久しぶりの戦闘、少しワクワクするね。ただ、敵の戦力が少ないことが少し残念かな。
「航空隊、発艦!」
矢を引き絞り、空に向かって放つ。すると矢が火をまとい、一瞬にして航空機に代わる。数は9機。二本目を空に放って持っている弓を放す。合計18機。本当はもう少しいるけど、これ以上発艦させられない。隣にいる瑞鶴も終わったようだ。二人で合計54機、三個航空隊のみ。私と瑞鶴で最大136機運用できるけど、これしか出さない。そもそも、艦上機があと72機しかない。内4機は偵察機、彩雲、こちらもちょっと改造させてもらった。あの提督が逮捕されてから作ったから、大淀さんと羽黒さんには報告していない。
「やっぱりおかしいよね。」
「そうね。本土に攻撃をするのにたったの12隻しかいないなんて。」
「多分フィリピンから来るんじゃないかな。」
「そうね。その方向に飛ばしておきましょう。」
方向を変えて偵察機を飛ばす。私が2機、瑞鶴が2機だ。
「…接敵、数は少ないね。瑞鶴は先に行ってて。」
「よろしく。」
「戦闘機がいないからといって、なめているみたいだけど、私の方が強いから。前期撃墜せよ。」
戦闘が始まる。彗星は高度を下げて迂回しながら通る。はっきり言って話にならない。
「全機撃墜、進路修正、攻撃続行せよ。」
「瑞鳳、敵艦隊発見。陣容は変わらず。ミサイルで損傷しているやつもいるみたい。急ぐよ。」
「分かってる今そっちに急いでるからせかさないで。」
そろそろ見えるかな。電探にも反応し始める。
「敵艦隊発見、これより攻撃態勢に入る。」
指示を出すと天山が光度を下げる。搭載している爆弾は10番反跳爆弾が6発、6番反跳爆弾が4発、これを雷撃の要領で投下し、敵小型艦の側面にぶつける。低高度を進むから対空砲が少し怖いけど、そこは瑞鶴が急降下爆撃で破壊しているから問題ない。
「第一陣各機、攻撃はじめ。」
おそらく、これで駆逐艦はすべて沈む。一隻当たり2機、合計最大20発の爆弾が当たる。そろそろ第二陣かな。軽巡をすべて削るのは無理だから、損傷しているものは沈める。
「第二陣各機、攻撃はじめ。」
天山の高度が上がり、敵艦隊全体が見えるようになる。空母発見。両艦とも甲板に大穴が開いている。そして重巡は一隻がすでに沈み始めている。
「瑞鶴すごいじゃん。」
「そ、ありがと。」
少し待っていると、さっき爆撃した駆逐艦四隻と軽巡のもとから損傷していた二隻の船体が傾き始める。
「あれはもう助からないね。そろそろ報告しようか。」
「そうだね。瑞鶴よろしく。」
「…こちら瑞鶴、敵的正規空母及び、軽空母の甲板の破壊に成功。他、重巡一、軽巡二、駆逐艦三撃沈確実、軽巡一中破、重巡一大破。」
「そうか!よくやった、航空機を回収しながら下がってくれ。」
「了解。」
後ろから、他の人たちが来る。
「報告を聞きました。あとは任せてください。」
関わりたくなさそうな顔してるね。無理もないか。
「…行こうか」
「分かってる。」
***
瑞鶴から報告が来て、すでに敵艦隊は壊滅しかかっていることが分かった。
「すごいですね…。」
「そうだな。お前もすごいやつになれるといいな。」
「そうですね。提督、羽黒さんたちに一言声を掛けませんか?」
「そうだな、…みんな、聞こえているか?」
「聞こえています。提督、何かありましたか?」
「いいか、俺は君たちが傷つくことを望まない。相手はすでに大きな被害を被っている。だが、最後まで気を抜くな。なにがあるかわからん。いいな?全員で帰ってこい。」
「分かっていますよ。みんな、聞こえていましたね?提督がおっしゃっていたこと、ちゃんと守ってくださいね。」
通信機越しに元気な声が聞こえてくる。どうやら大丈夫そうだな。椅子に深く腰掛け、心を落ち着かせる。
それから20分後、そろそろ接敵かな、と思っていたところに報告が入った。
「こちら、関東第二水中護衛隊三番艦早波!八丈島南西250km地点に敵大規模艦隊を確認!総数は不明、複数の航空母艦を含んでいると思われる!航空機の発艦作業を行っている模様!現在30ノットで北上中!」
「な!まさか陽動!?今すぐ艦隊を引き上げさせろ!南西関東防空軍および東海防空軍はスクランブル!相模沿岸防衛軍は対空ミサイル発射準備!東海から東京周辺の避難指示を要請しろ!」
「分かりました!」
大本営との通信スイッチを入れる。
「こちら横須賀鎮守府、敵大艦隊接近の可能性あり、至急防空援護を要請する!繰り返す!こちら横須賀鎮守府、敵大艦隊接近の可能性あり、至急防空援護を要請する!」
「こちら瑞鶴、敵艦隊詳細判明しました。戦艦六、正規空母六、軽空母四、大型巡洋艦十、重巡洋艦六、軽巡洋艦十二、駆逐艦二十八、総勢七十二隻、さらに、戦艦と正規空母にそれぞれ一隻ずつ姫級の存在を確認しました。」
「多い!それに姫級か、あまりにも強すぎる。クソ!トマホークの発射準備も要請!」
「こちら瑞鳳、敵編隊と接触、総数は不明。攻撃機に魚雷は確認されず。現在、迎撃活動に向かっています。おそらく第一次攻撃隊、三宅島南方70km、上空4,000mを時速380kmで飛行中。」
「大本営よりパトリオットの発射を確認!」
数が少ないパトリオットを、ここで発射か、正直不安ではあるが仕方ないか。
「了解、沿岸部の自動迎撃システム作動、無人機射出準備!」
「了解!」
「艦隊と連絡は取れないか!」
「さっきから通信がつながらないんです!」
「電波妨害か!通信出力を上げて再度通信、房総半島の通信塔を中継して!」
「分かりました!」
***
「こちら、関東第二水中護衛隊三番艦早波!八丈島南西250km地点に敵大規模艦隊を確認!総数は不明、複数の航空母艦を含んでいると思われる!航空機の発艦作業を行っている模様!現在30ノットで北上中!」
やっぱりいたか。
「瑞鶴は八丈島に行って、私は敵機の予想進路を探索する。」
「分かった。もう直掩出すね。」
「そうしておいて。」
そう言いながら私も直掩を発艦させる。二人で合計14機。紫電改二の航続距離を伸ばし、防弾、火力を向上させ、旋回性能を零戦と同等にまでしたもの。エンジンも替えたけど、機体の重量の増加もあって速度はほとんど変わらなかった。一体何機を相手にできるか。ミサイルによる防衛も行われると思うけど、精密誘導ができないし、なによりも小さいから当てられないだろう。迎撃には、限度がある。
「見つけた。戦艦六、正規空母六、軽空母四、大型巡洋艦十、重巡洋艦六、軽巡洋艦十二、駆逐艦二十八、総勢七十二隻で、戦艦と正規空母はそれぞれ一隻ずつ姫級よ。今から鎮守府に報告するね。」
「分かった。」
私と瑞鶴が本気で当たればあの程度の艦隊は殲滅できるが、新しい提督はそれをよしとしないだろう。何とか航空機で数を減らすしかないか。
「攻撃隊、発艦準備、全機、魚雷を装備せよ。」
直掩が三宅島についた。敵の狙いが横須賀か東京ならばこの付近は必ず通るだろう。
…偵察機が発見したらしい。
「こちら瑞鳳、敵編隊と接触、総数は不明。攻撃機に魚雷は確認されず。現在、迎撃活動に向かっています。おそらく第一次攻撃隊、三宅島南方70km、上空4,000mを時速380kmで飛行中。」
「瑞鳳。」
「なに?」
「最初の艦隊のほうに行った羽黒や雪風たちと連絡が取れなくなってる。多分電波妨害を受けてる。」
「まあ、あんな過酷な環境を生き残って来た人達だから大丈夫だろうけど。でも、電波妨害か、こっちも気を付けないと孤立する。電探の最大探知距離がもとに戻ればいいんだけど。」
そろそろ直掩と敵機が接触か。
「そろそろ攻撃隊を発艦させようか。」
「そうね。」
再び弓を引く。二回だけ。これだけでどこまで被害を与えられるか。
「直掩が敵機と接触、戦闘に入った!」