておこう」

 

 本物の作業員っぽい奴に声をかけられた。

 強盗がすぐそばに居るかもしれない状況なのに呑気な……。

 襲われてないのかこいつ?

 

 

 

「とにかく奥へ……ってうわあ!?」

「マリネット!?」

 

 足を踏み出した瞬間、猛スピードで体が前に進みだした。

 か、勝手に進んで……っ! 止まれねえ!

 氷で滑るってレベルじゃねえぞなんだこれ!?

 

「……これがさっきの作業員が言ってた『ツルツル滑る』って事なんだろうね」

「あっぶね……! 壁に顔から突っ込む所だったぞ……」

 

 咄嗟に手を前に出したおかげで壁に顔から突っ込む事だけは避けられた。

 しかし、強盗の連中マジでこんな所に逃げたのかよ……。

 

「……怪我をしないように気をつけて進むしかないね。

 マリネット、落ち着いて進んでいこう」

「厄介だな……っと、なんだこれ?

 わざマシン? 貰っていくか」

 

 中身は『ねっとう』らしい。

 

「『ねっとう』……熱湯か……。

 マリネット、この凍りついてる床を熱湯で攻撃したら溶かせたりしないかな」

「……この寒さだし、熱湯じゃ溶かした瞬間に凍りつかないか?」

「……そうだよね。にほんばれがあったら……」

 

 多分強い日差しで凍りついてる床は溶けるよな。

 代わりに冷凍コンテナの中の物が駄目になりそうな気はするけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

「……強盗居ないよな」

「居ないね……作業員を見かけ次第話しかけるか視界に入り、襲ってきたら倒す。

 それをここまで繰り返してきたけれど……」

 

 あたしとチェレンは作業員を手当たり次第に倒しながら冷凍コンテナを進んでいた。

 敵が作業員に化けている以上、直接調べなければ見分ける事なんて出来ない。

 異様な雰囲気の奴が居たら流石に分かるけど、遠目で見ただけじゃ分からない。

 だから手当たり次第に倒してきたわけだけど……。

 

「ここまでの作業員は全員普通の作業員だったね」

「あたし達が戦ってるうちに外に逃げ出したか……?」

 

 

 

 もしそうなら2人でここまで来たのは大失敗だったかもしれないな……。

 

「いや、まだ調べていない場所があるはずだよ。

 それに、荷物に混ざって脱出するにしても、作業員として逃げ出すにしても、外での戦闘の事はまだ知らないはずだ。

 外でヤーコンさんと警察が囲んだ時、誰も中に入っていかなかった。

 つまり、ここに居る強盗達は外で警察やヤーコンさんが戦っていることを知らない。

 逃げる機会をうかがって潜んでいる筈だよ」

「なるほどな……。じゃあ、あたし達が完全に不意打ちを決められるって事か」

「そうなるよ。とはいえ、相手は何人潜んでいるか分からない。万全の状態で挑もう」

 

 油断して負けた、なんて笑えないからな。

 さっきのわざマシンも使っておくか。

 

 

 

「……? なあ、チェレン。あのコンテナ……」

「……あのコンテナだけ開いているね」

 

 最深部のコンテナの中に1つだけ違和感のあるコンテナがあった。

 他のコンテナは閉まっているのにそのコンテナだけ開いている。

 

「……当たりだと思うかい?」

「恐らく」

 

 突入の合図の確認とかはいらない。

 あたし達は開いているコンテナの中に踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

「お前達、もっとワタシを包め。寒くてかなわんぞ……」

 

 目に入ったのは、親玉と思われる男が大量の作業員に囲まれている光景だった。

 見るからに怪しい作業員、そして作業員には見えない男。

 間違いなく当たりだ。となると……。

 

「……あいつが強盗の親玉か?」

「多分ね。……やれやれ、こんな所に隠れていたとは。

 寒いならメンドーだけど外まで案内するよ?」

「……ま、お前らの行き先は牢屋だけどな。

 覚悟しろよ、強盗共?」

 

 あたし達の存在に気付いたのか、リーダーと思われる男があたし達に目を向ける。

 

 

 

「……むむ、踏み込まれるのが予想より早い。

 あと少しで逃げられたものを……。お前達、こ奴らを蹴散らせ」

「分かりましたヴィオ様!

 というわけでオレ達が相手だ!」

 

 一斉に立ち塞がってヴィオと呼ばれた男の壁になる強盗達。

 

「マリネット! 半分ずつ片付けよう!」

「しくじるなよ、チェレン!」

 

 

 

 チェレンとあたしは二手に分かれて強盗を片付けることにした。

 

「オレはこの中ではなかなか強いぞ!」

「本当かどうか試してやるよ!」

 

 強盗の繰り出したポケモンはミルホッグとズルッグ。

 レベルもヒヒダルマ強盗と比べると格段に低い。

 ポークの敵じゃない。

 瞬く間に片付いた。

 

 

 

「……人と共に働くポケモン達、楽しそうに見えるがきっと苦しんでいるのだ!

 そうに違いない!」

「負け惜しみだけは立派だな」

 

 はっきり言って話にならない。

 ヤーコンが想定してた強盗ってこいつみたいなレベルなんだろうな。

 あのヒヒダルマは完全にイレギュラーだ。

 

「ば、馬鹿な……」

「な、なんなのコイツら……ヒヒダルマ級のポケモン居ないと話にならない……?」

「あんなの持てるの一部の奴だけだぞ!?」

「ガキ共の心をへし折った時は成功間違いなしだと思ったのに……」

 

 周りの強盗達の顔色がみるみる悪くなっていく。

 チェレンやベルがヒヒダルマ相手に感じたのと同じ。

 絶対に勝てない、そう分かるくらい圧倒的な力の差を見せつけられている状況だ。

 

 

 

「……ああ、見事だったよ。きみたちの作戦は。

 おかげでぼくは目が覚めた。

 戦術と圧倒的な力こそが正義、ポケモンとの絆とか何の役にも立たないってね。

 さあ、行くんだキングドラ」

「げ、こいつあの時私達をボコボコにして、その後ヒヒダルマで叩き潰されてた奴……」

「なんかヤバい雰囲気になってるしポケモンも馬鹿みたいに強くなってるんだけど……」

 

 余計な事をした! そう思ってるんだろうな。

 おかげでチェレンは異常に強くなった。

 

「あ……アタクシこの中でかなり強ーい作業員なのよ……っ!」

「声震えてんぞ?」

 

 そしてそんな弱いレパルダス1匹だけで何ができるんだって話だ。

 当然瞬殺。

 

 

 

「……奪い集めたポケモンをまとめて運ぶため夜中のコンテナ前に集まっていたところ……。

 そこをヤーコンのおっさんに見つかり捕らえられていたのよ……」

「……で、チェレン達が通るために橋を下ろしたタイミングで逃げ出したんだな?」

「そうよ……隙が出来たから、あいつらの仲間の格好をした仲間が逃がしてくれたのよ……。

 で、そこの男の子と女の子に見つかってまたやられて、計画通りにヒヒダルマの人に倒させて。

 今度は化け物みたいなおばさんに襲われて。

 死に物狂いでここまで逃げたのに……」

「……あたしの親か」

 

 あたしの親以外に化け物って言葉がふさわしい人間は居ないだろうな。

 

 

 

「……アタイ、この中でそれなりに強い作業員……!」

「……進化前1匹で?」

 

 最後まで抵抗する意思だけは認めるけどさあ……。

 進化系すら一撃なのに、進化前のポケモン1匹でどうするつもりなんだよ。

 当然ポークの攻撃で一撃。

 

「どう、思い知った!?

 ……そうよ、ただの負け惜しみよ…………」

「そんな状態なのに肉壁にはなるんだな」

 

 後ろの奴、そんなに大事なのかね?

 まあ強盗の事情なんかどうでもいいけどさ。

 

 

 

「……で、お前で最後だな」

「お、オレはこの中で結構……強いんだぞ……!」

 

 威勢だけは立派だった。

 もちろんポークにダメージすら与えられず一方的に負けていった。

 

「ま、こんなもんだよな」

「ち、畜生……」

 

 あまりにも呆気ない終わりだった。

 ヒヒダルマの強盗と同レベルを警戒してただけに肩すかしもいい所だ。

 

「だが、奪われたら奪い返す……!

 いいか、忘れるなよ……!」

「お前等が先に奪ってんじゃねえか。

 その言葉、そのままお前等に返すぞ?」

 

 

 

 で、チェレンの方はどうなった?

 

「呆気ないね、あまりにも。

 どうやらボスとヒヒダルマの強盗以外は小物しかいなかったようだ」

「なるほどな……ヤバい奴が1人居ればそれだけであたし達を叩き潰せるから、他は雑魚でも構わなかったって事か」

 

 ボスなんか完全に保険だろうし。

 

「ヴィ……ヴィオ様……」

 

 助けを乞うようにヴィオの方を振り返る強盗達。

 こいつらにはあの時のチェレンやベルと違ってまだボスが控えてるんだよな。

 希望は消えてない、ってやつか。

 

 

 

「仕方ない……。このままでは預かっているあの方のトモダチにまで危害が及びかねない。

 お前……このポケモンを大切に守っていろ。

 ワタシが相手をしてやろう。来るがいい、トレーナー共よ……」

「……小物じゃないな、お前?」

「この強盗達の幹部と言うわけか」

 

 こいつを倒せれば、ホドモエシティの強盗は壊滅させられるな。

 

 

 

「この極寒のコンテナはワタシにとって最も有利……。

 寒くて堪らぬが……バイバニラ! フリージオ!

 吹雪で何もかも凍てつかせろ!」

 

 ヴィオが出したのはアイスクリームかソフトクリームのような物2つが合体した見た目のポケモンと、文字通り氷の結晶のような見た目のポケモンだった。

 

「見るからに炎に弱そうな氷の塊か……ポーク!

 『かえんほうしゃ』で溶かしてしまうぞ!」

「強盗相手にルールは無用だよね。

 加勢するよマリネット。

 メタング! その力を試させてもらうよ!」

 

 

 

 変則のダブルバトルが始まった。

 ふたごちゃん相手にあたしがやってた戦い方を向こうがやっているのはなかなか新鮮な構図だ。

 

「フリージオ、まずは『あられ』。

 バイバニラよ『ふぶき』を見舞ってやれ」

「ポーク、アイスクリームみたいな奴から落とすぞ!

 全力の『かえんほうしゃ』をぶち込め!」

「メタング、まずはお手並み拝見だ。

 フリージオに『アイアンヘッド』!」

 

 

 

 先に動いたのはヴィオのポケモンだった。

 冷凍コンテナの中に突然あられが降り始める。

 氷の粒があたしやチェレン、強盗関係なく振り注ぐ。

 

「いって! もしかしてこれ、ポケモンにもダメージあるんじゃねえのか!?」

「その通りだ! あられはこおりタイプ以外の全てに牙を剥く!」

「さ、寒さで手が今にも凍りつきそうな上にあられがワタシの肩とか背中を直撃して痛い。

 ……が、我等の敵を討つためにはやむを得ぬ!」

「端に皆で集まれ! あられが痛い!

 しかもヴィオ様が戦うことになったから寒さが更にきつくなってる!」

「さ、寒いし痛いし眠いし滅茶苦茶よ!」

「寝るな! 寝たら二度と起きられなくなるぞ!」

 

 よりによってこの極寒の冷凍コンテナであられを降らせ始めるなんて……。

 ってか、ちょっと待て!

 もしかしなくてもふぶきって……。

 

「ポケモン諸共沈むがいい……!

 この絶対零度の白銀の中に……!」

 

 直後、バイバニラが放ってきた猛吹雪により、視界が完全に真っ白に染まった。

 ポークが身を挺して庇ってくれてるみたいだけど、寒いし痛いしあられも降るしで目が開けられねえ!

 

 

 

「ポーク! フルパワーで『かえんほうしゃ』使え!

 発生源のあいつを倒すんだ!」

 

 直後、ポークの雄叫びと共に炎が吐き出される。

 吹雪を蒸発させながら突き進んでいき、敵のポケモンを焼き払った。

 予想通り炎には弱いらしい。

 悲鳴と共に吹雪を放つのをストップした。

 ……けど。

 

 

 

「嘘だろ、視界が……!」

 

 吹雪が溶かされて出来た水蒸気が一瞬で氷結し、霧になってしまった。

 極寒の冷凍コンテナ、それも小さなコンテナの中だ。

 換気扇なんて付いてないし、この霧どうすれば……。

 

「……なるほど、一筋縄ではいかない相手みたいだね……」

「チェレン! 無事か!?」

 

 振り返ると、腕や足が吹雪によって真っ白になったチェレンの姿が。

 チェレンのポケモンは動けるみたいだけど……。

 

 

 

「問題ないよ……。それよりも次だ!」

「この極寒の中……寒さに震える……。

 これこそ生きているという事……。

 我等の悲願のために、戦えツンベアー……」

 

 バイバニラとフリージオ、どっちが倒れたんだ!?

 

「フリージオはぼくのメタングが倒したのを、吹雪に飲まれる寸前に確認した。

 つまり、生き残ってるのはバイバニラだね……」

「って事は、またあの吹雪が来るのか!?」

 

 ポケモンより先にあたし達がやられるぞ!

 

「させないよ。メタング『バレットパンチ』。

 バイバニラにトドメを刺すんだ」

「早っ……!」

 

 メタングが猛スピードで霧の中に突っ込んでいった。

 その勢いで霧が少し吹き飛ばされ、奥の様子が分かる。

 バイバニラがメタングに殴り飛ばされて壁に叩きつけられ、動きが止まった。

 これで吹雪は来ないな!

 

「ポーク、あの熊に『かえんほうしゃ』!」

「ぬう……!」

「ま、マジかよ……ヴィオ様が押されてる……!」

「ヒヒダルマの奴、こんな大変な時なのに何やってるのよー!」

 

 

 

 ヴィオの出した熊を出オチさせ、あたし達は3体目を倒した。

 もしここにヒヒダルマの強盗が居たら大変なことになってたかもしれない。

 こいつ単体ならあたし達2人で倒せそうだけど。

 

「好きにはさせぬ……。バイバニラよ『ふぶき』を使え。

 フリージオ、お前も『ふぶき』を使うのだ」

「げっ、2匹目!?」

 

 バイバニラとフリージオのおかわりかよ!?

 しかもダブルで『ふぶき』って……!

 

「不味い、吹雪に備えるんだマリネット!」

「思い知るがいい、我らの思想を理解せぬ愚か者よ。

 ……裁きを受けよ!」

 

 

 

 直後、2匹揃っての『ふぶき』が放たれ、あたし達の視界は真っ白に染まった。

 盾になっているポーク以外何も見えない。

 すぐ傍で戦っている筈のチェレンも。

 あられと吹雪で、手や足の感覚も無くなってきそうになる。

 もしポークが盾になっていなかったらあたしは全身雪と氷に埋もれて意識も飛ばしていただろう。

 

「ポーク、動けるなら『かえんほうしゃ』を……っ!」

 

 しかし、ポークは動かなかった。

 体力が尽きたんだろうと察しがついた。

 それにしては姿勢が変わらないのは不自然だけど。

 ……吹雪が収まり、目を開けると顔も腹も腕も何もかも氷漬けのポークが。

 ダウンすら出来なかったのか……。

 

 

 

「…………生きているかい、マリネット?」

「……あたしはなんとか」

 

 震える腕を強引に動かし、ブルンゲルのボールを取り出す。

 チェレンも氷漬けのメタングを戻し、別のポケモンを出すみたいだ。

 

「……まだ諦めぬか……。

 これ以上はあの方のトモダチにダメージを与えかねないというに……。

 ワタシも意識が飛びかねないというに……」

「あはは……あったかい……」

「はたたかくへ……きもちひ……」

 

 手下諸共、というか自分諸共。

 冷凍コンテナにあられを降らせ、更に吹雪で攻撃するヴィオの戦法により、ポケモンより先にトレーナーが全滅しそうな状況だった。

 

 

 

「ブルンゲル……頼むぞ……っ!」

「ガマゲロゲ……! まずはあられを止める……っ!」

「フリージオ、バイバニラ…………。

 もう一度…………『ふぶき』を……」

 

 熱湯を叩き込む。

 少しでも寒さを和らげないと……。

 チェレンは何をするつもりなんだ……?

 

「……『ねっとう』!」

「『あまごい』……!」

 

 コンテナ内に、あられの代わりに大雨が降り始めた。

 積もっていた雪が雨で溶け始め、シャーベットのようになりはじめる。

 そこに吹雪が吹き付けた。

 あられの時と異なり、雨が吹雪の威力をある程度軽減する。

 所々隙間が出来、吹き付けた雪も雨が洗い流していく。

 ……あんまり状況は良くないけど、あられに比べたらマシだな……。

 

「っ、熱湯の湯気が霧に……!」

 

 バイバニラを狙った熱湯はダメージを与えたが、倒すには至らない。

 それどころか湯気が冷やされて再び霧を作り始めた。

 

「……問題ない! ガマゲロゲ『だくりゅう』!」

 

 が、雨で強化されたチェレンのポケモンの攻撃が襲い掛かる。

 濁流がバイバニラとフリージオを襲う……って、おい!

 あいつにも当たるんじゃ……。

 

「ここまで散々、この極寒のコンテナの中で吹雪をぶつけてくれたんだ……。

 水くらいで文句を言わせるつもりはないよ……」

「否定できないよな……。

 あたし、手足の感覚が無いんだけど……」

「ぼくもだよ。

 強盗と戦う事が命の危険すら伴う事だって改めて思い知った」

 

 

 

 正直、こんなことになるとは思ってなかったし……。

 

「……むう、この状況で『ふぶき』を使うとワタシも手下も全て氷漬けになってしまうか……。

 あの方のトモダチを傷つけるわけにはいかん……。やむを得んな……」

「ヴィ……ヴィオ……様……」

「……今は大人しく捕まってやろう。使命を果たせず死ぬわけにはいかん……」

 

 ずぶ濡れになったヴィオは戦闘を諦めて降伏する事を選んだらしい。

 ……正直助かった。

 全身吹雪と雨で滅茶苦茶になってるし、多分気力だけで立ってるような気がする。

 

 

 

 

 

 

「待たせたな……って、何だこの状況は!?

 地獄絵図じゃねえか……」

 

 ヤーコンがやって来たらしい。

 振り向こうと思ったけど、足が動かない。

 

「……って、マジかよ。

 足元凍ってやがる……」

「マリネットもかい?

 ……ぼくも気づいたら足が氷に埋まってたよ」

 

 冷凍コンテナの中で吹雪食らいまくったし、雨降らせたり濁流使ったりだもんな……。

 仕方ないのか……。

 

「おいおい、強盗共もお前らもとんでもないことになってるじゃねえか……。

 お前らコンテナの中でどんな戦いしたんだよ……。

 おい! とりあえず全員運び出すぞ!

 強盗共はきっちり縄で縛っとけ!」




狭い+極寒の場所で霰、吹雪、雨乞い、濁流とか使えばそりゃそうなるよねって話。
外でやったら半ダイレクトアタック物の大惨事にはならない。
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