白く染まる世界   作:快晴Ⅲ

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第十一話

提督と通信を行ってからだいたい40分ぐらい経過した。さっき敵と戦闘になったけど、もう壊滅状態だったし、一番苦労しそうだった重巡は一隻が沈み、もう片方は大破状態。接近して魚雷を打ち込んで沈めた。

「時雨さんは怪我とかは大丈夫ですか?」

「うん、僕は大丈夫だよ。村雨と春雨は?」

「私たちもだいじょうぶよ。戦闘といえるようなものじゃなかったからね。」

「皆さん、ちょっと聞いてください!」

羽黒さんが叫んでる。どうしたんだろう?

「今、敵艦隊殲滅の通信を提督に伝えようとしたところ、通信がつながりませんでした。私の通信機の不調の可能性もあるので、誰か代わりにやってくれませんか?」

「私がやります。かなり大型の通信機を備えているので、多少の不調でも大丈夫なはずです。」

大淀さんが立候補した。確か、僕たちが艦艇だった時代の最後の連合艦隊の旗艦を務めていたはず。…今通信を始めたらしいけど、なんか様子がおかしい。

「提督、提督!聞こえていますか!提督!」

「ダメ見たい。」

「まさか、電波妨害?」

「ダメです。つながりません。もしかしたら電波妨害を受けている可能性も。」

「そういえばさっきの重巡、変な砲撃をしたよね。航空機がいないから対艦戦闘だけになるはずなのに、空中で砲弾を爆発させてた。」

「もしかしたらそれの可能性も…」

「でも、それなら時間が経つか、私たちがここを離れるかすれば治るんじゃない?」

「そうですね、ならばここを離れましょう。なるべく早く。」

 

***

 

「攻撃隊が敵艦隊に到達、迎撃機、上がってくるよ。」

「迎撃機は瑞鳳に任せるから、私は先に行くね。爆撃したら戻ってくる。」

「分かった。結構数が多いからなるべく急いでね。」

やはり数が多い。一機一機は大したことないけど、数が増えるときつくなる。帰りの燃料も考えないと。敵の第一次攻撃隊は8割ぐらい撃ち落としたら逃げていったけど、第二次攻撃隊の迎撃は無理かも。一度回収してから補給、再出撃をしてたら、本土上空にも到達しちゃう。私たちでやるしかないかも。

「瑞鶴、速度を上げよう。第二次攻撃隊は私たちで迎撃するよ。もし私たちが損傷しても攻撃隊は基地に返せばいいから。」

「そうね。でも、損傷はなるべく避けよう。」

速度を上げて西進する。でも、長期間劣悪な環境にいたため艤装はところどころ故障している。速度も全然でない。

「攻撃隊、爆撃完了。今戻るね。」

「分かった、天山隊は戦闘空域から離脱し、対艦攻撃準備を行え。」

今、天山に積んでいるのは魚雷一本と10番通常爆弾二発、これだけで戦艦は撃沈できないから艦後部の舵とスクリューを狙う。戦艦を脱落させればかなり楽になるだろう。

「第一陣、攻撃はじめ。続いて第二陣、攻撃態勢に移れ。」

数が多いから対空砲も多い。低空を飛び続けると撃ち落とされやすくなるから高度を少し高くして雷撃する。

「瑞鳳、そろそろ、敵の第二次攻撃隊が来る。数約120、あと10分で対空砲射程圏内。」

「一応間に合ったねぇ。全艦、対空戦闘用意。」

意外と近かったな。直掩機はすべて回収して補給を始めている。だけど、発艦はまにあわないだろう。上空を多数のミサイルが通過して、数秒遅れて轟音が聞こえてくる。どれだけ減らせるかな。

「第二陣、攻撃終了、至急帰投せよ。」

「どれぐらいになった?」

「ひとまず、空母の甲板は全部破壊されてるね。引き返し始めてる。戦艦と大型巡洋艦は舵とスクリューを中心に狙ったから、全艦に直撃させて速度が落ちてきてるけどこちらはそのまま来てるね。対艦ミサイルはやっぱりあんまり直撃していない。」

「分かった。ひとまず提督に報告する。瑞鳳は先に始めてて。こっちも電波妨害が来てるかもしれないからちょっと集中しないと。」

「分かってる。急いで。全艦、最大船速、前進、瑞鶴の援護を行う!」

「たいくうせんとう、ようい!」

「でんたんれんどう!」

「高角砲射程圏まであと1分、全機撃ち落とす!攻撃隊は帰投急げ!」

 

***

 

「こちら瑞鶴、報告します。敵艦隊への攻撃で全空母の飛行甲板の破壊を確認、戦艦及び大型巡洋艦の速度低下を確認するも、依然として北上中。沈没は重巡四、軽巡三のみ。そして、羽黒達との通信は回復せず。第一次攻撃隊の撃退は成功、現在第二次攻撃隊と接触、対空戦闘開始します。」

「分かった。気をつけろ、防空軍による迎撃も行っている。協力しながら戦闘を行ってくれ。」

「提督、敵艦隊、そろそろ三宅島南方50km地点で20ノットで北上しています。」

通信機から連絡が入る。

「こちら、関東方面沿岸防衛隊本部、すでに、ハープーン120発、トマホーク164発を発射、これ以上残っていません。」

「紀伊半島と東海の防衛隊にも要請しろ、とにかく被害をできるだけ与えるんだ!」

「敵攻撃隊、横須賀到着まであと10分!自動迎撃システムの起動を確認しました。」

「敵攻撃隊速度上昇、時速460kmです!」

「こちら大本営より横須賀鎮守府、スリーサイト発射、破片に注意せよ!」

「横須賀周辺における避難状況は!」

「完了しています。」

「無人機、接敵します!」

速度を上げたからか、予想よりも早く近づいて来る。それにミサイルが尽きたならばいよいよきつくなる。

「提督~、聞こえてる?」

すると、この状況に似つかわしくない、間延びした声が通信機から聞こえてきた。

「対空戦闘はどうなっている?瑞鳳。」

「まだ終わっていないけど、ほとんどは通り過ぎちゃったから、もうあんまいないよ。」

「要件は何だ、なるべく早く終わらせてくれ。」

「その前にいくつか質問に答えてくれる?

「そんなことしてる場合じゃないだろう!」

「提督はさ、艦娘はどんな存在だと考えてる?」

なんも聞いていないな。早く終わらせないと敵が来る。

「俺は艦娘は人だと思っている。」

「じゃあ、ここに来た理由は?」

「君たちを助けるためだ。」

「じゃあ、提督になった理由は?」

「…悪いが、今は話せない。」

「そう、じゃあ、。提督は日本国そのもの、日本人をはじめとする世界中の人、艦娘、どれを守りたい?」

「一番守りたいと思っているのは艦娘だ。だけど、人も守りたい。」

「次で最後の質問ね。今、敵艦隊を止める術を、私と瑞鶴以外に持ってる?」

「持っていない。ミサイルも尽きた。」

「分かった。提督のことが少しわかった気がする。提督になった理由はいつか教えてね。」

「なぜだ。」

「単純に好奇心だね。」

「なにが言いたい、もう時間がない。」

「まあ、私たちが敵艦隊を仕留めてもいいんだけど、提督は望まないだろうから。」

「提督!敵機高角砲射程圏に侵入!」

「瑞鳳!早くしろ!」

「横須賀鎮守府に三八式長射程墳進対艦魚雷が配備されていたはず。場所は確か西側第二バンカー、音響追尾魚雷だから直撃も期待できるよ。」

「西側第二バンカーか!妖精さん、急いで!」

「発射台は自動制御だから人はいなくても問題ないと思う。ただ、今でも動くかはわからない。」

「いや、教えてくれただけでもありがたい!」

外から爆発音が聞こえてきた。空襲が始まったようだ。

「空襲が終わるまでやり過ごすぞ!」

「ていとく!うごくことはかくにんした、だけどげーとがうごかない!」

「空襲が終わったらゲートを破壊していい!今は対空戦闘に集中しろ!」

 

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