選択権無しのマリネット   作:ルスト

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8話 ジムリーダー、ぶっ潰す!

 

「どうも! 自分はポケモンジムに挑戦するトレーナーをガイドするガイドーといいます。

 ジムに挑戦ありがとうございます、記念にこれをさしあげますよ」

「さしあげますよって……は? 水?」

 

 急に水を渡されてもな。まあくれるなら貰うけど。

 あたしが飲むための水……なのか?

 

「あっ、おいしいみずは初めて見るっすか?

 ポケモンに飲ませると一気に回復出来るんすよ」

「えっ、これも回復アイテムなのか!?

 普通の飲み水だろ!?」

 

 マジかよ、水侮れねえな。

 というか、じゃああたしが飲むわけにはいかなくね?

 

「この辺には売ってないっすけど、金さえあれば自販機で買えるっすよ。

 1本200円っす。キズぐすりと同じ値段ながら、キズぐすりより優れた効果があるんすよ。

 いいキズぐすりと同じ回復力っす。これ豆知識っすね」

「へえ〜…………」

 

 侮れねえな、この水。

 買えるようになったら世話になりそうだ。

 ゆっくり回復できる時に金を節約しながら回復出来そうだし。

 

「慣れたトレーナーは割高なキズぐすり系はあまり買わず、この水や、自販機で売ってる他の飲み物で凌いでいくみたいっすよ。

 わざマシン、値段滅茶苦茶高いっすからね〜。

 少しでも節約しながら旅するみたいっす」

「ホントに金カツカツなんだな……」

 

 無駄遣いは避けないと、いつか苦労することになりそうだな。

 

「それはそうと、アドバイスっす。

 ポケモン勝負の基本は、タイプの相性なんですよね。

 相手のポケモンに対して有利なタイプのポケモン、有利なタイプの技を選べば勝利は目前っすよね。

 ということで……このジムは、カーテンにかかれたポケモンのタイプに対して、相性のいいポケモンのタイプのスイッチを踏めば先に進めるっす!」

「なるほど……。よし! 行くか」

「頑張るっすよ!」

 

 目の前のカーテンを眺める。

 炎が書いてある、と言うことは……。

 

「正解は……水か?」

 

 水が描かれた青いスイッチに乗った。

 するとカーテンが開いていく。

 なるほど、こうやって進むのか。

 

 

 

 

 

 

 

 先に進むと通路を見張っている敵が居る。

 横を見ては来ないが、どう考えても「素通りはさせない」ために立っていやがる。

 

「避けられねえよな……アンタのこと」

「はい、ポケモンジムはトレーナーを鍛え上げる試験の場所ですから。

 たとえこの通路の端を通っても無駄ですよ。

 ……と言うことで。

 ようこそいらっしゃいました、サンヨウジムへ!

 ここでは、勝負の基本を味わっていただきます」

 

 繰り出してきたヨーテリー相手にポークで対処する。

 なんとか倒せたが、ポークはこの戦いだけでボロボロになってしまった。

 ……分かっていたけど、あたしも手持ちも弱すぎる。

 

 

 

 

 

 

「もっと強くならねえと……先に進むか。

 次は水のカーテン、と言うことは……」

 

 草、なのか?

 試しに踏んでみたら、正解だったらしく先に進めるようになった。

 そして、やっぱり避けられない敵が居る。

 

「サンヨウジム自慢のトレーナーフルコース!

 2人目はわたくしでございます。

 ミネズミ、歓迎を!『にらみつける!』」

「ヨーテリー、任せる! 『たいあたり』を繰り返せ!」

 

 先手を取ったヨーテリーがミネズミを倒す。

 

「では、チョロネコ!『すなかけ』を!」

「ヨーテリー! そのまま押し切るぞ!」

 

 砂をかけられたヨーテリーのたいあたりが一回外れたが、結局チョロネコから攻撃は飛んでこなかったのでヨーテリーが無傷で勝った。

 

「お見事です。

 サンヨウジム自慢のトレーナーフルコース!

 最後はジムリーダーですよ。頑張ってくださいね」

 

 次がラストか!

 カーテンは……草だな! それなら、正解は火だ!

 

 

 

 

 

 

「おい! 来たぜ! あたしと戦いな!」

「ようこそ、こちらサンヨウシティポケモンジムです」

 

 あの時の緑髪の野郎!

 夢の跡地で鍛えた方が良いとかデタラメ言いやがって!

 デタラメ言いやがったお礼だ! ぶっ飛ばしてやる!

 ……って、おい、後ろから誰か出てきたぞ?

 誰だお前!?

 

「オレはほのおタイプのポケモンで暴れるポッド!」

 

 誰だよ!? あたしはそこの緑髪の奴をぶっ飛ばしたいんだけど!?

 困惑してたら、さらに別の奴が緑の奴の後ろから出てきた。

 

「みずタイプを使いこなすコーンです。

 以後、お見知りおきを」

 

 は!? ジムリーダー1人じゃねえのかよ!?

 どうなってんだよここ!

 

「そしてぼくはですね、くさタイプのポケモンが好きなデントと申します」

 

 それぞれがそう話すと、急にその場で回転し始めた。

 なんなんだよこいつら……。

 

「あのですね……ぼくたちは、ですね。

 どうして3人いるかといいますと……」

 

 このデントとかいう奴、妙にのんびりしてないか?

 回るのも明らかに遅かったし。

 

「もう! オレが説明するッ!

 オレたち3人はッ! 相手が最初に選んだポケモンのタイプにあわせてだれが戦うか決めるんだッ!」

「はあっ!? マジで情報抜いて有利な戦い仕掛けてくるってやつかよ!」

 

 しかもジム前で直接吐かせたり、最悪アララギの野郎に聞いたりするんだろ!?

 調べられるって言ってたし!

 いや、セコすぎるだろ!

 

「そうなんだよね。そしてあなたが最初に選んだパートナーはほのおタイプなんだよね。

 そう! みずタイプを愛するこのコーンがお相手します。

 では、準備が出来たら、どうぞ」

「なら……勝負だ!」

 

 今戦っても後で戦っても同じだ!

 回復は済ませてきた!

 

「よかったね! 3人のトップと戦うことができて」

「あんたと戦えって言うならあんたでもいい!

 夢の跡地で時間無駄にした件の恨みは完全な八つ当たりになるけど、ぶっ潰す!

 恨むならヘンテコなルール作った自分達を恨みな!」

 

 ジムリーダー戦だろうと、あたしは普段通りやるだけだ!

 全力で、ぶっ潰す!

 

「……確かデントだったよな、入り口であいつと話したの。

 夢の跡地で時間無駄にしたって、お前何言ったんだ?」

「……夢の跡地で鍛えた方が良いですよって言っただけだけど?」

「あの子多分いあいぎり使えないだろ、しかもあのどかせないカラーコーンあるから夢の跡地に行っても野生ポケモンと会えないぞ。

 ちょっとトレーナー倒せたくらいだろ。

 この前あのカラーコーンを撤去するために要請かけたの忘れたのか?」

「あっ」

 

 

 

 

 

 

「では、ヨーテリー! お願いしますよ」

「ポーク! 行ってこい!」

 

 ヨーテリーか!

 チョロネコと比べて厄介な敵だ!

 押し負ける前に倒したいな。

 

「ポーク!『ひのこ』!」

「ヨーテリー!『ふるいたてる』!」

「ウーッ……!!」

 

 くっそ、敵の方が速い!

 ふるいたてる……? 何だあの技……?

 

「なるほど! いい攻撃かもしれませんね。

 ヨーテリー!『かみつく』!」

「ポーク!『ひのこ』で押していけ!」

 

 だが、状況は悪くない筈。

 そう思っていたが、ひっくり返される。

 

「なかなかやりますね、ですが……ヨーテリー下がって!

 キズぐすりを使います!」

「……っ! 不味いな……!」

 

 敵に先手を取られ続けるってのが、こんなにキツいとは……!

 しかも……。

 

「もう一度『ふるいたてる』!」

「ポーク!『ひのこ』で倒しきれ!」

 

 ポークの火力が後一歩足りない。

 その隙に更にあの技を使われた。

 

「……からの『かみつく』でトドメです!」

「ブゥ……」

「ちっ、ポーク戻れ」

 

 追い詰めるところまでは行ったが、力が足りなかったか……。

 けど、これなら!

 

「ヨーテリー! 頼んだ!『たいあたり』!」

「速い……流石にヨーテリーはここまでですね」

 

 ポークの与えたダメージを活かし、なんとかヨーテリーを倒しきった。

 次は……?

 

「最後のポケモンにコーンのすべてを懸けましょう!

 頼みますよ、ヒヤップ!」

「こう言う事かよ……!」

 

 出てきたのはもらった『ヤナップ』にそっくりの水色の猿。

 見るからにみずタイプの攻撃をしますって雰囲気を出している。

 ……仮にポークがどうにか勝てたとしても、即座に取り返されてしまってたのか!

 

「けど、ヨーテリーなら!『たいあたり』!」

「ヒヤップ!『ふるいたてる』!」

 

 またあの技……!

 ヨーテリーの攻撃は……!

 

「ワンワンッッ!」

「キィ!?」

 

 猿の怯み方が大きい!

 最高のタイミングで良い当たりだ!

 

「不味い、急所に……!

 ヒヤップ!『みずでっぽう』!」

「ヨーテリー!『たいあたり』でトドメだ!」

 

 みずでっぽうに耐えきったヨーテリーがたいあたりでヒヤップを吹き飛ばし、倒しきった。

 最後のポケモンを倒した! つまり、あたしの勝ちだ!

 

「まいったな……このコーンが敗れるとは」

 

 しかし、やっぱり強さが足りないのを実感した。

 あたしはまだまだだ。

 ポークも、ヨーテリーも、もっと強くしていかないと。

 

「すごいですね!

 ポケモンリーグの決まりです、このバッジをどうぞ。

 サンヨウジム突破の証、トライバッジです!」

「コレが……リーグバッジ……」

 

 代表なのか、デントがジムバッジを渡してきた。

 ジムバッジはジムリーダーを倒した証。

 つまり、あたしの強さの証明書、って事か。

 

「ジムバッジはトレーナーの強さの証です。

 バッジを持っていれば、人と交換したポケモンでもある程度のレベルまでなら命令をきいてくれます。

 バッジを集めれば集めるほど、この効果は強くなりますよ」

「……逆に言うと、バッジが無いと強いポケモンを貸してもらったとしても……使い物にならねえのか?」

 

 そうだとすると、ブラックシティのポケモン通販に連絡してお金を払って強いポケモンを買っても使い物にならないって事にならねえか?

 あたし、金が溜まったらあの通販で強いポケモン仕入れて強くなるつもりだったんだが。

 

「ああ! バッジが足りてないと命令を全く聞かねえぞ!

 つまり、最近イッシュで流行ってるポケモン通販の主力商品になってる高いレベルのポケモン。

 あれらは、初心者が取り寄せても全く使いこなせないって事だ。

 当然使いこなせるなら戦力になるが、その頃には自前のポケモンも相応の強さになってるだろうな!」

「あの通販会社に頼めば、珍しいポケモンでも高いお金を払えば簡単に入手出来る……。

 お勧めはしませんよ、美味い話には罠もあります。

 それよりも、大切なパートナーをとことん鍛え上げる方が良いですね」

 

 なるほどな……。

 とは言っても、戦力を即席で買えるメリットは大きそうなんだけど……。

 

「サンヨウジムを突破したきみへのプレゼントです。

 このわざマシンももらってください。

 さっきコーンが使っていた『ふるいたてる』を覚えさせる事が出来ます」

「さっきの技か」

 

 一体どんな効果なんだ?

 

「ふるいたてるを使えば攻撃と特攻があがります!

 ちなみに、わざマシンは何度でも使えるんですよ」

 

 わざマシンを受け取り、あたしはサンヨウジムを後にする。

 さっきのポッドやコーンの話が気になっていた。

 お金が貯まり次第、ブラックシティの通販から強いポケモンを買い入れるつもりで居た。

 その計画が破綻するかもしれない。

 

「あたし自身も、ポークとヨーテリーも鍛えるつもりだけど、それと別に通販から強いポケモンは仕入れたいんだよな……」 

 

 強い敵に勝てなくなった時、切り抜けるための切り札・救済策になりえるポケモンが欲しい。

 そのつもりだった。命令聞くかも怪しいとなると、避けた方が良いんだろうか……。

 

「あたしは強くならないといけない。

 けど、強さを求める上では近道は許されないのかね?」

 

 色々考える事の多い終わりになった。

 ……あ、結局もらったヤナップ使うことすらなかったわ。




おいしいみずは6世代(XYやORAS)までは200円HP50回復のため、いいキズぐすり涙目の上位品でした。
この作品内では当然BW当時の仕様のままです。
7世代からナーフされてしまいましたが。

ナーフの理由を適当にでっち上げたら、シロガネ山の水質汚染とかいいキズぐすり作ってる会社の圧力に負けて粗悪品を売るように強いられたとかろくでもない理由が浮かんでくる。
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