選択権無しのマリネット   作:ルスト

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7話 鍛えようにも、修行場所どこだよ!?

 ジムリーダーに「夢の跡地で鍛えた方が良い」と言われたので、癪だがあたしは夢の跡地にやって来た。

 邪魔なトレーナー2人をポークとヨーテリーで片付けて奥まで来たが、何が「夢の跡地で鍛えた方が良い」だよ。

 邪魔な木でふさがれた通路とカラーコーンで塞がれた通路、そして行き止まり。

 あたしの行ける範囲には、草むらなんてどこにも無いじゃねえか!

 

「くそっ……あの緑髪の奴、こんな所でどう修行すればいいんだよ!

 ……このカラーコーンどかした先に行けばいいのかね?」

 

 少なくとも木を抜くとか切り倒すとか言う無茶をするよりは、カラーコーンをどける方が手っ取り早く奥への道を作れるだろ。

 そう思ったあたしは、カラーコーンをどかそうとした。

 あからさまに通路を塞いでる邪魔なカラーコーンだけど、あたしにかかればこんなも……ん……?

 

「あ、あれ?

 なんだこれ? 全然動かねえぞ……?」

 

 よくあるカラーコーンだと思い、適当に持ち上げて運ぼうとしたんだが、びくともしない。

 それどころか……。

 

「う、嘘だろおい……全く動かねえぞ……?

 地面にくっついて……は、ないようだけど……」

 

 持ち上げられないならと、押してどけようとした。

 ……しかし、びくともしない。

 まるで中に岩の塊でも入ってるんじゃねえかってくらい重い。

 いや、もしかしたら鉄の塊かもしれない。

 なんにしろ、異常に重い! どうなってんだよこれ!

 

「だ、だったら足で押してみたらどうだ!」

 

 確か、腕より足の方が力は出るはずだ!

 それにあたしは、あの親に履かされた超重い鉄入り靴の影響で足はかなり鍛えられてる筈!

 ……よし!

 

「足をカラーコーンにかけて……おりゃあっ!」

 

 右足に全体重をかけてカラーコーンを蹴りだそうとしてみる。

 しかし、全く動く気配が無い。

 このカラーコーンの中身、余程重いらしい。

 これでも駄目か……。

 

「……いっそ、蹴り飛ばすか? いや、でもこれ……。

 下手に蹴り飛ばして怪我するのは避けたいな……」

 

 中身が鉄の可能性すらあるんだ。

 いや、岩の塊でも十分ヤバいけど。

 どっちにしろ、このカラーコーンをどうにかしようとした結果、足を痛めて旅が続けられなくなるなんて終わりはダサすぎる。

 それにあたしは自由を得るために強くならなきゃいけないんだ。

 

「……とは言っても、中身気になるよなあ……。

 あたしが蹴りだしても全くびくともしないこのカラーコーン、何が詰まってるんだ?」

 

 手でノックするように軽く叩いてみる。

 返ってきた感覚は明らかに中身が空洞のものじゃない。

 中にぎっしりと物が詰まっているのは明らかだ。

 それも、滅茶苦茶重い奴が。

 

「……そこまでして通行止めにしたいって、このカラーコーンの先に何があるんだよ……。

 さっきのボケジジイみたいに嫌がらせ目的でここを封鎖してるにしても、こんな物置いてまで通れなくする必要あるか?」

 

 こんなの運ぶことすら大変だろ。

 誰が動かせるんだよこれ。

 

「……しかもこれ、妙にデカいんだよなあ……。

 あたしの胸くらいの高さがあるから、その分中身も相当重いんだろうな」

 

 そう、このカラーコーンかなりデカいのだ。

 普通に考えたら、1メートル超えのバカでかいカラーコーンなんか何に使うんだよって感じだ。

 そんなバカでかいカラーコーンが、明らかにここの道を塞ぐためだけに置いてある。

 しかも、生半可な力では動かす事すらできない。

 

「向こうが少しだけ見えるけど……別にそっちに草むらがあるわけじゃないし……。

 一体どこに修行場があるんだよ!?」

 

 無駄足踏まされたんじゃねえのか?

 仕方ねえ……戻るか。

 適当な事言いやがってあのジムリーダー!

 ぶっ潰してやる!

 

 

 

 

 

 

「ねえねえあなた! 最初にもらったポケモンはポカブよね?」

 

 帰り道、女が声をかけてきた。

 ……全く同じ事をついさっき聞かれたんだよな……。

 しかも嘘ついても調べられるとか言ってやがったしあいつ。

 この女、さっきのジムリーダーの手下じゃねえよな?

 

「…………さっきの入り口での戦い見てたのかよ?

 なら聞く必要ねえだろ」

「うーん、捻くれた子なのね、まあいいわ。

 じゃあ直球で。とりあえず、このヤナップをあげるわね」

「あ? ポケモンくれるのか?」

 

 チラシ配りのチラシみたいな感覚でポンとポケモン渡されても反応に困るんだが。

 けど駒が増えるのは助かるな。

 

「ええ、あなたのポカブが苦手なみずタイプのポケモンに有利なタイプのポケモンだもん!

 きっと役に立つわよ!」

「……まあ、くれるって言うなら貰ってやるよ」

 

 駒が足りない以上、拒否する理由はあたしには無い。

 

「はい、どうぞ! くさタイプの技を使えるから、みずタイプに相性いいわよ」

 

 ……どう考えてもさっきのジムリーダーとグルだよな?

 修行のためじゃなくて、この女からポケモン貰ってこいって話なんじゃねえのか?

 

「そして私からのアドバイス!

 いろんなタイプのポケモンがいれば、どんなポケモンがでてきてもきっとなんとかなるわよ!」

「……なるほどな。それはそうと、1つ聞きたいことがあるんだけど良いか?」

「あら? 何かしら?」

 

 滅茶苦茶気になるんだよな、あの超重いカラーコーン。

 何か知ってないか?

 塞いだ奴が居るなら、そいつをぶっ潰してやりたいってのもあるけど。

 ついでに邪魔な木の方も。あんな所にわざわざ植えた奴居るならぶっ飛ばす。

 

「あの木とカラーコーン、なんなんだ?

 夢の跡地で鍛えた方が良いですよ、とかほざきやがったから来てみたけど、どこにも草むらなんかありゃしねえ」

「ああ……さっきカラーコーンに悪戦苦闘してたものねあなた」

「そこから見てたのかよ……」

 

 というか、見てたならどける方法教えてくれよ!

 なんか方法あるんだろ!?

 

「まず、あの木の方からね。

 アレは、切っても切っても直ぐに生えてきて道を塞ぐ上に、地面の奥深くにまで根を張ってるから掘り返して処理することもできない、かと言ってポケモンの力で毒や炎を浴びせても全く枯れないしびくともしない『瞬間再生樹木』ね。

 まあ、正式名称は呼び方として硬すぎるからか、みんなは『細い木』『いあいぎりの木』って呼んでるわ」

「なんだよその化け物みたいな木! アレってそんなにやべえのか!?」

 

 毒や炎を浴びせても全く枯れないしびくともしない、ってマジかよ!?

 

「『瞬間再生樹木』なんて正式名称が示す通り、とんでもない生命力を持ってる木なの。

 多分この大地が滅んでも生き残るんじゃないかしら」

「そんなヤバいのがなんであんな所に生えてんだよ……」

 

 しかもあからさまに道を塞ぐ場所にピンポイントに。

 

「まあ、あの木自体は『いあいぎり』にだけ極端に弱いって弱点があるのよ。

 いあいぎりが使えれば、たとえタマゴから生まれたばかりのポケモンでも切り倒して進めるようにできるわ。

 それにあの木も、切り倒されてから少しの間は流石に再生出来ないから、みんなそうやって通り抜けるのよ」

「な、なるほど……。で、その『いあいぎり』はどうやったら手に入るんだ?」

「『ひでんマシン』がここにあれば良かったのだけど、残念ながら私は持ってないわね。

 旅を続けてたら誰かがくれるんじゃないかしら?」

 

 はあ……結局入れないのかよ。

 じゃあ、カラーコーンの方は?

 アレはどうやったらどけられるんだ?

 

「アレね……私達もいつ置かれたのか分からないのよ。

 実はあのカラーコーンの先に草むらがあるから、本当ならそこで修行も出来たのだけど……」

「はあ!? あの先に草むらあるのかよ!?

 誰だよ塞いだ奴!」

「それが分かってたら急いで犯人を捕まえてカラーコーンをどけさせるわよ……。

 私達がどけようとしても、全く刃が立たなかったの、あのカラーコーン。

 サイコキネシスで物を動かす事が得意なサイキッカーの団体に頼もうとしてるみたいだけど、いつになるのやら」

 

 ホント誰だよ! あんな所にあんな物置いた奴!

 もし見つけたらあたしがぶっ潰してやる!

 

「……そういうことだから、申し訳ないけれど……」

「……分かったよ。ジムリーダーはもらったこいつ使ってどうにかする。

 どのみち、ジムリーダー倒さないとあのボケジジイに阻まれるし……」

 

 結局夢の跡地でまともにポケモンを鍛える事は出来なかった。

 ポークとヨーテリー、さっきもらった……ヤナップ? でどうにかするしかない。

 覚悟を決めるしかねえ。

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