「ふーっ、やっと終わった。」
「けっこうきつかった。」
「みちがえるほどきれいになった。」
「そうだな!みんなのおかげだ。ありがとう。」
「あとはおゆとしゅうふくざいをいれるだけ。」
「おゆいれるようのぽんぷなおったよー。」
「よし、入れるか!」
蛇口をひねり、お湯を入れる。修復材も忘れずに入れる。
「高速修復材も入れるか。大量に余っているらしいからな。」
「わかりました。もってきます。」
「…「俺が見つけた!」みたいな顔してないでお前も手伝え。」
「こんぺいとうついかしてもいいんですよ?」
「わかったから運べ。」
「へーい。」
バケツ三杯分でいいかな?この大きさだし。
「いれおわったー。」
「よし、みんなを呼ぶか!」
食堂
「おーい、掃除終わったから入渠できるぞー。って、何人か増えてる?」
「はい。二人ほど。」
「軽巡洋艦 名取です。そして、こっちが。」
「重巡洋艦 羽黒です。以前まで秘書艦を務めていました。よろしくお願いします。今、提督さんについて話していました。」
「そうか。俺は八代樹希、よろしくな。で、入渠ドッグの掃除が終わったから、みんな入っていいぞ。」
「え?じゃあ、入渠したら出撃っぽい?」
「いや、出撃はしない。全員1か月は休みだ。」
「出撃はなしって、この鎮守府全員だよね?」
「ああ、全員だ。」
「本当に?私が出撃しなくても、時雨も村雨も春雨も、誰も出撃させないよね!?本当だよね!?」
「ちょっと、夕立ちゃん!しれぇが困っています。ちょっと落ち着いてください!」
「はは、大丈夫だ。夕立、誰も出撃させないさ。本当だ。安心してほしい。」
「本当に!じゃあちょっと来てほしいっぽい!」
夕立が走っていく。
「提督、行きましょう。時雨さんや村雨さんたちが怪我をしててベッドで寝ています。」
「わかった。名取と潮は大淀を入渠ドックへ連れて行って、羽黒と荒潮は一緒に来て手伝ってくれ。」
「はい。」
「わかりました。大淀さん、行きましょうか。」
「ありがとうございます。」
「妖精さん、高速修復材と清潔なタオルを。」
「もうもちにいってる。」
「さすがだ。」
走って夕立と雪風の後をついていく。
「ここが艦娘寮です。私たちは普段ここで暮らしています!」
「この部屋にいるっぽい!」
ドアを開けるとひどい臭いがした。そして、三人の横たわっている少女がいた。ぱっと見でもわかるほどの大きなけがをしている。もしかしてこの臭い、腐敗しかけてる!?
「この傷、もしかして治らずに時間が?」
「ど・・・、どなた、で、しょうか…。」
「新しい提督さんっぽい。」
「えっ、あっ、早くっ、たた、ない、と…」
「いい、立たなくていい。俺はこれまでとは違う。おとなしくしてて。」
「もってきた!」
「夕立と雪風はタオルを高速修復材につけて、傷のところをやさしくなでてあげて。妖精さん、高速修復材を直接注射できる?」
「まかせろ!そいつらももってきた!」
「じゃあ、羽黒と潮は妖精さんを手伝って。」
「「はい!」」
タオルで傷口の周りを丁寧に拭う。すると傷はきれいになっていくが、深いところは全然変わらない。
「じゅんびできたぞ。」
「お願い。」
妖精さんが注射をするが、やはり変わらない。
「ぜんぜんだめだ。どうすれば・・・」
仕方ない、やるしかないか。でも、これはかなりの痛みが伴う。でも、この子達を救うには。
「治りますか・・・?」
・・・俺は逃げないと誓ったんだ。だから、覚悟を決める。
「春雨、いまからものすごく体が痛むと思う。でも、これをやれば君の体は絶対によくなる。どうする、やるか?」
「治るんですか?この傷が。」
「ああ、保証しよう。必ず治る。」
「傷が治るのなら・・・、お願いします。」
「わかった。やるぞ。」
そういって、ポケットにいつも入れているメモ用紙で指先を切り、にじんできた血を垂らす。
「うっ、あっ、がっ、い、いたい、いたい!う!があ!」
「春雨ちゃん、頑張って!」
「耐えろ、頑張れ!」
「・・・なんの声だい?春雨に何を…。」
「今、提督が春雨さんの傷を治しているんですけど…」
「てい…とく!?」
「し、時雨さん!動かないで!」
少しして春雨は静かになった。相当痛かったのか、肩で息をしている。
「よく頑張ったな。」
「私の、足、治ってる。」
「痛くないか?」
「…はい、大丈夫です。まだ違和感がありますけど。」
「春雨に・・・何をした!?」
「春雨の傷を治した、かなり痛みが伴う方法になってしまったが。」
「春雨は、大丈夫かい?」
「はい。時雨姉さんもやっていただいた方が…。」
「俺は前の提督じゃない。だから安心してほしい。」
「そうか…、初対面だし…、いきなりに、なってしまうけど…、お願いしてもいいかな。」
「もちろんだ、この痛みを耐えれば傷が治る。苦しいだろうが頑張れ。」
春雨と同じように自分の血を垂らす。すると時雨も痛みにもがき始める。俺はただ見守ることしかできない。傷はみるみるふさがっているがまだ苦しんでいる。見てるこっちまで苦しくなってくる。前任下の怒りがまたわいてきた。
「足が治ってる…。」
「よく頑張った。」
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。最後は村雨か。…顔かぁ。やっぱりあとが残ってしまうから、女の子にとってはかなりつらいかもしれない。」
村雨にも血を垂らす。意識を失っているから、苦しんでいる様子はない。こちらも少し気が楽だ。
「よし、ふさがったな。みんな、入渠ドックへ行ってきなさい。ここは片づけておくから。みんなで一緒に。」
「本当にありがとうございました。お礼は必ず。」
「いやいや、お礼なんていらないよ。早く入渠して元気な姿を見せてくれ。あと、俺に敬語や遠慮は必要ない。困ったことがあったらどんどん言ってほしい。」
「わかった、本当にありがとう。夕立もありがとう。」
「傷が治って本当に良かったっぽい。早くお風呂に行くっぽい!」
「行ってらっしゃい。」
傷が治ってよかった。さて、俺はここを片づけて食堂に戻るか。歩けるようになった。意識がない村雨は羽黒に背負われていった。
「いやー、傷が治ってよかったよ。」
「あれはなんだったんだい?」
「ちょっとね、昔いろいろあって。」
「ふかくはきかないほうがいいか?」
「まあ、話すときが来るかもしれないから。」
さて、もう12時になっているから昼食を作るか。何を作ろうかな。簡単にカレーでいいかな。
***
「おーい、間宮さーん。」
「はーい、何でしょう…って!何ですかその袋は!いくら何でも大きすぎでは・・・」
提督にお呼ばれしたので振り返ると、何やら、ものすごく大きな袋を抱えてこちらに歩いてきました。
「いやー、車に積んであった食べ物を持ってきてて。」
「それでしたら、一言声をかけてくだされば手伝いましたのに。出撃は基本しませんけど、私も艦娘ですから力はあるのですよ。」
「女性に荷物を運ばせるのはちょっと…」
「それでは、妖精という小さな存在にそんな大きな袋を運ばせている理由になっていませんけど…」
「そうだそうだー」「こんぺいとうのついかをようきゅうするー!」
「わかったわかった。増やしてやるから。で、厨房のほうは大丈夫か?」
「はい。以前もここに勤務している人たちに食事を提供していましたから。艦娘の皆さんに食事を提供することは禁止されていたのですけど…。」
「そうか、とことんいやな奴らだな。でも安心しろ、俺はみんなに料理を作るから。誰よりもおいしい料理を。」
「…ありがとうございます。今日は何を作りますか?」
「無難にカレーでいいかなと、横須賀といえばカレーだし、俺も得意だし。」
「分かりました。では早速作っていきましょう!」
提督は米を研ぎ、私は野菜を洗います。人のためだけではなく、みんなのために、私が望んできたことがようやくできるようになりました。これまではおいしくない戦闘糧食だけを食べている皆さんを見ているだけでしたが…、楽しみですね、皆さんがここに戻って来た時の反応が。提督も楽しそうですし、頑張りましょう。