選択権無しのマリネット   作:ルスト

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52話 ホドモエジム

 チェレンは後から挑むらしいし、あたしだけ先に挑むことにした。

 最初の部屋はどことなく豪華な印象がする。

 まあどうでもいいけど。

 

 

 

「ようこそいらっしゃいませ! ホドモエポケモンジムへ!

 こちらのジムはリフトで移動してくださいませ!」

「……リフト?」

 

 嫌な予感がしてきた。

 カミツレのジムはジェットコースターだったけど、今度はリフトか……。

 

 

 

「街に来て早々アレコレあって大変だったっすね」

「全くだよ……解決もしてないし襲われるし、挙句最後はあの警察共……」

「ブラックシティの連中っすね……。

 街中で暴れられなくてよかったっすけど……。

 まあとりあえずはこれを差し上げるっす!

 いつもの水っすよ」

「いつものだな」

 

 でも、なんか回復量が足りてない気がしてるんだよな。

 ミックスオレに変えるべきか?

 

「ジムリーダーヤーコンさんはじめんタイプポケモンの使い手!

 まあここだけの話じめんタイプのポケモンはみずタイプが苦手なんすよね」

「ふーん、みずタイプねえ……」

 

 話だけを聞くと、ブルンゲルを使えば楽勝だな。

 

「……じめんタイプのポケモンはみずタイプが苦手なのに、なんでヤーコンさんは水のそばで暮らしているんですかね」

「いや、知らねえよ……。それより、リフトってあれか?」

 

 奥に矢印の書かれたボードの付いた足場がある。

 

「そうっす。色のついてる矢印を調べてください。スイッチっす」

「なるほど」

 

 スイッチを押したらリフトが動き出した。

 そして下に降りた……んだけどさ。

 

 

 

「危なすぎるだろこれ! 壁に柵も何もないじゃねえか!」

 

 ここもここで大概なジムだった……。

 こんな所で押されたらあの世行きじゃねえか?

 

「よぉーしチャレンジャー!

 おっさんにかかってこぉーい!」

「……まあ避けられねえよな」

 

 

 

 当然ジムだから敵が居る。

 とは言っても苦戦する要素はない。

 ブルンゲルはヴィオ相手に通用したんだ。

 

「……この段階でこの実力、話には聞いていたが飛びぬけてるな!

 それはそうと……コンテナに乗ってどんどん降りて行け!

 進める限り進むのがトレーナーの心意気よ!」

「そういうもんかねえ?」

 

 あたしは必要なら止まったって良いと思うんだけど。

 というか実際に止まったし。

 

 

 

「それはそうと……このジムもあたしの敵じゃないって感じか?

 一体どのくらいまで通用するんだろうな」

 

 アヤさんに鍛えてもらった成果が想像以上に大きいらしい。

 チェレンやヴィオはともかく、このジムで負ける気はしていなかった。

 敵を片っ端から倒して先に進んでいき、リフトを動かして進んでいく。

 

 

 

「……しかし、このジムどこまで深いんだよ……。

 底が見えねえぞ」

 

 見た目重視のインパクトは凄いんだろうけど、それにしたって掘りすぎだろ。

 ジムのギミックよりもポケモンの強さの方が大事じゃねえのか?

 ……あたしの場合は明らかにやりすぎな強さだから例外かもしれないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……見た目のギミックにマジで拘ってんのな、このジム」

 

 最下層に行くリフトに乗ると、見えなかった地下の様子がはっきりと見えた。

 床と思ってたものがいきなり開き始め、その下に更にリフトが下りていく。

 一体どこまで掘ってんだよこのジム……。

 

 

 

 

 

 

「やれやれ……やっと到着か。来たぜ!」

「まずはお前か。今更見るまでもないとは思うが……そのお手並み拝見させていただくか」

 

 最下層で待ち受けていたヤーコン。

 あたしはブルンゲルでこのまま突っ切るつもりだ。

 

「ワルビル、まずは『いばる』だ!」

「ブルンゲル『ねっとう』!」

 

 ブルンゲルの余力は十分。

 熱湯で倒してしまおう。

 

「……なるほどな、ジムバッジ4個や5個どころじゃない戦力が無いと強盗共には勝てなかったって事か。

 ドリュウズ! 『じならし』で足を奪え!」

「『ねっとう』!」

 

 一撃。

 やっぱりジムは相手にならない。

 ……多分、本来のバッジ数の実力に合わせてるんだろうけど……あたしにはお遊びだ。

 

「諦めるのは簡単、いつだって出来る事よ! ガマガル!」

「最後だ! 『ねっとう』!」

 

 弱い。

 テスト用のポケモンだから、というのは分かってるけど、弱すぎる。

 こんなのじゃヴィオはともかく、ヒヒダルマの強盗にすら勝てない。

 

 

 

「まいったね……こんなのをカミツレは相手にしたって事か。

 そして……こんな実力が無ければ強盗の相手はさせられなかったって事か……」

「こんな実力が無ければ通用しなかった、って事だよ。

 ま、あたしは明らかにイレギュラーかもしれないけどさ」

 

 旅から逃げてアヤさんに鍛えられたわけだし。

 

「ポケモンの強さだけなら、金さえ払えばどうにでもなる。

 チェレンってガキがその典型だ」

「まあ、通販でポケモン買ってるわけだしな……」

 

 自分がここまで使ってたポケモン全部外してしまうとは思わなかったけど。

 

「だが、それだけじゃないな、お前。金に物を言わせて買うことは出来たはずだ。

 にもかかわらず、お前は自分で捕まえて鍛えたポケモンを使ってる。

 通販で買うのが当たり前の時代に、そこまで鍛え上げた自分のポケモン……。

 お前に才能を見出す人間がいるのも分かるってもんだ。

 フンッ、こいつを持っていけ!」

 

 ジムバッジを渡してきた。

 これで、5つめか……。

 

 

 

「残り3つ……」

「バッジが5つか。だとすれば、かなりレベルの高いポケモンでもお前に従う。

 ……通販に頼らないなら、恐らく縁のない話だがな」

「まあ、今の所戦闘用のポケモンを買う予定無いしな……」

 

 困ってないってのが正直なところだ。

 先で何かしら捕まえるかもしれないけど、それはそれだし。

 

「ついでだ、こっちのわざマシンをくれてやる。

 ……っと思ったが、ちょいと野暮用があってな。

 お前、6番道路の先にある洞穴の前で待っていろ!」

「また面倒事じゃないよな?」

 

 強盗相手だけで十分だぞ?

 

「安心しろ、お前に戦えとかそういう物じゃない。

 まあ、洞穴の前まで行けばわかる。ワシも追いかけるからな」

 

 ……今度は何があったんだよ。

 ま、とりあえず進むか。

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